あの日からの始まり

次に覚えているのは、一般病棟に移る時だ。
どこに行くのかという事では覚えていない。
何かの乗り物に乗せられて、ビルの中をぐるぐる回っている。
それを私は、その後の友達とのやりとりの中で、駅ビルに行ってぐるぐる回ってたと伝えていた。
見当違いな場所と、今いる場所も見当違いな事を言って、彼女は私が終わったと思ったそうだ。

起き上がるようになって、やっと自分が入院している事がわかった。
だけど、何故かはまだわからなかった。
全く悲しくはない。
息子の事も気にならなかった。
それよりも、体に付いている機器を取る。
それで看護師に怒られる。
心電計で大事だから外さないでねと。
そして、頭が恐ろしく痛い。
元々頭痛持ちの私は、特異に思わず訴えた。
なぜか後頭部が痛くて仰向けになれない。だから横向きになると、耳から血が出ている。何故なのかわからず、血が付いた枕とベッド柵を眺めていた。

まだ歩けない。
オムツをつけて、管を通していた。
それさえ何も思わなかった。
そして凄いことに気付くのは、管を外してオムツから下着に変わる時だった。
あれ?
私のパンツどこ?
というか、私のカバンと服どこ?
スマホは?
靴はどこ?

一気に現実の世界に帰ってきた。

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