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新作発表によせて

約3ヶ月ぶりにnoteを書くよ。正田だよ。
ついに、ついに、ついに。あと28時間で。我々の新作『STAY(home)TUNED』が配信リリースされる。明日から毎日1曲ずつ、noteで楽曲を解説していく予定。

でも、その前に。このアルバムがそもそもどんな状況下で生まれたのか。どんな気持ちで作ったのか。それを知って欲しくて個別の楽曲解説とは別に、アルバム単位でのあれこれをここに綴っていくよ。


自分の知る限りでは、我々ノービターは「最強の自粛バンド」になってしまった

アルバムタイトルからもわかる通り、コロナについて触れている楽曲も収録されている。(全曲ではないよ!)
コロナ禍において、どこまでの行動がOKかという線引きは本当に人それぞれで。きっとみんなの周りにも

・密は気にせず出かけるし、気にせず外食もする
・密を避けて外出や外食をする
・密りそうなところには行かない
・極力どこにも出ない
いろんな人がいると思う。
インディーアマチュア界隈のバンドマンを見渡しても、
・スタジオで練習するし、ライブもレコーディングもやる
・スタジオで練習はするけど、ライブやレコーディングはしない
・スタジオでの練習もライブもレコーディングもしない

などなど、いろんなバンドがいる。そんな中我々ノービターが選択したのは「密りそうなところには行かないし、スタジオ練習もライブもしない」だった(これを書いてる現在も、スタジオの予定もライブの予定も皆無)だってさ、もしライブをやってさ。その中から感染者が出ちゃってさ。その人が一緒に住んでるおじいちゃんやおばあちゃんにうつっちゃってさ。縁起でもない話だけどその方々が亡くなったりしちゃったらさ。俺は責任が取れない。責任が取れない行動は、するべきではない。
そこまで考えたら何にもできないよ!
っていろんな人に言われたけど。そうなんだよね。それゆえに、何にもできない期間がかなり続いたよ。

そこに打ち込むカウンターパンチ

だからといって、延々と沈黙を続けてもバンドとしての寿命を無駄にしているだけ。バンドにはいつか必ず終わりが来る。たまたまノービターは15年存続しているが、それは本当にたまたまなんだ。
いつまで続くかわからないこの状況に対し、ただ手をこまねいている訳にもいかない。何か手はないのか。かなり模索した。そして正田の出した答えは。

レコーディング当日以外、メンバーと会わない。楽曲も、スタジオに入らないで完成させる。

これだった。ほとんどのバンドは、メンバーとスタジオで音合わせをしないままレコーディング本番なんてことはまずないと思う。俺らだってそんなことはもちろん初めて。でも幸い、我々は15年ノービターというバンドをやってきているのでお互いのギターやベースがどんな音を出すか。お互いの声量や声質や音域というのは熟知しているつもりだ。今までより精度の高いデモを製作してメンバーに渡したり、電話を使ったミーティングやフレーズの指示で、顔を合わせずとも今までと変わらないクオリティーの楽曲を製作することが出来るのではないか。そこにチャレンジした。
そして最終的には、前作を軽々超えるクオリティーの作品が出来上がったと自負している。このスタイルで5曲(アルバムは6曲入りだけど、1曲は昨年作ったもの)の新曲作り、なかなかタフな作業だった。

とは言え当日は

レコーディング当日は、会わないってのはまず無理な話しで。アルコールやマスクは勿論のこと、エンジニアさんにわがままを言って(いつもならみんなでご飯食べたりするところを)単独で食事をとってもらったり、スタジオの換気をかなりこまめにしたり、電車移動をやめて窓を開けた車で移動したりと、やれることはとことんやった。

