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世界標準の経営理論リソース・ベース・ビュー(RBV)


(再掲)読書は決してはやくはなく、じっくり脳に問いかけて読むタイプです。そして好奇心旺盛の為、積読になりがち・・・。なので、一つひとつのパラグラフごとに振り返りを書くことに挑戦します。

 この820ページは必ず、積読にせず完読し、自身のモノにするべくレビューを書き続けるチャレンジをすることにしました。いつまで続けることができるか自分との勝負です。(再掲終了)

 ここから、SPS理論と並んで有名なリソース・ベース・ビュー(RBV)です。SPCは、構造-遂行-業績(structure-conduct-performance)の頭文字をとったもので、アウトプットの構造・戦略を分析します。RBVは、人材、技術、知識、ブランドなどの企業のリソースに着目しています。

RBVの期限となる4つの論文

以下、当著ではRBVに関わる論文を解説しています。(以下引用)

①1959年ベンローズ

 企業は経験を通じて、人材・技術などのリソースを活用する術を学ぶことで成長する。リソース不足は成長の足かせともなる。

②1984年ワーナーフェルト

 アウトプット側でも、リソース側でも、完全競争の条件を崩すことで超過利潤が高まるのは同じ。

③1986年バーニー

企業はリソースなしにはアウトプットがつくれないのだから、まずはリソース側を独占すべき。

④1989年ディエリックスとクール

 企業がリソースを一時的に独占できなくても、それを他者に模倣されたらその価値は、長続きしない。リソースは他者が模倣しにくいものでなければならない。

競合に対して模倣困難性を高める3つの基準

 ④-1.蓄積性の独自性

 企業が時間をかけて組み合わせて蓄積したリソース群は模倣されにくい。

 ④-2.因果曖昧性

 因果関係が複雑なリソースの組み合わせほど模倣されにくい。

 ④-3.社会的複雑性

 複雑な人間関係・社会的関係に依拠されたリソースは模倣されにくい。

 他社が真似できないことをするための判断軸がここにありました。これはありがたいですね。

RBVまとめ

 企業の構造、遂行、業績からアウトプットに目を向けたSPC理論と、企業の人、技術、知識、ブランドというリソースに目を向けたRBV理論の論争は極めて興味が深かったです。どちらも、納得させられるものですが、目を向ける度合いが違い、その論述が、反論したり、引き離したり、繋げだり、組み合わせしたりすることで、新しい論述が生まれているのが、私自身の脳を柔らかくする機会になった感覚でした。

 私自身が捉えたのは、SPC理論とRBV理論をいったりきたりした戦略をつくるとより確からしいものができるのではないか?ということです。

 企業活動において、既存の産業構造がどんな収益性で、どんな競合がいて、その競合がどんなことで差別化を測っているか?を分析し、一方で、対象事業においての、人、技術、知識、ブランドなどの強みは何なのか?を蓄積の独自性、因果曖昧性、社会的複雑性から分析します。その上で、これから取るべき戦略が導き出されるのです。

 当著には、アップルの「デザイン力」を例に出されています。いかにして、アップルはサムスンとの模倣困難性を築いたのか?が解説してありました。ここには、対象事業自身が模倣困難性を築いていることが、社会的に認知されるきっかけとなった経緯もあります。

 「他社真似できない強みをつくろう」、「ならではの」「オリジナルの」「ユニークな」はよくきくフレーズです。ここでは、その判断軸として、歴史から積み上げられるもの、よく分からないもの、複雑に絡み合ったもの、そして、社会的認知の視点を学びました。

さて、SPC理論でも限界がありました。次回からRBVの限界の解説となります。


つづく