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対談:「ゲームで生きていく」の研究 (第1回)

毎回専門家のゲストをお招きして、旬なネタ、トレンドのお話を伺います。

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今回から恐らく5回ぐらいでお送りすることになる対談は、岡崎女子大学子ども教育学部の花田経子先生にお話を伺っていく。

花田先生にはじめてお会いしたのはちょうど10年前、東日本大震災の年に新潟県越後湯沢で行われた「情報セキュリティワークショップin越後湯沢」だった。多くのワークショップが開催される中、花田先生が司会として進行を指揮していらっしゃったことから、仲良くさせていただいた。

今回のテーマはちょっと漠然としているところだが、ゲーム、マンガ、アニメといったファンタジーの世界に寄り添いながら生きていく人生とはどういうものか、といったことを考えていきたい。

2014年頃から行われたYouTubeのキャンペーン「好きなことで、生きていく」は、YouTuberを1つの職業として捉えるということよりもむしろ、生き方や仕事に対する考え方として、若い世代、とくに子供たちには大きく刺さった。

将来の目標が設定しにくい現代において、大好きなゲームで食べていけるならそんな幸せなことはない。かといって、子供たちも生活の糧をそれで稼ぐのは簡単ではないこともまた、理解している。

子供とゲームの関係は、教育と相性が悪い事もあってなかなか研究が進まない分野であるが、花田先生のゼミではそのあたりにも踏み込もうとしているということで、お話しを伺わせていただくことになった。

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小寺:ちょうど今僕のほうで、青少年に対するネット依存の本を書いているところなんですよ。ゲーム依存症まではいかないんですけど、その手前、ちょっと心配してるぐらいのあたりを救っていくような書籍にできないかな、ということで書いているところなんです。

花田:ボーダーにいる子たちに、「ここを守れば疾患にならずに安心して使えるよ」とか、心配される保護者にそういうことを伝えるよ、という趣旨で合ってますかね。

小寺:そうです。そこで、先生がFacebookにもちょこっと投稿されてた、子供たちとゲームの関係の考察について、もうちょっと詳しいお話しを伺えないかなと。

花田:わかりました。私が最初に小寺さんとお会いしたときはもうちょっとビジネス寄りのことをやってたんですが、今はもう完全に教育のほうに移っていて。教職課程なので、情報モラルを教育としてやっていくことができる先生を育てなきゃいけない、という立場なんですね。

そういう事情で、ここのところはずっと愛知県警と組んで教材開発したりとか、シャチハタさんにご協力をいただいて、慶應義塾大学とのプロジェクトの一環でスタンプラリー教材開発とかやってる。

画像3・岡崎女子大学子ども教育学部の花田経子先生

で、どちらも結局、「スマートフォンを最初に持った時に気を付けるべきこと」とか、中学校に入るとSNSを使うようになるので「SNSをどうしようか」という話が中心で、ゲームの話はやっぱりまだ、一応問題関心は高いんだけど、そこを中心的に話すということがなかなかできないというか。学校現場でできる環境にまだないかな、という感じはしますね。

小寺:なるほど。

花田:で、ゲームの研究はなんでやり始めたかというと、学生がすごくゲームに興味を持つんですよ。この4月卒業していった学生が3人ぐらい、ゲームにものすごく興味があって。

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