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小寺の論壇:Yahoo!ニュースにコメント欄が必要なわけ

10月18日の話になるが、「Yahoo!ニュース」内にあるコメント欄の投稿において、11月中旬より携帯電話番号の設定を必須化すると発表した。不適切コメントの防止策だとするが、これまで匿名だからめちゃくちゃだったとか、不適切なコメントを書くと電話がかかってくるとか、そういう事ではない。

そもそもYahoo!ニュースは日本最大、そして老舗のニュースプラットフォームである。会社に着席するとまずYahoo!ニュースを立ち上げるとか、ブラウザのホームがYahoo!ニュースであるとか、そういう人が未だに沢山いる。それってどうなのーと思われると思うが、それってどうなのーって感じの人は意外に世の中に沢山いて、それゆえにYahoo!ニュースは大きな影響力を持っているというわけである。

読者諸氏の中でYahoo!ニュースにコメントを書いた事がある人がどれぐらいいるのかわからないが、月間で1050万件の書き込みがあるという。コメントを書き込むためにはYahoo!アカウントが必要になるが、アカウントの作成には、電話番号が必須である。電話番号宛にSMSで確認コードが送信され、それで紐付けされるからだ。

以前はSMSが受信できない人(固定電話しかないとか)のために、別のアカウント作成方法もあった。だがすでに現在はSMS必須の方式に一本化されている。

今回問題になったのは、コメント欄に不適切投稿を行なって投稿停止措置を受けたユーザーの5割以上が、電話番号の登録がないユーザーだったことである。加えて不適切投稿ユーザーは、投稿禁止措置を受けるのを見越して複数のアカウントを取得しており、それらを使って不適切投稿を繰り返していた。

そこで携帯番号を使って、重複ユーザーを絞り込んでいこうというのが、今回の措置である。加えて、現時点で電話番号登録のないIDからの投稿も禁止する。

とはいえ、現在はSMSも受けられる格安SIM事業者が数多くあり、実質電話番号縛りでユーザーが絞り込めるのか、微妙なところである。

■「人を扱う」ということ

記事を書く側からすれば、記事に一般読者からのコメントが付けられる機能にどれだけの意義があるのかな、とは思う。例えば朝日新聞デジタルの場合、「コメントプラス」というコメント欄を設け、120人以上の有識者がコメントを書くという方法論を取っている。これはニュース記事だけでは語られなかった背景などの補足情報が読めるため、有意義だと感じる。

そういうものならともかく、一読者の感想などを見せられてもなー、というのが正直なところだ。特にYahoo!ニュースは、事業者自身のオリジナルニュースとして「Yahoo!個人」はあるものの、大半はよその報道機関からの転載である。オリジナルにはないコメント機能を提供するという意味では、存在意義はあるかもしれないが、すでにその役割はTwitterに移っているのではないだろうか。

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