見出し画像

何故人によって酔っぱらい方が違うのか


お酒を飲んで酔っ払った時の反応は人それぞれです。
陽気になる人、やたら奢りたい人、泣き上戸、笑い上戸と様々ですね。

酒は百薬の長、と言うかと思えば、酒は気違い水とも言われます。
経験上、酔った時の反応はその人固有の反応に定まります。

では、同じ酔っ払いで態度が変わるのは何か理由があるのでしょうか。

少し調べてみましょう。

①お酒に酔っぱらうとは

そもお酒に酔っぱらうとはどういう事なんでしょうか。

摂取したアルコールは、胃と小腸で吸収された後、血管を通して体を巡り、肝臓で分解されます。肝臓で最終的に水と二酸化炭素に分解されて体外に排出されますが、分解しきれなかったアルコールは再び血管に戻ります。

この過程で徐々に酔いが冷めていくのですが、アルコールは血管を通して脳にも到達します。このアルコールが脳を麻痺させている状態が、「酔う」という状態なのです。
飲んだアルコールが脳に到達するまで30分から2時間かかる為、気が付いたら酔っぱらっていた、という事が起こるのです。

この酔った状態の反応には、脳の麻痺の部分に関連があるようです。そこでアルコールが影響する脳の場所と、酔った反応について見ていきましょう。

②酔い方と脳の場所の関係

それでは、酔い方と脳の関係について纏めてみましょう。

・普段より陽気になる、リラックスした気持ちになる。

アルコールを摂取すると、「ドーパミン」という脳内物質が分泌されます。ドーパミンは「楽しさ」を感じる働きがあるので、気持ちがほぐれたり、何か楽しいと感じたりします。

さらにアルコールは、「セロトニン」という脳内物質も分泌されます。セロトニンは「幸せホルモン」の別名があり、緊張や不安といった感情を抑制し、また緊張や心拍、血圧の上昇を上げるノルアドレナリンの分泌を抑える働きがあります。

その為アルコールを摂取すると、緊張や不安が解けて、楽しい気分になるので気持ちが陽気になったり、リラックスした気持ちになるのです。

これは脳の部分の麻痺とはまた違った脳の働きと言えます。

・気分が悪くなる、吐いたりしてしまう。

アルコールは胃や小腸から吸収され、血液を通って肝臓で分解されます。その時にアセドアルデヒトに分解され、その後二酸化炭素と水に分解されますが、アセトアルデヒドは人体に対して毒性が高く、頭痛や吐き気、動悸を引き起こします。これが二日酔いの主な原因と言われています。

気分が悪くなる人はこのアセトアルデヒトを分解する酵素が少なく、発汗や排泄によってアセトアルデヒトが体内に残りやすく、その為気分が悪くなってしまいます。

吐くという行動は、このアセトアルデヒドを体外に排出するための生命維持活動と言えるでしょう。お酒が弱い人は、ほどほどにしましょう。

ここまでも、脳の部分の麻痺とは違いますね。

・気分が大きくなる、性格が変わる

アルコールが脳に到達すると、まず脳の周辺にある大脳新皮質という部分が麻痺を起こします。この部分は「人の脳」と言われ、理性や情緒を司る部分です。
この部分が麻痺すると、大脳新皮質の下、大脳辺縁系の働きを抑える事が出来なくなります。大脳辺縁系は本能的な欲求を司る所の為、普段理性で抑えていた本当の感情が表に出てくるのです。

酔うと普段と違う態度が出る人は、大脳新皮質がアルコールによって麻痺していると言えます。

・酔った時の記憶がない

大脳辺縁系の中に海馬という部分があります。大脳新皮質を通り越して大脳辺縁系が麻痺してしまうと、海馬が司る記憶に障害が起こります。飲んだ次の日に前日の行動を覚えてないのは大脳辺縁系の麻痺によるものです。

・フラフラする、まっすぐ歩けない

大脳新皮質の下は脳幹と呼ばれる部分になります。脳幹は自律神経を司る間脳、体のバランスを取る中脳、生命中枢である延髄から構成されています。
アルコールが脳幹まで達し、中脳にまで及ぶと、体のバランスが取れなくなり、転んだりまっすぐ歩けなくなります。

また、自律神経が狂う事で体温、血圧を調節できなくなり、睡眠時に適切な状態を保てなくなります。泥酔後起きても疲れが取れないのは、間脳の麻痺が原因の一つです。

・酩酊状態、意識がない

脳幹の下の延髄は、呼吸や心拍数を自動的に司る、生命維持装置です。プロレスの技で「延髄切り」という技がありますが、それだけ急所だと言える所です。
ここまでアルコールが及ぶと、完全に酩酊状態になり、言語の支離滅裂、意識混濁が表れます。最悪の場合、低体温症や呼吸停止を起こし、死に至る事になります。

③適度な酒飲みを目指して

日本人の4割が、アセトアルデヒト脱水酵素を持っていない、つまり全くお酒が飲めない体質である事が分かっています。一応飲む事で別の脱水酵素が増え、飲めるようになる人もいますが。
アルハラ、という言葉が定着し、昔ほどアルコールを強要するケースも減りはしましたが、水商売の方など、飲む事が仕事の方もいらっしゃいます。

お酒の研究が進み、お酒は少量なら身体に良い、という定説が覆りつつあります。しかし、まだお酒によるコミュニケーションは必要だと思います。

なので自分の適量を見極めて、お酒に強くなるのではなく、自分の楽しめる範囲を見つける、その方が長くお酒と付き合っていけるのではないでしょうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?