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野生のフクロウと仲良くなった話

5.6年前の話になります

昼間、新宿の駅近くを歩いていたら、
歩道の隅に20人ほどの人だかりが出来ていました

人だかりの目線の先を追ってみると、
都会のど真ん中で、フクロウが一羽、歩道に降りたってキョロキョロしています
人に囲まれて怖かったのでしょう
少し怯えた様子です

通りかかった警察官に、人だかりのうちの一人のおじさんが
「このフクロウなんとかしてあげてよ~」と言いました

警察官は「さっきも言われたけど、それは業務のうちに入らないから!」と冷たく言って去っていきました

私はフクロウに近付いて、持ってたペットボトルの水のキャップに水を注いで、
フクロウに差し出しました

もちろんフクロウは飲みません
見ていたおじさんが「水飲むわきゃねーだろ~」と野次を飛ばしてきます

フクロウが飛び立ちました
空中でカラスたちにいじめられています
カラスたちがフクロウを突っついています

「可哀想…!」

反対側の歩道にフクロウがまた落ちました
私は追いかけました

降り立った先で、また人だかりが出来ています
私はフクロウを見て「コラっ」と言いました
どうやらこのフクロウ、私の顔を覚えていたようで、私の顔をじっと見つめています

鞄を投げ出し、そーっとフクロウに近付いていって、
ニコッと笑い「触るよ~」と言って
両手で捕まえました
「捕まえた!」
大人しく両手の中に収まっています
観衆から「すご~い」という声が聞こえます

私が投げ出した鞄を取るために、観衆の女性にフクロウを渡そうとした時、
大暴れしました
でも女性から私に渡されるときは暴れませんでした

私は近くにあった行きつけのフクロウカフェに連れていこうと思いました
すると観衆のうちの一人の男性が
「近くにフクロウカフェがあるので、そこに連れていきましょう!一緒に行きますよ」と声をかけてきました

「私もそのつもりで居ました!お願いします」と言って一緒にフクロウカフェに向かいました
男性は「動物関係のお仕事されてるんですか?」と私に聞いてきました
いいえ、してません

フクロウがもうとにかく可愛い!
大人しく私の両手に収まってます
体温が伝わってきて温かいです
「カラスにやられちゃったの~可哀想に~酷いねぇ」
「あら、あなた目も怪我してるの?診てもらおうね~」
などとフクロウと会話していたら、男性がクスクスと笑っていました

フクロウカフェに着きました
男性が店に電話して、今店の前に居て怪我したフクロウを保護してることを伝えました

フクロウカフェは雑居ビルの中です
待合室の階段の踊り場の窓が開いていました
私は悪い予感がしました

予感は的中
フクロウカフェから店員の男性が出てきたと同時に、フクロウはビックリして窓から飛んで逃げていってしまいました

男性と店員さんと私で追いかけます
でも捕まりませんでした
いろいろありましたが恥ずかしいので省きます

男性はお昼休憩が終わりらしく、会社に戻って行きました
残された店員さんと私
店員さんが言いました
「Twitterで調べてみたら、どうやら新宿御苑から来たフクロウみたい、あのフクロウはあのままにしてあげた方が自然なんだよ」
私は「でもこんなところで死なせたくない、もっと自然が多いところで死なせてあげたい」と言いました

店員さんが「そうだよねぇ…」と言って、しんみりしました
でも私は「ありがとう!お兄さんが居てくれたおかげで、一人でモヤモヤするところを救ってもらえた!」と右手を差し出しました
店員さんも「そうだよね!」と言って握手してくれました

いやぁ~それにしても可愛かったなぁ、フクロウ…
野生でも人に懐くんだなぁ
そのまま連れて帰っちゃえば良かったなぁ
※違法行為です

後でTwitterで見たら「新宿でフクロウが迷子になっていた!なんでこういうときに助けてあげられないんだろう、日本人って
私は用事があったから助けられなかったけど」という投稿を見たので
わざわざTwitterのアカウントを作って
「そうですよねぇ、なんで助けられないんでしょうね?用事があろうがなかろうが、
私はあの後フクロウ助けましたよ」
と嫌味を言ってやりました

都会は冷たいです
親身になればなるほど「なんだこいつ?」という目で見られます
その親切を怪訝に思わず、また逆に親切心も忘れず居たいものです

あーフクロウ可愛かった

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