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Reading Record #3 Jun. 2024

2024年6月に読んだ、5作品を紹介します。

*注意していますが、ネタバレも含みます。


15. 君が残した贈りもの

著:藤本ひとみ
出版年:2023
出版社:講談社

高校生の上杉和典が主人公である、「KZU」シリーズの一冊です。中学時代の友人が亡くなったことを知った上杉は、事件の解決ではなく、その友人が死の目前に考えていたことを知るために、納得を求めて、他のKZメンバーの協力を得て、調査を開始します。
「探偵チームKZ事件ノート」の人気キャラクターの訃報を知り、私はとても衝撃を受けました。何度も読み返してしまうほどでした。私が信じられないほどなのだから、上杉や他のKZメンバーの悲しみや悔しさは相当なものだろう、と想像すると、さらに心が痛みます。

16. クララとお日さま

著:カズオ・イシグロ
訳:土屋政雄
出版年:2021
出版社:早川書房

英語の授業の課題で、『Klara and the Sun』を読む必要があり、その前段階として、背景や著者の考えなどを深く理解することを意識しながら、日本語版を読みました。
向上措置(遺伝子編集)を受けて病気がちになってしまったジョジーのAF(人工親友)となったクララの語りで物語は進行します。お日さまの力を信仰するクララが、その力を借りてジョジーの健康を取り戻そうとすることが、この作品での最も大きなイベントになっています。
ディストピア小説とも捉えることができるこの一冊は、AIとの共生を強いられている現代でこそ意味がある作品です。AIに利用されるのではなく、AIを利用することの重要性を伝えてくれます。

17. ペスト

著:カミュ
訳:中条省平
出版年:2021
出版社:光文社古典新訳文庫

コロナ禍に出版された新訳の作品であり、文体が比較的に柔らかく、現代文学らしさもあって読みやすく書かれています。
私はこの作品を読んでいる時、新型コロナウイルスを意識せざるを得ませんでした。それは、ペストも新型コロナウイルスも、世界中で猛威を振るい、同じような生活に2度と戻ることができないのではないかと思われるほどの強い衝撃を与えたものの、最終的には、潮が引くようにゆっくりと、その脅威は遠ざかって行ったからです。また、感染症の危機に晒された人々の行動や感情も、極めて似ているからです。
コロナ禍を経験した私たちだからこそ、歴史は繰り返される、ということを身にしみて感じさせてくれる作品です。

18. 少年犯罪はどのように裁かれるのか 成人犯罪への道をたどらせないために

著:須藤明
出版年:2019
出版社:合同出版

「少年犯罪の厳罰化の是非」というテーマのレポート用に読みました。中学生の頃から、少年犯罪に関する新書を読んでいたり、一時期は家庭裁判所の調査官になりたいと思っていたりしていたため、私にとって価値のある課題でした。
日本では、司法の現場が身近ではありません。プライバシー保護の観点もあり、少年犯罪に関してはなおさら、知られていることが少なく、誤解を生むことが少なくありません。そのため、何のための刑罰なのかを考える人が増えることで、情に振り回された世論が形成されることを防ぐことが必要だと考えます。

19. セカンドチャンス! 人生が変わった少年院出院者たち

編:セカンドチャンス!
出版年:2011
出版社:新科学出版社

同じく、「少年犯罪の厳罰化の是非」というテーマのレポート用に読みました。事件を起こすまで、起こす時、起こしてから、の全てが、少年院出身者によって赤裸々に綴られています。著者が犯した罪の重さを理解していても、感情移入して読んでしまうことも少なくありませんでした。このように一冊にまとめることで、少年院出身者にしか語れないことを、大切にしていくべきだと考えました。

【まとめ】

6月は以上の5作品を読みました。
多くの作品を読むことはできませんでしたが、考えさせられる深い作品に出逢うことができました。

今月のベストブックは、『君が残した贈りもの』『クララとお日さま』『ペスト』の3冊です。

それでは、またね。

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