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喋るよ鳥ト少しだけ長く④後半#インタビュー

大変お待たせ致しました!
演劇ユニットせのび第8回公演『踊るよ鳥ト少し短く』終演から1カ月が経とうとしているところで、やっと!主宰・村田青葉のインタビュー記事が完成しました!
今回はそのインタビューの後半になります。

前半はこちらから

演劇ユニットせのびの主宰、脚本、演出を務める村田青葉。
インタビュー後半では今後のせのびについて、そして本番が目前に迫っているINDEPENDENT in 盛岡について語っています。

せのびは今後どのような集団になるの?
INDEPENDENTで一人芝居に挑戦する髙橋は今一体どのような感じ?

それでは、はりきってどうぞ!!


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―今後もどんどん八芝でやっていきたいですか?

やらない?って言われたらやるかもしれないですね。やりたいことはいっぱいあるので。
ただ、八芝は企画で1000円でお芝居観れているけど、別にコロナがどうとかじゃなくて、価格を安く設定して自分らを安く見せちゃうのはもったいないなと思ってもいて。
消費するお客さん側からすれば安い方がありがたいっていうのは、自分も観る側なのでとても分かるんですけど。でも、安価で見せてしまうことは怖さもあるというか。もちろん高いお金を払って全然満足しないってこともあると思うんですけど、それは作り手側の問題であるので。
「これくらいお金とります。でも絶対満足させます。」っていうのは、作品モチベーションにもつながると思っていて。

―劇団としての持続可能性

持続可能で行きたいですよ。
演劇は娯楽と思われているというか、不要不急の急先鋒に上げられているように感じていて、「好きでやってんでしょ?」ってすごい肩身狭いんですけど。
逆に、好きで観たい人もいるはずなので。自分も好きで観たい側として、「潰してくれんな」って思うんです。好きでやる側、でもあるけど、観たい側でもあるので。で、そうして観たい人がいるから、当然それに向けて創作をしますし。

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―青葉さんは演劇が好きだっていうのはわかるんですけど、そういう風に人が集まれる場所をつくるのが好きなんだな、って

そうですね、空間づくりはすごい好きです。
演劇は時間と空間を共有する、っていうのはずっと言ってるんですけど、本当にその通りだと思っています。
だからボードゲームとか、誰かと一緒に遊ぶのが好きですし、それにモノをつくるのも好きなんですね。
だから時間と空間を共有しながらモノをつくれる演劇をやってるのかなって。
僕の精神が演劇に向いてるんですね、きっと。

―今回、宣伝としてnoteでの稽古場日誌を始めましたね

以前、ダンス公演に制作として関わった時にインスタグラムで日誌を書いていたんですよね。
その日どういうことに取り組んで、どういうふうに変化があったのかっていう。それが宣伝にもなるけど、これを蓄積するのは大事なことだねっていうのを創作者のみんなで話していて。
そういう経験もあったので、制作の石橋が個人的にnoteに稽古場日誌を書いているっていうのを見て、これはもうオフィシャルにしよう、と。宣伝もだし、創作の様子を表に出そうっていう意図があって。

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それが最近noteの記事であった「プロセスエコノミー」っていうのもつながるなと思ったんです。創作物の創作過程を売り物にしていくっていう。たしかに、自分だったら創作の過程が知りたいと思うからいいなと思いますし。
プロセスを大事にするっていうのは僕とかせのびで変わんないんだろうと思うので。

それはたぶん今回の公演で終わったり、解散したりするわけではない「劇団」という存在の強さだと思います。「今回の公演でここまで行こう」とか、「行けたのはどこまで」とかっていうのをストックして先に向かうためのものとして、すごくいいなと思っています。

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―劇団や劇団員というまとまりの強さは感じましたね

劇団の強さは感じましたね。
劇団への憧れは前からありまして。盛岡は、個人ユニットが多いっていうのもあって。当然、脚本を書きたいし演出もしたいっていう人が強いから、その個人ユニットにみんなが集まっていっている。もちろんその強さはあるとは思います。毎回新鮮な人でできるし、一番得意な分野で毎度毎度挑戦できるっていうのもある。
ただ、その一方で、長く劇団を続けなきゃ得られない何かもあると思っていまして。阿吽の呼吸というか。あと、劇団員だから無茶が利いたり、そういうのには憧れていて。無茶できるアホさというか、気を遣わなくていい間柄。
まあ、でも劇団ほど強制力のない集まりがよいから「ユニット」って名乗っているんですけど。
でも今回は演劇ユニットのメンバーで、大きい所に挑もうとはしていて、それはうまくいったのではないかなと。
ちゃんとチームとして取り組めたんじゃないかと、思っています。

―青葉さん楽しそうでしたもんね。いっつもですけど

ほんと?いやあ、たのしいよね、ものづくりって。

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―お客さんに見せる前が1番楽しいかもしれない

じゃあ、それこそプロセスエコノミーなのかもしれないね。
今回コロナ禍だったからできなかったけど、稽古場を開放するっていう取り組みをこれまでの公演ではしていたじゃないですか。見学者さんいつでもウエルカムですよ、みたいな。それも同じだと思っていて。最後に出てきたものを観るのは好きだけど、でも意外と創作の過程でどうしてこうなったのかっていうのを見るのも好きで。そういう機会をどうしていくかというのは今後の課題だし、そこにせのびらしさがあるのかなと。

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―まとまりが強まったせのび。次はどうしていきたい?

