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宇野昌磨選手を応援していたら3年経っていた

いつの間にか3年経っていたので、備忘録として。

 スケートに限ったことではないが、母がスポーツの試合をテレビ観戦しているときに発する奇声(ワー!キャー!時にはあー、という声)が大の苦手だ。だから、フィギュアスケートをはじめ、バレーや卓球、その他競技と名の付くものを率先して見たことがなかった。

 私のスケートへの興味の入り口は、アニメ「ユーリ!!!on ICE」だった。しんどい思いをしながら最終話まで見終え、ちょうど現実世界のGPファイナル辺りで、初めてフィギュアスケートの試合をきちんと見たと思う。なので2016年末。年が明け、シーズン終盤の世界選手権も見ていた。興味は持ったけれど熱心に観るほどではなく、ただ、誰の滑りが好きかというのは、ぼんやり認識し始めていた。そこで認識した男性スケーターが、パトリック・チャン元選手と宇野昌磨選手。滑りに惹きつけられたのを覚えている。

 宇野選手にフォーカスすると、当時19歳。戦績に興味を持っていなかったし、選手の名前を知らないような無知の状態で見ていたけれど、よく目に飛び込んできたのが彼だった。

 この辺りでふつふつとフィギュアスケートの沼にハマりはじめた。

 2017年シーズン

 初めてアイスショーに行った。10月のカーニバルオンアイスと4月のスターズオンアイス。個人的に宇野選手のエキシで大好きなのがThis TownとSee You Again。好きなものを生で観られて楽しかった。このショーの間にあった思い出深い試合が、GPシリーズとオリンピック。どちらも付随する言葉が思い出深い。まず、GPシリーズ。試合後のインタビューで記者から「(ジャンプの失敗があり)オリンピックまであと3か月ですが…」という質問をされ、「100日あれば何でも1から作り直せる(だから修正できる)」と言い切った言葉に、勝手に力をもらった。今でも指針にさせてもらっている。そしてオリンピック。実はオリンピックが始まるまでは「オリンピック」をさほど意識していなかった。というか、いつもと違う大会だしそんな気にして見るほどでもないな、という謎の心理だった。いざ始まると「やっぱ試合じゃん!!」という気持ちになりつつ、宇野選手が前々から口にしていた「1つの試合」として気負わず見ていた。このシーズンは演技に魅せられながら宇野語録に勇気をもらったり、笑わせてもらったりしていたと思う。

 2018年シーズン

 宇野選手が自己改革をした時期。自分にプレッシャーをかけ、結果を求めて試合に臨んだ分、シーズン通して険しい表情が多かった。シルバーコレクターが四大陸選手権で優勝し金メダルを手にした時に、やっと笑顔を見ることができた。本人の人生なので本人のやりたいようにやってほしいと思いつつ、久々に見られた表情によかったねぇ、と安堵の気持ちが大きかった。そこから世界選手権の台落ちを経て、シーズンオフにコーチからの卒業を発表。樋口美穂子先生とのタッグが大好きで、宇野選手自身、コーチから離れる気が全くないというインタビューを幾度も見ていたので、青天の霹靂だった。

 そして2019年

 コーチ不在のままシーズンに突入。今シーズンの演技をきちんと観たのはGPシリーズ・フランス杯から。自己ワースト8位になった試合…だけれど、私はだいぶこの試合を気に入っている。SPで出遅れ(というほどではないと思うけれど)、FSのDancing On My Ownが始まる。ピアノが鳴り、俯いていた顔を上げたときに見えた、キッとしたとても険しい表情。この表情が焼き付いて離れない。バッタバッタとジャンプで倒れ、レベルを落としまくって、およそ宇野選手とは思えない演技だった。キスクラでの点数待ちの間中、フランスの観客の方々がずっとショーマコールをしてくれていて、1人の彼を支えるように温かい声援を送ってくれていて、宇野選手の涙や、声援に応えようと頑張って笑顔を作ろうとしている姿を見て、こちらが泣いた。会場が選手に寄り添ってくれる人たちでいっぱいで、尊かった。そして、どこまで調子が悪くても、私は、宇野昌磨という選手のスケートが大好きだと言える確信を持った。
 2週間後のロシア杯。臨時でステファン・ランビエールコーチが帯同してくれた。私がコーチがいてくれてよかった…と何より思った瞬間が、FSが始まった時の宇野選手の表情。フランス杯冒頭の険しい顔つきを思い描いていたけれど、一転、とても穏やかな表情だった。憑き物が取れたような、こんな顔を見るのはいつぶりだろうと思える程に凪いでいた。徐々に回復していることを感じさせる試合内容と、その後に「僕、四回転スルーしやがって」が誕生した宇野昌磨節炸裂のインタビューを聞けて、爆笑してロシア杯が終わった。
 そこから約1か月後の全日本。ランビエールコーチに帯同してもらい、師事することを宇野選手自身が年明け前に早バレさせ、大会中ずっとにこにこしていて、釣られてこちらがにこにこする程だった。SPのGreat Spiritはキレキレの演技でフィニッシュし、ガッツポーズにピョンピョンと跳ねる珍しい姿が見られた。彼がやっと解放されたのだと思う。私の記憶に残っている1年前とも2年前とも違う、全日本での表情。全日本というより、どの試合とも違う表情だった。心から楽しんで滑っていることが感じられた。FSでもそれは同じで、滑り始まってすぐの光景が「美しい、綺麗」という言葉が出る程に、音楽とスケーティングが一体となっていた。試合中でもにこにこしていることがすごく嬉しく、もう演技が終わったの!?と驚くくらい短かった。結果的に四回転をSP2本、FS3本、クリーンではないけれど揃えたことが復調としては十分すぎる成果だと思う。伸び伸びと滑る姿と満面の笑みを見て、本当の意味で私は宇野昌磨選手のファンなのだと、胸を張って言えると思った試合になった。

 後日、宇野選手がブログで

最後に、皆さまに本音を言います。僕は僕のままで充分で、、
今のままで本当に幸せです。これからもマイペースに頑張りますので、
皆さまもマイペースに、のんびりと見守ってください。

そう教えてくれた優しさが沁みた。

 ありのままの宇野選手を応援していくので、気負わず、楽しく、残りのスケート人生が豊かなものになりますように。周りのことは気にせずに、やりたいことをやりきってほしいなと、改めて1人のファンとして思ったシーズン前半でした。

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