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家はいつ買うのが正解なのか

答えは「欲しい時」。
以上。


ただし「後先考えなければ」という条件付きだ。

これから資産形成をしていく、という経済状況であれば「持ち家は一番の贅沢品」なので手を出さない方が良い。
今後の転勤・転職や結婚・離婚・出産などで同居人数のダイナミックな変動があり得る50歳未満の人も慎重に考えたい。貸すのも売るのも、言うほど簡単ではないから。

不動産屋の売り文句である「人気の小学校区」というのも慎重に考えたい。
特にお母さん方は、どういうわけか「転校はかわいそう(だけどお父さんの単身赴任はかわいそうじゃない)」「小学校入学までに持ち家が無いと」と考える人が圧倒的に多い。素性の知れた育ちの悪くない親友とずっと一緒に育つ方が良い、という考えなのだろう。けれど、転校待ったなしの深刻なイジメがあるかもしれないし、親友が案外手癖の悪い子で、なんて困りごとも持ち家で回避できることではない。
そして素性の知れた育ちの悪くない親友は生まれたコミュニティに留まらないことが多い。中学受験して遠方に通う、お父さんの海外赴任について行って3年くらい欧米生活、なんてこともしばしば。
自分の子どもが中学受験や高校受験の際に、「家から無理なく通える範囲」という縛りが不利になる可能性もある。

さらに付け加えるなら、お上品な選民は人口の少数派だ。特別に上品でもないし、ものすごく賢くもない「普通の人」との付き合いを避けられない人生なら、早めに経験しておくに越したことはない。
私は、公立の中学で「札付きの不良」というのを間近で見て、大人も屈するしかない暴力や後先考えずに今だけを謳歌する子たちを見てきた。私の子どもも公立の小中学校で理不尽な暴力と対処方法を身に付けた。そんなもの不要な人生の方が良いけれど、大人の社会にも理屈が通用しない場面やゴネた者勝ちなことは山のようにあるわけで、いちいち心を折られずに済むように、受け身くらいは鍛えておきたい。

閑話休題。
家賃がもったいない論は、経年劣化や修繕費用を考えたら、持ち家より不利ということは無いから安心して良い。家賃とローン支払いが同レベルでも、持ち家の初期費用は賃貸と比較にならないほど高額だし。
資産価値の下がらない地域なら、という主張は、購入時点でも相応に高額な費用を考えたら、普通のサラリーマンには現実的ではない。

潤沢な資金さえあれば、資産価値が上がり続けるし御学友の質も悪くないであろう高級住宅街からスタートして、転勤や進学に合わせて利便性の良い地域のマンションを購入して住み替えていくことのがベストシナリオだろうか。
だが、残念ながら普通の人は一軒買うのが精一杯だ。そうであれば、賃貸住まいで株式投資でじっくり資産形成をしておいて、転勤転職や同居人数の変動の可能性が十分低くなったタイミングで持ち家というのもありだろう。
結婚出産後の早いステータスで持ち家にすると、退職まで住み続けることができたとしても、新築は築40年になっている。介護や最新の高性能住宅設備を考えてリフォームすると1〜2千万円。新しく建てるよりは格安だが、なかなかの出費だ。

ここで私の家族のケース。3代続けて人生の後半で家を買ってる。
父方の祖父は晩年に首都圏の建売住宅を買い、結婚を機に父母が住み継いでローンを返済した。
父は60歳で定年退職する時に東京から新幹線で2時間の距離に家庭菜園もできる程度の土地を買って新築注文住宅を建てた。株で稼いでいたのでローン無しだった。
私も50代で、中古だけど持ち家購入。私は転勤が想定される職種ではなかったのだけれど、勤務地都合による転居は2回目。

私の場合、ネコ飼育がなければもっと気軽に賃貸に引っ越せるのだけど、と思いながらの、ある意味仕方のない持ち家購入なので、これが正解とは思っていない。ただ、人生の後半で、十分お金を貯めてから買うと、とにかくゆとりがある、という点は悪くない。あと、猫暮らしをやめるつもりも無い。
こんな住宅購入タイミングもあるよ、ということで。