団体としてじゃないと動けない、じゃなくて、個人個人がいろいろ活動していく中で、じゃあ公演のあるときはみんな集まろっか、みたいな共同体がよいなと思っています。
だから個人個人がもう少しちゃんと立って、その人その人が面白いを巻き起こしてくれたらな、とは思っています。
劇団員にもそれぞれの「やりたい」があって、そのうちの一つに演劇があって。
せのびで何かをやるのが楽しいからせのびにいるっていう状況が1番いいかな、と。
脚本・演出の僕が強くなってしまいがちだけど、慶さんがいろいろ企画をプロデュースしたり、役者の方から「この脚本読んでみましょうよ」とか「これをやりたいので演出つけてください」とか、「わたし演出やりたいです」とか出てもいいし。個々がそれぞれ提案者になっていく集団になっていきたいですね。

―序盤でもINDEPENDENTのお話が出ていましたが、髙橋の一人芝居の脚本はどのような感じになっているんですか?

コロナが流行り出してからになるけど、INDEPENDENTをやる前からこういう話を書きたい、書かなきゃって思っていました。
それに時勢が加わって、ちょっとびっくりさせてみたいな、って思っています。
作風としては、ひやひやした感じの、冷たーい感じで劇を書きたいなと。
僕が書くものはハートウォーミングなものが多いと思っていて。せのびの公演だったらハートウォーミングなのを作ろうと思うんですけど、今回はせのびの公演ではないから、折角なのでいつもと違う書き口をしてみようかな、と。

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―髙橋はどうでしょう?

実際、彼女のおかげでせのびの初期は公演を打てていたところがありました。
ただ、当時は僕にまだ力がなかったからどう伸ばしてあげるかっていうのができてなかったんですけど、最近はわりとせのびの旗揚げメンバーから離れての創作が何年か続いていて、それから物理的にも、髙橋自身が卒論とか、就職だったりがあって、一緒にせのびで創作する期間がとれずにいたんです。
それで、11月の八芝で久しぶりに一緒に作って、そこからの12月にINDEPENDENTなので、2020年っていうこの1年のまとめになる作品かなと思っています。

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で、彼女は不思議な役者ですね。
すごい稽古場で悩むし、前に進まない感じがあるのに、舞台に立つってなった瞬間に肝が据わるというか。もはや稽古しなくていいんじゃないか、みたいな(笑)。
そういう意味では舞台に立たなきゃいけない人なのかもしれないですね。表に出る機会っていうのを増やしていけたらと思っているんですけど、でも彼女自身がそういうのを、自らは求めていないように見受けられるので、そこが難しいと言うか、そこに関しては僕は手を出せないので。
演劇をやるよって言えば参加してくれますけど。
だから、彼女が本気で舞台を欲してくれたら、また変わるのかもしれないですね。少なくとも僕から見たら彼女は舞台に立っていなきゃいけない人だと、舞台上に立っている時が一番輝いていると思うので。
INDEPENDENTでは、そういう作品にしましたしね。こちらも、引き続き挑戦ですが。


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文化庁令和2年度戦略的芸術文化創造推進事業
「JAPAN LIVE YELL project」

街なかアーツライブ

最強の一人芝居フェスティバル
INDEPENDENT in 盛岡

風スタHP→ https://kaze.iwate-arts.jp/?p=383
本家特設ページ→ https://independent-fes.com/re/mro20-info.html

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髙橋響子(演劇ユニットせのび)の出演回は、
12月25日(金)19:30
12月26日(土)15:00
12月27日(日)13:30

の全3回になります!

通し券だと全6作品が観られてお得!
皆さまぜひご来場くださいませ!

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本日をもって『踊るよ鳥ト少し短く』の稽古場日誌企画並びにインタビュー企画は終了となります。
読んでいただいた皆様、ありがとうございました!
日誌はアーカイブとして残しておりますので、もしかしたら公演が終わってからこの日誌と出会った方もいらっしゃるかもしれないですね。
どうぞごゆっくりとわたしたちの過去の記録をお楽しみください。

探り探りではありましたが、すこしでも多くの方に、せのびの活動、せのびの作品、せのびのメンバー、そして演劇ユニットせのびのことをお伝えできていたら幸いです。
「ではまたここで」というのが誰かの「また」に繋がってほしいなと思っています。

ではまた せのび でお会いしましょう!

〈インタビュアー・文・写真、石橋奈那子〉


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