とにもかくにも時間がかかった

今まではスタジオに入って、ここはこういう感じ!って目の前で弾いてみせたり口頭やジェスチャーでイメージを共有したりして楽曲を作っていた。時には、ライブでどんな絵面を想定しているのかなんて話も。
それがなくなってしまったので意思の伝達に時間をたくさんかけた。(だけど『080』のベースラインでどうしても1箇所うまく行かないところがあって、そこだけはメンバー宅に行き、お互いマスクしたまま確認作業をした。多分30分くらいだったかな。スタジオに入るよりは、機材に触れたり店員さんと接触したり移動したりがない分まだマシかなという判断。この1回が、今回唯一の面と向かった作業だった)

そして時間がかかった理由はもう一つ。

00年代前半、下北沢に吹いていたギターの風をもう一度吹かせたい

そんな思いから、今回はギターの録音本数がえらいことになった(2000年代前半、下北沢には所謂ギターロックと呼ばれるバンドが数多く台頭していた。初期アジカンや初期レミオロメンなんかは特に有名。他にも正田の好きなランクヘッドとか。下北沢だけじゃなく、当時のRADWIMPSなんかもギターロックだったように感じる)
今挙げたようなバンドや、ACIDMANやストレイテナーやくるりや音速ラインや初期BUMP OF CHICKENやつばきやスピッツなどなど、ギターバンドを聴いて育った正田は自然と、ギターがバンドサウンドのイニシアチブをとるような楽曲を作るようになった。
でもここ数年。「歌詞とメロディーだけで撃ち抜きたい」という思いが強くなり、少しずつ少しずつギターは伴奏の1つ、というポジションになり始めていたように思う。(2019年リリースの『カエルノウタ』なんかはその最たるもので、ギターがコードから離れるフレーズが1つもない!)それはそれで歌が届きやすいし悪いことではないのだけど。吹かせたいと思ったの。下北沢の風を。

なぜ「今」下北系ギターロックか

世界のヒットチャートを見渡すと、バンドは勢いがない。なんて言われて久しい。日本のチャートも、アイドルや韓国系のもがヒットしている印象がある。
そしてこれはよく言われることなのだけど、ダンス的な打ち込み系の音楽とバンドサウンドは、常にどちらかが陽の目を浴びどちらかが陰る。そしてそれは十何年周期で繰り返されることが多い。と。
そして、そろそろギターの時代がもう一度来るのではないか。(願望も込みで)正田はそう予想している。その時、下北系ギターロック直系の正田のギターが日本中に炸裂する。

…そんな予定笑

そしてここからが大事なんだけど、以前よりは多少、俺もえなりも歌がよくなってきてると思う。つまり、どんなに華やかなギターサウンドがあっても、それに負けないボーカルがきちんと演奏の上に乗っかっている自信がある。そうじゃないと、ギターに食われちゃうもん。今作は、その辺り非常にいいバランスで組み上げられた。

そんな流れから、今作は色々なシーンでギターで勝負している。勿論、00年代前半を意識しながらも自分の編み出したワザとエンジニアさんの技術で、令和版にアップデートされている。令和版下北ギターロック=最新のノービターサウンド。
そしてだらだら長いこと説明したが、俺は俺の弾くギターフレーズを愛している。
リードギター、俺。
サイドギター、俺。
隠し味ギター、俺。
みたいなやつ大好き笑
今回はまさに、まさにofまさにそんな音像。この文章だけ見ると「自分大好き俺が俺が野郎」に見えるかもしれないけれど、そんなことなくキチンとバンドサウンドとして成立するよう引き算なんかもきっちりしてある。そしてキチンとノービターサウンドとして確立できてるんじゃないかと胸を張って言える。

ここまで読んでくれてありがとう
長くなったけれど、コロナ禍での音楽への想い。アップデートされたギターサウンド。存在感を増すボーカル(自分で言うな)
レコーディングのやり方から考えて、リリースの日を迎えるまでに多分1年くらいかかったと思う。まさに「一球入魂」なアルバム、多くの人に届くように願っている。

明日からは楽曲解説に移るので、興味のある方はまた明日お会いしましょう!

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