ライブアイドルとわたし
ライブアイドルとの出会い
その日、私は都内の某CDショップへ向かっていた。
とあるビジュアル系バンドが好きで、そのバンドのインストアイベントに参加する為に必要なCDを予約しに、当時住んでいた仙台からわざわざやって来たのである。
無事に予約を済ませ、さぁ帰ろうかと売り場を後にしようとした瞬間、店内のイベントスペースから爆音が聞こえた。
それが、わたしとライブアイドルの出会いであった。
自分と同い年くらいなのだろうか、ステージ上で何人かの女の子たちが歌い踊っていた。
衝撃だった。
彼女たちが歌い踊る楽曲は、所謂ステレオタイプ的なアイドル然としたものではなく、メロコアやパンクのような曲調だったからである。
幼少期にモーニング娘。やミニモニ。、AKB48などをテレビで観て育ったので、「アイドル」という存在には好感を持っていたが、それとはまた違う世界が目の前に広がっていて、ただ見入ってしまった。
ただ、帰りのバスの時間も迫っており、最後までは見る事が出来ずに泣く泣くその場を後にした。
その場でスマホのメモに
「Malcolm Mask McLaren」
「偶想Drop」
と、彼女たちの名前をメモした。
バンギャ、アイドルのライブに行く
家に帰ってから、YouTubeで2グループの名前を調べて、とにかく動画を見漁った。
MV、お客さんがライブやイベントを撮影したものなど色々存在していた。
ライブの動画を見るに、偶想Dropのライブはなんだか怖そうだと思ったのと、色々楽曲を聴いてみてより好みだなと思ったので、Malcolm Mask McLarenのライブに行ってみることにした。
ある日の昼、新宿。
その日は夕方から好きなビジュアル系バンドのイベントがあったこともあり、丁度東京に来ていた。
メンバーの1人の生誕祭ということで、とても賑わっていた。
初めての会場、初めてのアイドルのライブで、わたしはとてもそわそわしていた。
実はこのライブに来るために通販でグループのTシャツを買うという気合いの入りっぷり。形から入るタイプである。
ライブが始まると、CDショップで披露された楽曲や、ファンにはお馴染みなのか、盛り上がる楽曲が何曲か披露された。
しばらくして、メンバー3人が整列して挨拶をし、ライブは終了となった。
正直この時、「えっ、ワンマンライブなのにもう終わり???」と思った。
というのも、普段ビジュアル系バンドのライブに慣れていた私は、ワンマンなら1時間ちょっとくらいはやるだろうと思っていたからである。
メンバーの子が「この後は特典会です!」と言った。
はて、特典会ってなんだ?
よく分からないが、とりあえず他のお客さんと同じように物販に並ぶ。
1000円でこの券を買うと、メンバーとチェキが撮れてお話ができるんですよ、と運営さんや他のお客さんが優しく教えてくれた。
とりあえず1枚購入し、一番パフォーマンスが良かったと思った子の列に並んだ。
彼女は、名前をaiちゃんといった。
緊張のあまり何を話したのかさっぱり覚えていないのだが、その時「またこの子のパフォーマンスが観たいな」と思ったことは間違いなく覚えている。
初めてライブアイドルのライブに行って驚いたのは、その距離の近さである。
ライブハウス自体が普段見ているビジュアル系バンドのライブ会場より小さいキャパのものであることも一因だろうが、ライブ後に演者と直接会話ができて一緒に写真撮影までできる、というのには本当に驚いた。
ビジュアル系のバンドマンと会話をしたり写真撮影をして貰えるのは、CDを購入した時のイベントくらい、それも数秒だから。
それから約1年ちょっとの短い間ではあったけれど、aiちゃんがグループを卒業する日まで何度かMalcolm Mask McLarenのライブに行き続けた。
地方住まいでそんなにライブの本数も行っていないのにも関わらず、優しいオタクの方々のおかげで、aiちゃんのラストライブでお花を渡す役までさせて頂いた(その節はありがとうございました…)。
ビジュアル系バンドのライブに行く傍ら、こういうライブの楽しみ方があるということ、ライブハウスで頑張って活動している女の子たちがいることを知ることができて、ライブアイドルという世界に出会えて、本当に良かったと思う。
次回、ライブアイドルとわたし(〜現在編)を書きます。
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