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ああ、あれが最後だったのか・・・

ここでは疫病蔓延の約3年間、仕事(イラストコラム)のため感染の波、そして規制が緩い時期を狙って出かけた旅の経験、当時の観光地、交通などの様子を記録することを目的としていたのだが・・・
世界的一大事に出かけてることの申し訳なさ、しかも今までにない状態が妙に楽しかったりと世間様に公開するにはいささか筆が進まないという状況に陥ってしまい気が付けば今年2023年の現在、全く規制のないゴールデンウイークを迎えようとしているという(いまココ)。
今回書こうとして遅々と進まなかった長崎の旅も既に2年前のこととなり
さすがに自分の記憶の中でも風化しようとしている。これは内容がどうあれ書いておかないと「疫病禍の旅々」の意味がなくなってしまう、ということであくまでも記録という名目で再開させていただく。

2021年春、前日佐賀県唐津の虹の松原を眼前に見下ろすホテルに宿泊。おそらく今年2023年の同じ時期に泊まったら2倍くらいの値段になっているのではないだろうか。とにかく疫病禍の思い出の筆頭は宿泊費。いいのか?って恐縮してしまうくらいが安かった。
本日午前中には長崎へ到着すべくとりあえず唐津駅から佐賀行きの電車に乗る。通勤通学時間は基本避けるのだが「まあ疫病禍だから」と思って乗ったら普通に混んでた。既に第1波から1年以上経っておりリアル世界は警戒しつつも多少日常に戻ろうかという感じでそれは東京も九州も変わらないのでしょう。いやむしろ東京のほうがピリピリしていたというのが当時の空気。

それはさておき疫病とはまったく関係なく、私は長崎市が好きだ。
親類縁者はおろか知人すらおらず仕事においても何のゆかりもない土地だが
特に今現在長崎方面に向かっている、この時間は何にも代えがたい至高の時と言っていいだろう。
まずは佐賀に到着、一旦改札を佐田駅前をぶらぶら後あらためて特急かもめ長崎行きの乗車券を買う。私は鉄道好きだがマニアを自称するにはあまりにも掘り下げがなっていない。この特急かもめの券を買いあとは長崎行特急かもめが来るのを待つだけ。しかしこの時の私はちょっとでも鉄道をかじっている人なら周知の事実に気が付いていなかった。

特急かもめに乗って長崎に行くという行為がこれで最後になっていたということに。


翌2022年、長崎新幹線開通に伴い特急かもめは廃止になることをまったく念頭に入れていなかったのだ。知らなかったんだから仕方がないとはいえ、あの時わかっていればもう少しましな過ごし方、接し方もできただろうにという思い。これから先さらに増えることだろう。
それとは別にリアルタイムではちょっとした危機が起こっていた。
指定席を予約した特急かもめ、遅れが生じていたのだ。しかしいくら遅れようが電車は来るだろうし長崎にはいずれ着く。なによりこうして長崎へ向かっている時間が長いほど幸せだ、通常なら。
だた今回は勝手が違って軍艦島クルージングツアーを予約しているのだ。
ちょっと遅れるのは都合がよろしくない。ちなみに軍艦島ツアーは始まった当初、予約が難しいと聞いていたが今回は予約自体はすんなりできた。現状観光として定番化して落ち着いたのか当時だけの疫病禍のなせる技なのかはわからない。少なくとも今年2023年のGWこれから予約しようとするのはなかなか難しいかもしれない。

で、ツアーには午前、午後の2便あり今回の予約は午前の便はさすがに危険と踏んで午後の便にしておいたのはよかった。とはいえこの手のツアーはあまり参加したこともなく手続き等は早めに済ませなきゃいけないのか?時間思ってるほど余裕ないんじゃね?など持ち前のマイナス思考が先行して特急かもめが来るまでの本来幸せなはずの待ち時間が不安なものになってしまった。30分遅れくらいの特急に無事乗車してからもいろいろ調べ事でスマホを見入って過ごすというつまらない令和人間的移動時間の使いかたをしてしまい長崎に近づいているというお楽しみ時間を半ば自ら放棄していた。
それでも何個かトンネルを抜けたくらいだろうか、いきなり現れるあの長崎の斜面地に否が応でも日常から解き放たれる。何度見ても思う・

圧倒的じゃないか、長崎の斜面地は。


ここは異世界でしょ、流行りの。長崎の人はどんな日常を過ごしているんだ。当たり前だが疫病禍においても長崎の風景は素晴らしい。
かくして自覚のないまま特急かもめにての長崎への最後の旅は終わろうとしている。そして駅に降り立った後、変わらぬはずの長崎の風景とはまだ違った現実を見ることとなるがそこはまた次回。

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