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RISING SUN ROCK FESTIVAL 2019 in EZOに行ったよ その5(完結)

◾️鮭醤油ラーメン/石狩食堂

ホッカイカンタビレを見たあとは隣の石狩食堂で鮭醤油ラーメンをいただきました。

ライジングサンではなぜか夜中にラーメンが食べたくなりますね。気温が下がるので体が温まる。あと疲れた体がカロリーと塩分を欲するので……。

真夜中のiPhoneの撮影限界。

その後一度テントに仮眠へ。共にホッカイカンタビレを観ていた夫はそのまま七尾旅人を観て行くとのこと。

ライジング前には七尾旅人のことを完全に名前のイメージだけで「ナオトインティライミみたいな感じ?」とか言っていた夫ですが(全然ちがう)、当日物販ブースで見た七尾旅人Tシャツに一目惚れして購入し、それを着てちゃんと夜中のステージを観に行って、「めちゃくちゃ良かった!!」と大満足で帰ってきたので、楽しみ方が自由でよいなと思いました。

その後、テントで仮眠を取るも本眠になって日の出を寝過ごす可能性がありそうだったので、休憩もそこそこにカメラを持って会場内を歩き回ることに。

少し白んできた空に丸い月が浮かんできていい塩梅。
月明かりと七色の光にライトアップされた風車の下で歩いていたら、Dragon Ashの「Life goes on」が聴こえてきて、懐かしさを感じながらサンステ方面に向かいました。

◾️Dragon Ash/SUN STAGE

あまりがっつり聴いてきたわけではないのであれですが、「Fantasista」とか「静かな日々の階段を」とかが聴けたのでよかったです。「ROCKET DIVE」はちょっと間に合いたかったです。

そしてライジングサンの朝に聴く「陽はまたのぼりくりかえす」。
kj18歳か19歳くらいでこれの歌詞書いたのか〜と思いつつ、この10年20年の間に何かを続けてきた人、頑張ってきた人、頑張れなかった人、少しまちがえてしまった人、いなくなってしまった人、いろんな人のことをボンヤリと考えたりしました。
MCでは言葉少な目に、出演させてくれた主催や観客への感謝を述べつつ、またライブハウスから頑張ります、みたいな決意を告げていました。

日の出の予想時刻は4:43くらいで、その時間を超えて空が既にかなり明るくなっていたのですが、このとき太陽は見えず。

一瞬空が赤くなったもののそのあとすぐ赤みが消え、場所によっては大きくて厚い雲が覆っていたので、「あ、もしかしたらもう雲に隠れて上がってしまったのかな?」と思いました。

Dragon Ashがステージを去ったあと、サンステには主催・ウエスの若林さんが出てきて、「これで全部終了です。」と全日程の終了を告げました。

ライジングの大トリは大体毎年アンコールまでやるのがほぼ恒例になっていたので、あれ、アンコールないのか、と。とは言えスタンディングゾーンのお客さんはまだ諦めきれずに声を上げており、おそらく寝る間もなくこの3日間頑張ってこられたためか、例年に増して噛み気味?の若林さんとしても、アンコールはできればやってほしそうな様子。

出てきてほしいお客さんと主催、出てくる気配を見せないDragon Ash、出てくる気配を見せない太陽の三つ巴。

アンコールすんのかいせんのかいみたいな、微妙に収拾がつきにくそうな空気です。なんだかんだで主催が舞台袖に呼びに行くものの、あらためて断られてしまったのか、やっぱり終わりだそうです、みたいなことを言いながら締めようとして、お客さん達もなかば諦めつつ、声を上げた気持ちをどうしまえばいいのかわからない、しばし宙ぶらりんな時間が続きました。

台風中止からの無事開催の最後は諸手を挙げて終わりたかった気持ちもあるけど、でもまあアーティスト側にも色々な気持ちや事情があるだろうし、こんな年もあるよなあ、と気持ちを切り替えようとしたそのとき。

ステージに誰かが出てきて歓声が上がりました。Dragon Ash……じゃない、あれは…………本日4回目の細美武士だ!!

なぜか主催のマイクで喋り出すヘッドライナー。

「お前らさあ、アンコールってそもそも、呼んだって来るかどうかわかんないそういうもんじゃん。だから、出てこなくても文句言うなよ!でもそれでも全力で呼ぼうぜ。」

皆の気持ちの矛先をおさめにきてくれたのか……と思ったらどうやらちがった。むしろもうちょっと!もうちょっとだ!とか言ってコールを煽っている。

「いまDragon Ash大変な時だから、お前らの声がいちばん必要なんだよ。アンコールでもワンモア?でもなんでもいいからさあ、たのむよ。」

すごい。なんだかよくわからないけどジャンプ漫画の最終回みたいになってきた。

とは言え仮にうまくいかなくてもどの方面の誰も傷つけない、でもなんとなくどう転がっても収拾をつけられる言葉選びはさすがだなあ、と思っていると、袖から苦笑いのkjはじめDragon Ashの面々が登場。

「いやもう乾杯してたんだけど!」と笑うkj。
「将軍(TOSHI-LOW)が入ってきてやれやれって!」

どうやら細美さんが観客に話をして場をつないでる間に鬼がDragon Ashの楽屋に入って彼らを連れてくるという連携プレイが行われていたもよう。なんかこう、木更津キャッツアイでありそうなやつだ。

