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「引っ込み思案」のままで結果を出す方法

PRESIDENTオンライン 2018/07/06 より 
モラ・アーロンズ=ミリ

https://morraam.com/

成功するために外向的で常にやる気がある必要があるという一般的な考えに反し、150人以上の企業家や経営者へのインタビューから、彼らが必ずしも外向的なスーパースターではなく、不安や人見知りの特徴を持つ人も多いことがわかった。
例えば、人気メディアのCEOでも人見知りを感じることがあり、成功したビジネスパーソンであっても、内向的な性格や不安を感じながらも、必要な時だけ対面での仕事に対処し、家でリチャージすることで成功を収めている。

「ウィメン・オンライン」は、社会貢献を目的とし女性を支援するマーケティング会社です。
この会社は、オバマ大統領の選挙活動支援やマララ・ユスフザイと国連の女子就学支援事業に貢献するデジタルツールを提供するなど、多岐にわたる社会的影響力を持つプロジェクトに取り組んでいます。
経営者として10年の経験を積み、自分自身の心理的限界と個性を大切にしながら、日々の業務に取り組むバランスを見つけています。
重要なプレゼンやスピーチの際には、短い休憩を取り、自分をリセットする時間を確保することで、内向的な性格を持ちながらも成功を収めている様子が伝わります。

このライフスタイルは、仕事と休憩のバランスを大切にし、それには一定の経済的コストが伴います。
成果や会社の成長ペースが他の仕事仲間より遅くなるかもしれないという犠牲があるにも関わらず、それが自分にとっての成功であり、満足しているという考えが伝わってきます。
かつてはメディア界の重鎮を目指していましたが、現在は「いつか」ではなく「今日」を重視し、自身にとって意味のある生き方を選んでいます。
これは、自宅で快適に仕事をすることを選び、自分らしさを大事にするという意思の表れであり、自身の価値観に沿った成功を収めていると言えるでしょう。

失敗への恐れは心身に害を及ぼすと同時に、成功するためには無謀である必要があるという社会的圧力は、その不安をさらに強めます。
不安に駆られることで、自分が目指す価値や目標に相応しいかどうか自問自答し、それがネガティブな自己認識のループに陥る原因となります。
バズフィードの編集長モーガン・シャナハンの言葉を借りれば、このような思考は自分自身への失望感、他者との比較による劣等感を生み、常に他人を優れていると感じさせるものです。
他人の成功を見るたびに、自分の不足を感じ、それがさらなる不安を生むというわけです。
このように、自分と他人を比べることで生じる不安や疑問は、個人の精神的な負担となり、健康を害する可能性があります。

対人恐怖症を持つ人は、他人の感情や反応に対して非常に敏感であるため、これが予期しない才能となり、特に仕事上での人間関係やクライアント対応において大きな利点となることがあります。
心理学者エレン・ヘンドリクセンによると、人見知りや不安を感じる人は、その敏感さから他者のニーズを敏感に感じ取ることができ、「社会に対するアンテナが敏感すぎる」のです。
これにより、不安を感じつつも他人の期待や感情を読み取り、それに応じた行動をとることができます。

このような人は、会議室に堂々と入ることは難しいかもしれませんが、その場の空気を読んで適切に対応する能力を持っています。
対人恐怖症の人々は、他者に否定的な印象を与えていないかという過度な心配をすることがありますが、この感受性が他人との良好な関係構築に役立っています。

自分自身を「みんなわたしのことを好き」とポジティブに思い込むことは、自己肯定感を高め、不安を有用なツールとして活用する戦略です。
この方法は、対人関係の中で生じる不安を緩和し、自信を持って行動するための有効な手段となっているのです。

不安を感じることは、実際にそれがリスク管理や万全の準備につながるため、一見ネガティブな感情であっても、肯定的な側面を持ちます。
心配することで、スピーチの内容やプレゼンテーションの流れを事前に繰り返し練習し、それによってより準備が整い、自信を持って臨むことができます。
例えば、ヒラリー・クリントンが討論会で見せたように、徹底した下準備は批判の対象となることもありますが、それは同時に、その人が任された仕事や状況に真剣に取り組んでいる証拠です。

