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疫病禍の旅々2 小倉

線状降水帯という新しめのワードを知らしめた2020年7月九州の記録的豪雨から1年が経った。人類の脅威はウイルスだけではない。むしろここ近年は記録的悪天候に日本人は悩まれ続けてきた。
一方2020年の私といえば自分史上短期間最長ページの仕事を終えとりあえず自由に、これからは気楽に旅もできると思った矢先の緊急事態宣言。
人生何があるかわからないというがさすがに全世界的なものとあってはどうしようもない。パンデミックなどという状況は一年半前からすると「隕石がー」「宇宙人がー」「ゾンビがー」レベルの妄想に近い。
しかしそんな戒厳令的なものも6月には解除、いよいよ旅仕事の方に本腰を入れよう、と。なにしろ仕事が終わったということは収入が減ったということでもあるから。私の旅関係の仕事は2か月に1回、締め切りに合わせて一件取材をこなせばいいのだが20202年6月末の時点で先の状況がどう変化するのか見えないのでとりあえず簡単に行けない遠方の取材ネタを何件か貯めておくことにした。
で、今回のその遠方とは九州。飛行機で宮崎から入って3県くらい回ろうと早めに飛行機、宿の予約を完了。
だが予定日の7月が近づくにつれ感染者数増加、百合子の顔色みるみる深刻になり都民よできれば他県に行ってくれるな、と仰る。
だがそれ以上にこの時のの九州への道を阻んだのが当日の九州南部大嵐の予報。さすがにこれは飛行機では無理と判断し当日朝にキャンセル。この頃世間の状況もあってか当日キャンセルはたしか1000円で済んだ。
代わりに新幹線による陸路に変更。あくまでこの日の九州入りはあきらめない。北側なら天気もそれほどではないだろうなどと勝手に思っていた。

急遽指定席予約した新幹線、とりあえず当時人流制限は解除されてはいたがガラガラ。途中通過時に見た京都駅の生気のなさにいまだ疫病禍の中にあることを実感。机仕事の毎日から解放されての晴れやかな旅といきたかったが程遠い気分の中6時間かけて小倉に無事到着。
まずは日豊本線に乗り換え別府に向かう計画であったがなぜか大分方面への案内表示がない。駅員さんに聞くと悪天候で動いていないと。新幹線に乗っている6時間の間に低気圧は九州北部に移動していたのだ。
小倉からの在来線がほぼ動いていない状態であった。時間が経てばなんとかなるかと3時間ほど待ったが一向に動く気配はなかった。
災害時のニュースをテレビで見ながらこんなの旅の途中だったらどうすんだろな~なんて呑気に思っていたものだが、まさに今の自分がそれ。
これはは本日中大分へは無理と判断し予約していた別府のビジネスホテルへキャンセルの電話。ホテルの当日キャンセルは原則全額払いなのだが事情もあってかキャンセル料なしにしていただいた。
さらに現地での計画変更は自分初のケースでホテルの予約変更などいろいろ面倒が予想された。時間はすでに夕方、まずはここで一泊するしかないが小倉は結構な都会。この時間ビジネスホテルの空きはあるか?と心配したが余裕で空いていた。そもそも街に人が少ない。ありがたがるつもりはないがこれも疫病禍のおかげだろう。
小倉駅周辺はそこそこの雨量だったが後に知る大分や博多以西の状況に比べればどうということはなかった。
変に時間ができてしまったので駅前の北九州市漫画ミュージアムへ。
松本零士御大ゆかりの地ということもあり駅前周辺は有名松本キャラ像たち、そして無法松像。ちょっとした混沌だ。
ミュージアムは展示だけではなく自由に漫画が読めるスペース、さらには漫画家を目指す若い人のためのイベントなど催されたりと自分も若い頃こんなところで育ったら人生変わったかも、いい所だな~などと自分の現職業も外の天候も忘れ変な感慨に浸らせてもらった。
さて問題は明日だ。計画通り大分へ進むか別のコースを考えるか?早朝の天気で決めるしかない。
こんな旅は初めてだ。旅を楽しむということからは程遠い状況ではあったが今までにない想い出に残る旅の1日目となった。

疫病の旅2


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