「ギターも壊れちゃったからもう歪まないけど」と言いながら歌い始めたのはザ・ハイロウズの「日曜日よりの使者」。

誰でも歌える名曲に通路に並んでいる人も笑顔になり手が振られて、日曜日だし、東から昇ってくるものはあるし、今このときにこんなに合う歌があるだろうかという選曲。

「たとえば世界中がどしゃ降りの雨だろうと ゲラゲラ笑えるライジングサンの朝」と替え歌してくれるkj。
歌い終わったあと「もー帰ってー!」と笑い泣きみたいな声で観客に言っててウケました。

ラストに「煽ったんだから(お前らもやれよ)!」とばかりにTOSHI-LOW、細美さん両者にギターを渡し、演奏されたのはこれまたブルーハーツの「青空」

この曲はLOW-ATUSでこの日の夜中にも歌っていたみたいなのですが、私は幸か不幸かちょうどこの曲を聴く前に力尽きてテントに戻ってしまったので、この日はここで初聴きだったんです。
ここで青空か!!って感動したので、今思うとそれはそれで良かったのかもしれない)

明け方の酔いどれた人とは思えないくらいきれいにハモる細美さんに、ギターソロ宮田俊郎!とフルネームでふられておぼつかないギターソロをはじめるTOSHI-LOW。自分でふっておいて「弾けんの!?」とゲラゲラ笑いながらも心配そうに見守るkj。なんだかバンド組み立ての中学生のようです。

ヒロトが以前、「ロックンロールバンドはドームだろうが教室の隅でホウキを持ってマネていようが関係ないんだよ。教室の隅でも、心の底から楽しんでロックができたらそこがゴールなんだ。」みたいなことを言っていたのに感動したのですが、それを思い出すような光景でした。

どこかぎこちないギターソロを弾き切るTOSHI-LOWと、なぜかそのタイミングで顔を出す太陽。
本当に、どこにでもいてなんでもやってくれるなあ。

そうして見事な朝日が昇り、大団円のラストで2019年のライジングサンは幕を閉じました。

◾️睡眠〜テント撤収

テント内が暑くならないうちに仮眠を貪り、8時頃に起きてしばし椅子に座ったりして風に吹かれボーっとし、そのあとテントを片付けて10時くらいに退場、というのがいつものパターン。

毎回まわりの撤収の速さに驚くのですが、ことしは1日しかなかったのもあってか、周りにも遅くまで残ってるテントがわりと多かった気がします。

リストバンド確認ゲートも夢のあと。

お店も早々に撤収。
フェス中はライブ、移動、休憩で忙しくてゆっくりお店を見たり美味しいものを探したり買い物する間がないので、終わったあとに10時くらいまで営業しててくれたら良いなあと思ったりします。楽しそうじゃないですか?え、みんな現実の生活があるからそうもいかないの?そうか……(劇画オバQラストの気持ち)

また来年。

フォレスト側の入口のセコマでいつもの感謝も込めて買い物をし、北のたまゆらで汗を流し、ご飯を食べて帰路につきました。

◾️おわりに

今年は台風による1日目中止という初めての事態で、一報が届いたときにはどうなることかと思いましたが、終わってみればその混乱や出演アーティストの気合いも含めてここ数年でもかなり密度の濃い、印象深い回になりました。
災害などがあると痛感しますが、そこにあることが当たり前でないと気付くと、見慣れていた景色が輝いて見えるもので。まあ、人間なのでまたすぐ忘れて日常に戻ってしまったりするのですが。

出演者、参加者、遠くから無事を祈ってくれた人、そして何より、事後の払い戻しも含め、想定外の対応をしながらもフェスを無事に開催してくれた運営・スタッフへの皆さんには感謝してもしきれません。本当にお疲れ様でした。
また、1日目を何より心待ちにしていた出演アーティストやそのファンの想いを考えると、来年以降ぜひリベンジしてほしいなとも思います。

また来年も、皆で無事に石狩の地に集まれますように。

個人的に見たものの総括をすると、後半見たステージに全部いて要所要所をしめてくれた、というのも含めてMVPは細美さんかなと思うのですが、終わってみればなんだかんだ「TOSHI-LOWに始まりTOSHI-LOWに終わったライジングサン」だったような気もします。おはようからおやすみまでいたな……。

善行と蛮行、優しさと恐ろしさが同居する、一言で是だとか非だとか断ずることができない数々の業の多さと深さに、彼が界隈で鬼と呼ばれる理由の一端を垣間見たような気がしました。なんだかんだしっちゃかめっちゃかな場面もありましたが、最後の最後の最後には結局何とかしてくれた彼らに、最大の感謝と敬意を贈りたいです。本当に長い時間お疲れ様でした。


◾️後日談

あれから1週間が過ぎ、北海道は一気に涼しくなり秋の気配。エゾの感動も日々の生活の澱の中に重ねられ少しずつ薄れていく中で、残り少ない夏を満喫したい夫が「ちょっとこれ行きたいかも」と言ってTOBIU CAMPのサイトを見せてきました。

なるほど、白老の芸術祭なんだ。音楽フェスというわけではないけどミュージシャンもいて雰囲気がとても良さそう。テントも張れるし。へー、ゴッチとかも来るんだ。行ってみようかな。

ん?


ん?


<おわり>

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