不安があるからこそ、人は可能性を広げ、様々なシナリオに備えて行動します。
このプロセスは、問題発生時に冷静に対処できるようになるという、大きな利点を生み出します。
不安を感じること自体が、その人が責任感を持ち、自分の役割を真剣に考えている証しであり、このような姿勢は多くの場合、成功への道を切り開くものです。

行動を先延ばしにすることは不安を増幅させるだけなので、恐怖や不安を感じる時こそ、即座に行動に移すことが重要です。
最も恐れている仕事から手をつけることで、不安が和らぎ、その後の仕事にも前向きに取り組むことができます。
タスク完了後に自分への小さなご褒美を用意することも、次への良い動機づけになります。

人と直接会わなければならない状況を避けることは常に可能ではないものの、無駄な会議やランチを避け、それらに投資する時間やお金をより生産的な活動に振り向けることができれば、効率は大いに改善されます。
また、会議に早めに到着することが、不安を感じる人にはさらなるプレッシャーになるかもしれませんが、クライアントには好印象を与える可能性があります。
結局のところ、プロアクティブな態度は、不安を乗り越え、自信を築き上げる上で非常に有効な戦略となり得ます。

自分の不安を管理し、失敗を防ぐためには、支援システムの構築が有効です。
部下、友人、家族、専門家との連携を図り、自分の強みや弱みを理解して支え合うことで、不安を軽減し、効率的に仕事を進めることができます。
計画的に物事を進める能力は、困難な状況でも対応できる基盤を築くことにつながります。

具体的な行動計画を立てることも、不安を和らげるのに役立ちます。
例えば、出張の際に子どもを預ける手配をすることで、不安なく任務に集中できます。
ADHDの治療を受けた仕事仲間のように、日常生活の管理法を取り入れることも一つの方法です。
リスト作成、優先順位の設定、タスクの細分化は、効率的な仕事の進め方を構築します。
具体的には、最も抵抗感のあるタスクを先に済ませ、次に容易な作業に移ることで、一日をバランスよく過ごすことができます。

これらの方法は、不安をコントロールし、生産性を高めるための個人に合わせたプロセスを作り出します。
自己管理のスキルを向上させることで、仕事もプライベートも充実させることが可能になります。

「観客が全員パンツ一丁だと思え」というアドバイスは、緊張感を和らげ、状況をユーモラスに捉えるためのものです。
対人恐怖症に苦しんでいる場合、このようなイメージトレーニングは、他人に対する不安を軽減し、気楽に対話を楽しむきっかけを作ることができます。
他人の完璧さを仮定する代わりに、彼らも自身と同じように緊張したり、悪い日を過ごしているかもしれないと想像することで、共感の感覚が生まれ、関係が築きやすくなります。

また、他人の言動を注意深く観察し、マネすることで、自然と人とのコミュニケーションが取りやすくなることもあります。
このような行動は、自分の不安にばかり焦点を当てるのではなく、周囲の人々への関心を高める効果があります。
他者への共感や関心は、対人関係において肯定的な印象を与え、自分自身も前向きな感情を持つことができます。

さらに、周囲の人々の状況や悩みに気づくことは、自分自身への理解を深め、支援の輪を広げることにもつながります。
人に手を差し伸べることで、自分もまた助けを求めやすい環境が生まれ、健全で協力的な職場文化を築くことができるでしょう。

モラ・アーロンズ=ミリ
職場のメンタルヘルスに焦点を当てた著名な起業家、著者、およびスピーカーです。
彼女は社会的影響力のあるエージェンシー「Women Online」を設立し、女性インフルエンサーのネットワーク「Mission List」を作成し、後に売却しました。
アーロンズ=ミリは、彼女の仕事に対して数々の賞を受賞しており、2020年のアイリス賞で年間起業家賞、2023年にはメンタルヘルスアメリカからメディア賞を受賞しています。
また、彼女は「The Anxious Achiever」や「Hiding in the Bathroom」など、プロフェッショナルな環境での不安や内向性を管理する方法について洞察を提供する書籍の著者でもあります。
彼女のポッドキャスト「The Anxious Achiever」は大成功を収め、トップマネジメントおよびビジネスポッドキャストとして認識されています。
ハーバードケネディスクールおよびブラウン大学から学位を取得しており、彼女はさまざまな著名な出版物に貢献し、専門界でのメンタルヘルス意識の提唱者として活動しています​​​​​​​​。


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