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「街の小さな映画館」第10回 別府ブルーバード劇場

塚本晋也監督が撮る!ミニシアターの魅力を伝える動画「街の小さな映画館」第10回は別府市唯一のミニシアター、別府ブルーバード劇場さんです!
1949年(昭和24年)創業の老舗の映画館。館長の岡村照氏は1931年生まれ。高校3年生のときからチケット売り場に座り、90代となった現在も現役で切符売りから映写までを切り盛りしています。照氏の人柄に魅了され、多くの映画人が愛してやまない劇場です。『野火』の初公開時には1918年生まれの映画看板絵師、松尾常巳氏(2020年逝去)が絵看板を手掛け、これが最後の作品となりました。

公開された動画では、レンガづくりの入り口から、多くの歴史と思い出がつまったロビー、名物の最前列の赤いソファー席、映写室などを辿ります。インタビューでは「死ぬまでテケツに座りたい」という館長の岡村照氏と「新人監督の作品もかけていきたい」と語る照氏の娘でマネージャーの岡村実紀氏、そして別府ブルーバード劇場に惚れ込み、2015年より館長補佐をつとめる映画ライターの森田真帆氏が劇場の過去・現在、そして未来について語ります。

第10回 別府ブルーバード劇場

【塚本監督から別府ブルーバード劇場へ】

名物シアター、別府ブルーバードです。
 
「野火」の宣伝を手伝ってくださった森田真帆さんから、僕の映画を上映したいと連絡があり、まずは「鉄男」を上映。高年齢のお客様が多かったブルーバードに、鉄男の扮装をした若い人たちなどが詰めかけ、ブルーバードの客層を変えたといいます。その後多くのゲストがブルーバードに訪れ、別府に、ブルーバードに、90歳を超えられた岡村照さんに恋して帰ったのは周知のこと。
映画の歴史と、暖かい人の触れ合いをいつも感じさせてくれるミニアター。それが別府ブルーバードです。

別府ブルーバード劇場
大分県別府市北浜1-2-12 ブルーバード会館2F TEL:0977-21-1192
https://www.beppu-bluebird.info/
座席数:80席
 
1949年(昭和24年)創業。現館長の父である故・中村弁助氏が「子どもに夢を与えたい」と平屋の小屋からスタートした。こけら落としはディズニー映画の『白雪姫』。市内の児童が応募した「青い鳥」が劇場名として採用されたが、洋画をメインで上映していたことからのちに名前を「ブルーバード」に変更。1955年には2階建ての建物に改装。日活の封切館となり名称も「日活ブルーバード」となる。1966年、現在の地下1階、地上5階のビル「ブルーバード会館」が開業。1970年、日活の路線変更を受け3階に入っていた映画館を直営として貸し出すことになり、当時喫茶店だった2階を改装。夫の昭夫氏とともに現館長の岡村照氏が経営を引き継ぎ「テアトルブルーバード」の名で洋画の再映館として再出発する。喫茶店のカウンターを残し、稼働式の椅子にサイドテーブルを設け、中で軽食がとれるスタイルだった。しかしほどなく昭夫氏が急逝。3日後に劇場を開けた照氏は劇場をカフェのない現在のかたちに再改装。1975年からは松竹の封切館となり「松竹ブルーバード」に改名。2006年の『武士の一分』を最後に、洋画・邦画問わず再映する現在のスタイルになり、館名も「別府ブルーバード劇場」となった。2015年より映画ライターの森田真帆氏が館長補佐として運営に参加。最初に企画したのが塚本晋也監督特集だった。2017年よりBeppuブルーバード映画祭を開催。現在、別府の街を舞台にしたショートムービーをてがける別府短編制作プロジェクトが進行中。長い歴史とともに、未来への展望がつまった映画館である。
 
【『野火』上映記録】
2015:8月15日~9月11日 *英語字幕上映 *先行舞台挨拶:8月5日(7月4日『鉄男』上映&トークイベント、7月25日~7月31日『鉄男』上映、8月1日~8月14日『六月の蛇』上映)
2017:8月5日~8月11日
2018:8月11日~8月17日 *メインキング・ライブ映像併映
2019:8月13日~8月16日
2020:8月11日~8月13日 *松尾さん追悼短編ドキュメンタリー併映
2021:8月18日~8月20日 *オンライントーク:8月18日
2022:8月5日~8月7日
 
関連動画:『松尾常巳さんレクイエム(短縮版)』 元同僚の監督:榎園京介


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