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転職癖は改善すべきなのか

転職癖みたいなことで悩む人々のnoteをいくつか読んだ。本人の悩みもあるし、配偶者の悩みもある。

転職や退職に伴う手続きや選抜などの煩わしさやストレスを考えたら、一箇所に留まってるよりエネルギッシュだし、転々としていても働き続けるのはすごいことだ。継続して無職と比べたら、転職する方が20万倍くらい頑張ってる。そこは評価して良い。経済評論家の山崎元さんは11回も転職してることを「成功」と言ってる。

頻繁な転職のマイナスポイントを挙げるとしたら「退職金総額が少なくなる」ことだろうか。これは回避できない。日本の退職金税制は20年以上同じ企業に勤続することを優遇しているから、
リスクとしては「採用時にマイナス評価される恐れ」「次の採用がなかなか決まらず無職期間が発生する恐れ」「給与含む就労諸条件の悪化の恐れ」があるが、いずれもリスクだから回避は可能だ。外資なら頻回の転職は問題にならないし、職種によっては豊富な経験はむしろ評価ポイントだ。市場価値の高い資格(弁護士、税理士)や慢性的に人手不足の業界(介護、運送)なら転職は非常に容易。資格×人手不足のコンボである医師、看護師、保育士などは転職最強資格ではなかろうか。
ただ、これらのリスクにさらされる「心労」は避けられないマイナスポイントになるだろう。特に転職当事者の家族はヤキモキさせられるに違いない

もっとも、この「ヤキモキ」も実は回避可能だ。
転職に伴う家族の心労の本質は「お金の不安」。
働かなくても問題ないくらいお金が潤沢にあれば心配する必要さえ無い。
そんなお金が無いから心配なの、と思う方は想像してみてほしい。節約すれば暮らせる程度の年金を65歳から受給できる家庭で、64歳10ヶ月目の転職活動が不安の種になるかどうか。
もちろん年金が潤沢でなければ生涯現役で働く必要があるけれど、それは転職とは別問題だし、いよいよ足りなければ生活保護がある。

かつて、夫の収入が先細りして無職になっているのに、収入改善のために全く動かなかった夫がめちゃくちゃストレスだった私。私がどれだけ悩んでも夫に働きかけても、状況は一切変わらなかった。悩むのも夫を動かす努力も無駄だった。
成果が出ないことにエネルギーを使うより、自分の仕事や投資に全振りする方が生産的だし心労も減る。そして、結果的に私のお金は結婚後の夫の稼ぎをはるかに上回るリターンをもたらしている。
 ありがとう、私が保有する株式たち。
 ありがとう、リーマンショックでも挫けず種銭を注ぎ込み続けた私。
お金があれば心のゆとりが全然違う。自分が癌になった時でさえ「お金なら十分あるから」と前向きでいられた。

繰り返そう。転職癖は、それ自体が問題なのではない。
問題は十分な金融資産が無いことだ。
節約でも積立でもダブルワークでも投資でも、あらゆる手段でさっさと資産を築いてしまうことが安心の必要条件。
仕事が続かない、と悩む暇に、資産を築くことを考えよう。

と、ここまで書いてふと思い出した、同級生の話。
同級生のお父さんは、勤めていると「自分で事業にする方が稼ぎが大きい」と考えて退職して同業で起業、事業がうまくいかず借金取りから逃れるために失踪→就職→退職して起業→うまくいかず廃業→失踪、というループを繰り返していた。「今、家にリース品のコピー機があるからコピーし放題」「また父が行方不明」「戻ってきて産廃の仕事に就いた」といった話をよく聞いた。お母さんが銀行勤めで家計を支えていたようで、いろんな人生があるなあ、と。そんな同級生は、自分も転職癖で家族を困らせるのではないかと不安がっていたが、ちゃんと働き続けている。子どもの反面教師として役立つなら、転職癖もそこまで悪いことでもないのかもしれない。起業して損失を出すこのような超絶アクティブタイプと比べたら、雇用主だけが変わるのはそこまで損失が大きくないとも言える。

そういう私自身は新卒採用された会社にずっといる上に部署異動もほとんどしていない。もしも夫がジョブホッパーだったら「落ち着いてしっかり昇進してほしい」くらいは思っただろう。
でも、それは私一人の経験と偏見に過ぎない。世界はもっと流動的。