ABO血液型とは?
みなさんは血液型についてどのくらいご存知でしょうか。今回は血液型のABO血液型について解説していきたいと思います。少し専門的な文言が多いと思いますが、最後まで見ていただけると嬉しいです。
1. 抗原
ABO血液型は、1900年にLandsteinerによって発見されました。ABO血液型は、血漿(血清)中には自己のもつ抗原とは反応しない抗体が必ず存在するという「Landsteinerの法則」が成り立ちます。ABO血液型の型を決定しているのもは「糖鎖抗原」です。糖鎖抗原によってABO血液型が決定されているため、その糖鎖抗原も血液型によって異なります。A型の糖鎖抗原は「N-アセチルガラクトサミン」です。B型の糖鎖抗原は「D-ガラクトース」です。O型の糖鎖抗原は「L-フコース」です。糖鎖抗原にはⅠ型糖鎖とⅡ型糖鎖の2つがあります。Ⅰ型糖鎖は、赤血球膜上に存在するABO(H)抗原です。Ⅱ型糖鎖は、体液中(血小板、臓器、唾液)に分泌される血液型物質(A、B、H型物質)のことです。抗原の発現レベルは、成人>新生児となります。生後2〜4年に成人の抗原発現レベルまでに発達すると言われています。
2. 遺伝形式
ABO血液型は、第9番染色体の長腕に存在するA、B、Oの3つの遺伝子によって決定されます。メンデルの法則に従っており、両親から1つずつ遺伝します。A遺伝子とB遺伝子は優性形質、O遺伝子は劣性形質です。ここで言う優性と劣性の違いは性質として現れるか否かです。優性遺伝は、その性質が子に発現します。劣性遺伝は、その性質が子に発現しません。
A型で例えてみます。AAをもつ人はもちろんA型です。AOの人は、Aが優性なので性質として現れますが、Oは劣性なので性質として現れません。したがって、AOはA型となります。AOとAOの子がO型(OO)になる可能性もあるため、A型の人同士でも異なる血液型の子が生まれてくることもあります。
日本においての出現頻度は、A型が約40%、B型は約20%、O型が約30%、AB型が約10%とされています。
3. 亜型
ABO亜型は、赤血球上の血液型抗原量が遺伝的に少ない型とされており、出現頻度も稀です。A型亜型、B型亜型、O型亜型、AB型亜型があり、日本人ではB型亜型のBmが最も多い亜型です。
A型亜型は抗Hレクチンと強い凝集反応を示します。しかし、抗A1レクチンとは反応しません。抗Hレクチンとはハリエニシダの種子から抽出したH抗原に反応する植物凝集素のことです。抗A1レクチンとはフジマメの種子から抽出したA1抗原に反応する植物凝集素のことです。
日本人ではB型の亜型である「Bm」が最も多いです。オモテ試験(O型)、ウラ試験(B型)と判定されます。抗B抗体を用いた吸着解離試験によってB抗原を確認できます。
O型亜型で有名なのが「Bombay型」で、H抗原をもちません。出現は極めて稀です。
AB型亜型はA2B、AXB、A1BX、AmB、A1Bm、AelB、A1Bel、cisABなどがあります。「cisAB型」は、A遺伝子とB遺伝子が同一染色体上に存在して遺伝しています。アミノ酸置換により生じ、AB型とO型の親子関係が成り立ちます。そのため、家系調査が必要となります。
4. 血液型の変化
有名なもので、「後天性B」があります。後天性Bは、腸内細菌感染(E.coli、P.vulgaris)によって、オモテ検査でA型がAB型に変化する現象のことを言います。
見てくださって、ありがとうございます。では、また。
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