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語学初心者が悩む文法のおきて    ~形容詞の一致~

 皆さんこんにちは。自称言語楽者ことnobitxanです。今日は外国語の文法のお話です。語学が堪能な皆さんの中には「外国語を話すのに文法はいらない。」と思っていらっしゃる方もおられるかもしれません。確かに以前の日本の言語教育は文法訳読中心で「話す」ということができていませんでした。その後会話中心の内容に見直されてきました。私も以前は「外国語の習得には文法はいらない。」と考えていました。しかし、最近の語学書を見ると文法の説明にページを割いているものが多くなったように思いますし自分も語学の検定試験を受けたり初心者に説明をする立場になると「なるほど文法を疎かにはできないなあ!」と思うようになりました。そして実際に文法を見直してみると「なるほど!」と思うことや「これってめんどくさい」って思うことが出てきました。確かに文法は複雑で厄介な部分が沢山あります。その上その複雑さや厄介さは当然ながら言語によって違っているのです。
私は、初心者に文法の説明をするとき極力「文法」という言葉を使わないことにしています。そんな時は、「〇〇語を正しく話したり、書いたりするためのルール」と言っています。私たちが自動車の運転をするときも交通ルールに則って運転をしています。だから安全に自動車を運転することができます。万一ルールを間違えたり守らなかったりすると事故を起こしてしまいます。文法もこれと一緒で言葉を正しく読んだり、書いたり、話したりするためのルールだと考えています。言葉を書いたり話したりするときにも語順とかいろいろなルールがあります。そのルールを無視したり守らなかったりすると正しい文章として成立せずその言葉は「コミュニケーションツール」としての機能を果たさなくなります。「単語をつないで後は身振り手振りで何とかなる。」という方もいらっしゃると思います。確かにそれでも意思疎通は不可能ではないかもしれませんが本当に言いたいことは伝わらないと思います。外国人と正確な意思疎通がしたいのであればやはり正しい言い方を身に着けるべきだと思います。
前置きが長くなりましたが今回は自分がこれまで語学を勉強してきたり、初心者に説明していくうえでこれはわかりにくいだろうなと思う文法=ルールを説明したいと思います。今回の話はすべての言語に当てはまるわけではありません。だから自分が勉強している外国語が該当しない場合もあるかもしれませんがそんな時は「自分がやっている〇〇語はこんな面倒くさいルールがなくてよかった。」と思ってもらって読み飛ばしてもらってもいいですし、面倒くさそうだけど何だかこのルール面白いなって思って(なかなかそんな人はいないと思いますが。)それらの言葉に興味を持ってもらえると嬉しいです。
 それでは本題に入ります。今日のテーマは「形容詞の一致」です。
これはヨーロッパのほとんどの言語で起こる現象で英語や日本語にはない特徴です。自分も最初にこれに出会ったときはびっくりしました。まあ、これは名詞の性・数に関連するものですがこれも多くのヨーロッパの言語にある現象で名詞に文法上の性(男性・中性・女性)が存在します。フランス語やイタリア語などは中性名詞は存在しませんが。そもそも形容詞というのはご存じの通り「名詞を説明することば」です。例えば日本語で「家」という名詞に「大きな」という形容詞がつくとその「家」がどんな家であるか説明しています。この名詞の説明をする言葉=形容詞がさっき話した言語によってその説明する名詞の性・数に形を合わせるという現象が「形容詞の一致」です。

例を挙げてみましょう
日本語で「美しい花が1本あります。」というとき「美しい」が形容詞です。同じように「2本の美しい花があります。」というときも「美しい」も「花」も変化しません。
英語ではどうでしょう?「美しい花が一本あります。」はThere is a beautiful flower.となります。同じく「2本の美しい花があります。」はThere are two beautiful flowers.とflowerのみが複数形になっています。
では、性・数一致する言語ではどうなるでしょう。フランス語を例に説明します。フランス語で数字の2はdeux(発音:ドゥ―)、美しいはbeau(発音:ボー)(女性形はbelle(発音:ベル)、花はfleur(発音:フルール)で女性名詞。
「美しい花が1本あります。」は Il y a une belle fleur.(発音:イリ・ヤ・ユヌ・ベル・フルール)となります。ここでまず「美しい」=beauが次に来るfleur(女性名詞)に合わせて女性形belleという形になっています。これが一致です。同じく「美しい花が2本あります。」はどうなるかというとfleurが複数形になることはもちろんですがfleurを説明するbelleも複数形にしなければなりません。フランス語も複数形は原則単数形+sで作りますのでbelle、fleurともに語末にsを付けて Il y a deux belles fleurs.(発音:イリ・ヤ・ドゥ・ベル・フルール)(フランス語では語末の子音は発音しない。)となります。
 このルールは慣れないうちは面倒ですが名詞の性を意識できるようになると意外とすんなり理解できるものです。逆に文章を読んでいるときその中に出てくる名詞の性がわからない場合も形容詞を見て判断できます。
 今回は前置きが長くなりましたがこのような色々な文法=ルールを少しずつお話しできたらいいかなと思っています。

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