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#ミステリィ

『ギャンブラーが多すぎる』ドナルド・E・ウェストレイク(著)木村二郎 (訳)

くすくす笑えるドタバタ・ミステリィ。主人口がひたすら勘違いされ、巻き込まれまくる(笑) 主人口がノミ屋に勝った金を受取りにゆくと、そのノミ屋が殺されていた。警察とギャングに事件に関係してると思われ追いかけられるはめに。 これぞ巻き込まれ系という感じで只々楽しい。勘違いを釈明しようにも、全然話を聞いてもらえないし、たまに釈明出来ても信じてもらえない。その事態に主人公がキレてゆく(笑) 序盤からの勘違いラッシュも笑えたが、終盤の謎解きパートが一番酷い。謎は解けてないまま乗り

『キュレーターの殺人』M・W・クレイヴン(著) 東野さやか(訳)

ワシントン・ポーシリーズ3作目。1,2作目はポーが事件に巻き込まれてるので、そろそろ別パターンが来るかなと思ってたら、まさかこう来るとは…。勘弁してくれと祈りつつページを捲ったよ…。 お話は、クリスマス明けに、別々の場所で3人分の指と謎のハッシュタグが発見されるというもの。指は生前に切り落とされたものと、死後に切り落とされたものがセットで置かれており…。 中盤まで、ポーの洞察とティリーの分析が冴え渡り、まさかそんなという繋がりが見えてくるも(読んでて何一つ予想できなかった)

『特許やぶりの女王 弁理士・大鳳未来』 南原詠(著)

楽しくて一気読み! 最初はテンポ悪いし、説明口調だしで、小説へたくそなのかと思いきや、慣れてきた終盤は筆もノリノリで面白い。 タイトルに特許やぶりとあるので、特許をいかに回避するかとか、特許を回避したらその方法も特許が取られてたとか、そんなお話を想像していたが、まったく違って、わりと普通のミステリ。テーマが特許で、主人公が弁理士というだけ。しかし内容は、Vtuberのもとに測量機器メーカーから特許侵害の警告が届く、という現代的にして意味不明なツカミにぐっと引き込まれる。

『優等生は探偵に向かない』ホリー・ジャクソン(著) 服部京子(訳)

『自由研究には向かない殺人』の直後から始まる地続きの続編。前作で捕まった人の裁判と、新たな依頼の行方不明人探しが並行で描かれる。 前作は明るく楽しい雰囲気だったが、今作はかなりダーク。人々のゲスさが目立つ。ピップは正義を行っているはずなのに、街と対立してゆく。 後書で知ったが、3部作だそうな。なので2作目は当然落とす。ラストは再び飛び上がると信じてるが、終わり方が結構不穏だったので、結構心配…。 とはいえ、今作も抜群のテンポで面白い。今作でピップは前作の事件簿をポッドキャ

『われら闇より天を見る』クリス・ウィタカー(著)鈴木恵(訳)

素晴らしい読み応えの悲劇。ミステリィ成分は薄め。登場人物たちが見事に坂を転げ落ちる様が悪夢のよう。読んでいて辛いがページをめくる手が止まらない。ダンサー・イン・ザ・ダークみたいなラストを覚悟していただけに、ラストはやや拍子抜けだが、善とは、正義とは何かを読後も延々考えさせられる。 ちなみに、「翻訳ミステリ史上、最高のラスト1行。」というキャッチコピーはゴミなので無視しよう。全編素晴らしい。 海辺のど田舎(最近は別荘地になりつつある)で、過去の事故を引きずりなんとか生きてる母

『ロンドン・アイの謎』シヴォーン・ダウド(著)越前敏弥(訳)

傑作ジュブナイルミステリィ。ミステリィとしても高得点だが、家族ドラマとしても100点満点! 美しくて感動してしまった。子供も親も楽しめる超オススメの一冊。 お話は、もうすぐニューヨークに旅立つ母子が、主人公一家の家に泊まりにきて、ロンドン観光で巨大観覧車に乗りにゆく。子どもたちだけでチケット売り場に並んでると、知らない男がチケットを1枚だけ譲ってくれ、客で従兄弟のサリムに譲ったところ、1周しても観覧車から降りてこず失踪、行方不明になってしまう、というもの。主人公とその姉が責

『絶品スフレは眠りの味』チェルシー・フィールド(著)箸本すみれ(訳)

ちょいエロミステリィ。中年向けラノベという感じ。 29歳バツイチ女性が闇金の借金を返すため、危険な毒見役をすることになるのだが、本筋はとくに関係のない同僚を助けるための犯人探し。なのでそもそもあまり感情移入できない上に、全然関係ないルームシェアの話とか、上司の尻の話とかで集中力が削がれる。闇金の取り立ても、いつ本筋に絡むのかと読んでたら、最後まで一切関係なし。すべてが中途半端。 毒見のお話なので、毒見師イレーナみたいなのかと思っていただけに、豪快に肩透かしでこけた。 #

『殺し屋、やってます。』石持浅海(著)

ひとりにつき650万円で承ります。ビジネスとして「殺し」を請け負う男、富澤。仕事は危なげなくこなすが、標的の奇妙な行動がどうも気になる―。殺し屋が解く日常の謎シリーズ、開幕。 殺し屋が日常の謎を解く、というのに惹かれ手に取る。北村薫の円紫師匠シリーズみたいなやつかな、と期待したが、それ程では無かった。サイコでブラックなオチが好きな人にはオススメかも。 ドライでビジネスライクに人を殺すサイコ気味な主人公が、些細な謎にひっかかりを覚える所が面白いが、肝心の謎部分が大した謎でも