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あのころ

久し振りに自転車で用事を済ませに出かけた

途中に大きな陸橋がある

最初はゆるやかな上りだが進むにつれてちょっと気を抜くと止まってしまいそうな坂になっている

その上りのちょっと苦しい時に、ふと過去の事を思い出す


あの時も大きな陸橋だった

生活の為に子供達の為に必死だった

雨の日も風の日も雪の日も片道約1時間かけて歩いて職場まで通勤していた

雪の日の猛吹雪の時は大変だった
髪も凍りまつ毛に雪が積もった

仕事前に約1時間もかけて歩くのはとてもしんどいので少しの雨や雪の日も自転車で通勤する事もあった

勿論、雨でずぶ濡れだけど仕方なかった
こんな自分が惨めで辛くて哀しくて泣きながら帰る事もあった

陸橋を通るたびに昔の事を思い出して

あの時は片道約1時間、往復2時間もよく歩いたなぁ、あれでよく働いてたなぁと当時を振り返り

あの時の辛かった事を思い出してまた哀しくなっていた


その後の仕事も朝4時起きで5時から働いていた

夏場だったので自転車通勤だったが雨の日はずぶ濡れだった

でも無理が祟ったのか病気になって入院した

その病気になった事がキッカケで失ったものは大きかったけれど自由になった

頑張りすぎたからちょっと人生の休憩

あのころの自分がとても可哀想で誉めてあげたくて、でも切なくて泣きたくて…

複雑な感情を抱いていた


秋の風が吹いて黄色い枯れ葉がひらりひらりと落ちていく

深まる秋に想うのはいつもあのころのこと


好きな珈琲を飲みながら窓の外を眺めて、ふとそんなような事を思い出していた。



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