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小寺の論壇:アジア太平洋地域で加速するAIと、方向性が異なる日本の姿

知財、IT産業、ネット、放送、買ったもの、ライフハックなど、コデラの気になるところを語ります。


6月14日、AWSがAIスキルを持つ人材育成について新しいプログラムを立ち上げるということで、記者説明会を開催した。その中で、説明会では抜粋しか述べられなかったが、今後のAI活用についてアジア太平洋地域各国の雇用者と労働者を対象としたアンケート調査の結果も報告された。今回はこの調査をベースに、アジア地域での今後のAI活用と、その中での日本の立ち位置を考えてみたい。

今回の調査は、AWSとコンサルディング会社Access Partnershipが共同で行なったものである。実際の調査は昨年10月から11月に行なわれたもので、もう半年以上が経過している。AIの世界は半年経てばかなり状況が変わるものだが、意識調査として参考にはなるだろう。

調査対象としては、雇用者の国と地域はほぼ均等に割り振られており、分野としては金融、ICT、行政サービス、製造業で過半数を占めるが、分類できないその他が30%と、かなり多くの分野を網羅したものと思われる。

**雇用主調査回答者プロフィール**(”2024 AI Skill Report 加速するAI活用 AIスキルに関するアジア太平洋地域の雇用主 および労働者の意識調査”より引用。以下の資料も同様)

労働者側についても国の割合は同じで、技術専門職、技術専門職以外の技術職、非技術職でほぼ1/3ずつとなっている。技術専門職以外の技術職ってなんやねんという話になるだろうが、説明によればカスタマーサポート担当者、テクノロジーマーケティング担当者、開発チームと他部門との連携を図るプロダクトマネージャー等ということである。また非技術職も完全に肉体労働者というわけではなく、事務員や管理スタッフ、カスタマーサービス担当者等が該当するという。

年齢層は25歳から54歳までをバリューゾーンとしており、ほぼ労働者の中心年齢となっている。

労働者調査回答者プロフィール

■AIに対する期待度  

まず労働者側の意識からまとめてみる。今後5年以内に生成AIの利用が大幅に拡大すると考えられる労働者の割合では、どの国でも技術専門職、専門職以外の技術職、非技術職の順で期待度が高いことが見て取れる。

2028年までに生成AIの利用が”大幅に”拡大すると考える労働者の割合 職種別

![](https://aws-website-fridaylunchbuffet-hos6w.s3.amazonaws.com/img/ml244/cap008.jpg)

日本と韓国で割合が低くなっているのは、すでにかなりの業務がIT化されており、カスタムツールやオリジナルのアプリもそこそこある中、そこにAIが入ることでどうなるのか、うまくイメージができていないのだろう。

AIスキル習得によるキャリアアアップを考えている労働者の割合を世代別に見ると、Z世代からミレニアル世代にかけて非常に意欲的である一方で、ベビーブーム時代と言われる、団塊ジュニア世代でも7割弱が意欲的だ。そこには「いやーパソコン苦手でねぇ…」という姿はない。

AIスキル習得によるキャリアアップに対する世代別関心度

また生産性が向上するであろうと見ている割合は、国によって多少バラツキはあるものの、平均では50%と、かなりの向上が見込めるだろうと労働者は思っている。この割合は今後の話で重要になるので、ご記憶願いたい。

労働者の生産性向上

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