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横浜日本大通りの建築(3)横浜市中区役所~彼我庭園
こんにちは、Akiです。
建築好き通訳ガイドの視点から、建物の魅力について紹介しています。
横浜の建築集中地帯のひとつ、横浜日本大通りの周辺にある建築を巡る記事、第4回目です。
前回ご紹介したストロングビルから横浜公園へ戻り、日本大通りへと向かいます。
![画像6](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/63369168/picture_pc_7353ad1c0fa8619eecf9224ced065640.png?width=800)
(出典:国土地理院ウェブサイト(https://www.gsi.go.jp/))
ストロングビルから横浜公園へと向かう横断歩道のところから、はす向かいに外壁の茶色いタイルが際立つ、「横浜市中区役所庁舎」が見えてきます。
横浜市中区役所庁舎
![画像1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/63366951/picture_pc_9e3ec6eba5a31c1cd2596546c5781389.jpeg?width=800)
この横浜市中区役所庁舎は、近代建築の巨匠ル・コルビュジエに師事した名建築家、前川國男氏の前川建築設計事務所の設計によるものです。
前川國男氏は、横浜で多くの建築を手がけており、中でも「神奈川県立図書館・音楽堂」は初期モダニズムの名建築として知られており、神奈川県の重要文化財に指定されています。
1983(昭和58)年に竣工した建物は、前川國男氏の最晩年のもので、前川建築によく見られる外壁の「打ち込みタイル」が特徴的です。
![画像2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/63367534/picture_pc_be5cec319849a03bac1943f85e5b3f29.jpg?width=800)
この打ち込みタイルは、打ち放しコンクリートの対候性に疑問を感じた前川氏が考案したものです。
コンクリートを打設する(流し込む)際、タイルと一体的に成形するもので、剥がれ落ちにくく安全であるといわれています。
横浜市中区役所庁舎の外壁タイルは、陶器質の釉薬がけタイルで、色合いが鮮やかで美しく、温かみのある印象を与えています。
この打ち込みタイルは、東京都美術館、国立西洋美術館新館、新宿紀伊國屋ビルなど、前川建築によく使用されています。
![画像11](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/63372730/picture_pc_b1b66668709932c20df4d2059c210eac.jpg?width=800)
横浜市中区役所庁舎の前の歩道に目を向けると、マンホールが並んでいます。
![画像3](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/63368781/picture_pc_a98b5a8838db64e15694ffe5fb27eff4.jpg?width=800)
これは、災害時に仮設トイレが設置できるように用意されているものです。
万一に備えて、こういうものがあるということを知っておくと安心ですね。
![画像4](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/63368836/picture_pc_f6cb42b64c15dbbbbf840ac5f2915bae.jpg?width=800)
この他にも、歩道のタイルは雨水がしみ込みやすく、雨の日にも歩きやすいなど、歩道にはさまざまな工夫が施されています。
彼我庭園(ひがていえん)
横浜市中区役所庁舎側からの横浜公園の入り口は、スクラッチタイルを使った、関東大震災復興期のレトロな門構えです。
![画像5](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/63369056/picture_pc_33403a8f1922a500e88c8817aae7fb16.jpg?width=800)
横浜公園のこのエリアは、小さいながらも本格的な池泉回遊式の日本庭園になっています。
![画像8](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/63370156/picture_pc_64270557c7b123a77ffb2357ca463a93.jpeg?width=800)
![画像7](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/63369813/picture_pc_a7ad41cb96d37cdd03b4596a9494164f.jpg?width=800)
1978(昭和53)年、横浜スタジアムが建設された際に合わせて整備され、「彼我庭園(ひがていえん)」という名称になっています。
これは明治時代に横浜公園が、外国人「彼(ひ)」と日本人「我(が)」が共に利用できたことから「彼我公園」と呼ばれていたことに由来します。
![画像9](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/63370212/picture_pc_b4339946a96329ae2df9629aded3e277.jpg?width=800)
ここの一角には、幕末のころに存在した妓楼、「岩亀楼(がんきろう)」にあった石灯籠が置かれています。
横浜公園の一帯は横浜開港時に埋め立てで造成された場所で、港崎(みよざき)町と命名され、そこには遊郭がつくられました。
![画像10](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/63371894/picture_pc_8d78455e21455beca11f8ba9fd683e20.jpg?width=800)
右側が横浜港、左側下に港崎町遊郭が見える(ウィキペディア(Wikipedia)より引用)
「岩亀楼」はその遊郭の中で最大規模の妓楼でしたが、1866(慶応2)年の大火事で遊郭は焼失してしまいました。
石灯籠の脇にはそのことを記したプレートが置かれています。
![画像14](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/63373589/picture_pc_550ce0fb28f61c03758494edd3552c91.jpg?width=800)
横浜スタジアム側にある彼我庭園の門には、幕末から明治にかけて横浜でつくられた、西洋瓦(複製)が使われています。
![画像12](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/63372788/picture_pc_5f2da7fc4fb773f75843f37e5a5c5bd5.jpg?width=800)
この瓦は、フランス人のアルフレッド・ジェラールが、横浜の山手地区で製造していたもので、彼の名を冠して「ジェラール瓦」と呼ばれています。
また、門の足元の礎石には煉瓦が使われていて、横浜らしい和洋入り混じったつくりになっています。
![画像13](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/63372872/picture_pc_d2ea2c02a0ed1ec106dde34155f61655.jpeg?width=800)
門に掲げられたへん額の「彼我庭園」という文字は、書家・金澤翔子さんの筆によるものです。
彼我庭園を出ると日本大通りが目の前です。次回から日本大通り沿いの建築を巡ります。
![画像15](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/63373811/picture_pc_82ef29af43fb7e50a5bebfd37ae82d00.jpg?width=800)
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