短歌おきば 2019-06-23/07-31 (降順)

つきもなく人を待ちたるうはの空ひかる花火につづくおとづれ

手乗りしてこれにまされるこがねなしオオゴマダラの蛹ぞたふとき

あけぼののつゆに酔ひたるうつせみの身にもしらるる入梅晴かな

まこも草まことにおもひ言ひ淀むさはの上にぞ葉は浮きいづる

雨ふるは地固めならむ梅天に伽藍たてよとな仰せ下しそ

ながめてしゑにすならぬも祈るらむ八大竜王雨やめたまへ

たよるべきみちもたえたり道芝の露と消えなむかひなき身かも

睡ければぽにゃりと寝なむぬるたまの夢にねがはくぼたもちを見む

かきくらすあめの下にぞすみわぶるさせるつまなき宿はあれたり

せうせうのながめいつほどはれゆかむ窓うつ音ぞききいとわしき

喞喞と存在を託ち泣くやうに冷えた腓腹は撫でても怠い

わが身世にふるをながめて足しげき馬陸ぞみればうらやすでよき

ひこひことつのをどりたるあまびこやすでにのすればいやすでたちぞ

雲の間にレムブラントは見つけたり野も袋路も照らす梯子を

あからひく朝のねびえの身をかばひとかげの姿体ときよしばらく

ねびえしてさみだれ髪をけづりつつとかげのポーズ時よしばらく

ちどりたつ千日詣りかがち背に自撮りするなりブルカも面も

風に知りうらに立ちたるさざなみのよるの身にしむあはれなるかな

小虫まふ天の川波よるなればあふせ待つひに身のこがるかも

たなばたに見ぬだにとはにかささぎのはしきよし人しらざらめやは

生くならばりちぎ者にてあらむこそやっとことっちゃあうんとこなたれ

わがうろにつめておもひの累なるにつゆとこぼして消なましものを

ひたみちのけぶりとならばのぼりあふやくものかげに人かくれまし

なにゆえにかくありけむと問ふほどに汝は空っぽと内なるこゑす

くき高くうきにたふときいろ咲めばむべこそ愛のはなといふらめ

朝ぼらけ雉鳩のなく青東風はあきの来ざるに人ぞ恋しき

朝明に二度寝か起くか決めかねてさしむき遠き地鳴き聞きゐる

うち歩きくぜるも止まむ香のぬしはいづこと問ふてくちなしのはな

谷にみつ香に足とめてあふぐ陽にうかびてのぞくやまゆりの花

陽にばかりめづるものかは梅雨寒のながめにぬるる丹頂のばら

電網の八十原越ゆるてふならば人を問へども関は咎めじ

かぞへよむひつじのこくにひるいしてゆめのただぢへいざなはれまし

にごり江のすみがたくうにはいのらずや波おそふ身のあまのすくひを

うつ波のそこに沈めるうにに添ひおへるみるめにならむとぞ思ふ

うつ波にうにはうきこそ知らずともうらみに沈み転くを知るかも

のちの世はうまきうににやなりなまし波のよる身にうきをしらねば

さみだれの一夜の夢だにならまほしうくこともなきわだつみのうに

黄吻児具せぬ求聞持物倦じ遁辞で万事桐壺源氏

あぢさゐの花のよひらにまどろみて世の憂きことも夢と見てしか

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