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日記 眠れなかった夜の幻覚と悪夢の話

昨晩は異様に目が冴えて眠れなかった。

とにかく眠くなくて頭がバチバチするように興奮していたので22時ごろにおもむろに釉薬のテストピース作りを始めてしまい(私は陶芸を仕事にしている)、粉を乳鉢で擦るうちに深夜1時を回り、いい加減に寝ようと布団に入れど全く眠気がやってこない。夕飯を食べてから4〜5時間ほど経過してるのでめちゃくちゃ腹が減っているがこの時間から食べ始めるわけにもいかない。頭は無益なことを考え続けるし腹は空っぽで気持ち悪いし、完全に覚醒状態である。
それで、まったく眠れないのに無理矢理寝ようとしたせいか、この夜は幻覚に襲われた。
いうなれば覚醒からのバッドトリップなので完全に危ないクスリを決めたかのようだが昨日は誓って一滴の酒も飲んでいない。むしろ飲んでないから眠れなかったのかもしれないので行くも地獄引くも地獄である。アル中に未来はない。

幻覚の中、私はまず自分が人間の身体なのかどうかがわからなくなった。
具体的には自分と、普段陶芸で使用している粘土と、腐敗物の差異がわからなくなった。
とにかく眠らなければと焦る反面、なんのために眠るのか、寝るとどうなるのかが理解できない。粘土は放置していると段々水分が抜けて乾燥していくのだが、自分にも同じことが起きると思い込んでいる…というよりも、寝ると固まるなぁとぼんやり且つ自然と思っている状態である。そして土は乾燥させると水をよく吸うので粘土にも戻しやすいのである。私はなんのために寝ているのかというと疲れを抜くためなのだが疲れを抜いた後硬くなって水を加えたら一気に崩壊することになる。布団の中でそれはダメだろう。でも私は人間なので皮膚がある。意外と崩れないかもしれないがだとしたらどうやって水が抜けるのか、乾燥しながらもカビていく饅頭のように徐々に固まりながら菌に侵されていくのか、もはや中がドロドロになった野菜のように切り開いた途端に腐敗した膿が流れ出すのか、水を加えるととけるのか、眠りたいのに眠ると土くれというか肉袋というか腸詰というか毒風船とでもいうものに変化するようなしないような意識がないようなあるような……

……といった風にわりと強めにうなされてしまった。
不思議なことにうなされながらも同時に「いやこれ起きたら絶対どういう妄想だよって思うやつだなぁ」とも考えていた。
ただ脳みそのほとんどでは、寝てる自分と、バケツにつけておいたら水分でふくらみつつもろもろ崩れていく乾燥した粘土(※細かすぎて伝わらない)と、中身だけ腐ってぶよぶよになったリンゴ、みたいなもののイメージが目蓋の裏でめまぐるしくフラッシュしており、それをとても気持ち悪いと感じていた。どういう妄想だよと思った。
ほどほど時間の経った頃、ようやく「俺は人間!!!!!!!睡眠は乾燥ではなくたぶん睡眠というもの!!!!!!!人として!!!!!!!ヤッホー!!!!!!!!!」と強く念じて手足の指を握り開き皮膚と筋肉の存在を確認して、携帯を引き寄せて見ると4:40くらいだった。つかれた。
マジで『睡眠』の意味がわからなくなった時はちょっと怖かったし、土塊のように自分をこねて変形できるとも思っていた。インフルエンザ脳症ってこんな感じなのかもしれない。流行のピークは過ぎたが体調管理には気をつけようと思う。

その後なんとか眠りにつき、なぜか徒競走をやらされる夢を見た。
夢の中はどうやら近未来で、人が肉体を自由な形にいろんな場所に構築できるような世界観だった。おそらく先の幻覚を引きずっている。
大勢の人が走る番を待つ列に向かって謎の上位存在が「人間はもはやどこでも瞬時に移動できるようになり走ることになど意味はない!ではなんのために走るのかというと!見るものに感情を呼び起こすためである!よって勝者は髪をなびかせ体育服の裾をはためかせきらめく汗を飛び散らせた若さあふれる情緒を示したものとする!二位は転倒ドジっ子!!三位は・・・」等と演説しているあたりで目が覚めた。
目が覚めてからいくらなんでもそれはねぇだろ幻覚の方がまだ内容がマシだわと思った。

#日記

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