見出し画像

【講演】中野京子(作家・ドイツ文学者)「名画の謎を読み解く」に行ってきました

6/1、こちらの講演に出席してまいりました。

家の近くの道に貼ってるチラシをみて開催を知りました。

雰囲気、概要などなど

ライオンズクラブ主催、ということもあり比較的年配の方が多めでした。
が、私のような20~30代の姿もちらほらと。

主催の方は、中野さんの依頼にアツいお手紙を書いてお返事をもらえたのだとか。
中野さんの講演が京都で、しかも参加費なしで聴けるなんて…ライオンズクラブさん、ありがとうございます。笑

講演の時間は90分ほど。
内容は中野さんが、絵画を10枚ほど取り上げ、その読み解き方についてお話する感じ。普段、大学の講義でされているようなことを、一般の方にも面白いいように~な感じで話しておられたのかな、と思います。


内容メモ

紹介のあった絵画のうち7つについて。
感想・いいたいことまとめきれないですが、、メモとして書いておきます。

①ルノワール
「シャルパンティエ夫人」

・シャルパンティエさんはかつて存在したフランスの出版社
・この絵は、お金持ちであったシャルパンティエ家の、夫人と子供たちの、何気ない日常をルノワールに描かせたもの。
・夫人の服は黒色だが、当時は黒が流行色だったため、流行を身に着けていることがわかる。なお、当時犬を飼っていることはステータスシンボルだった。比較的東洋趣味の家であると伺える。
・二人の子供の表情がすごく愛らしい。天才画家たちは皆、本当に子どもを愛らしく描くのが上手い、とのこと。
・この子供たちは、二人とも女の子のように見えるが、一人は男の子(画面真中、ポール君という)。当時、世界的に3~4歳ぐらいの男の子はみな少女服を着せられていた。男の子の方が幼い頃は亡くなりやすい傾向があったため、魔除けの意味である。
・シャルパンティエ出版は今はもう存在しておらず、つぶれてしまったためこの絵は手放された。シャルパンティエ家は出版社、ということで有名だったため、この絵に描かれた子供のうち一人は男の子とわかったものの、この時代に描かれた子供が実は男の子、ということはままあるはず…。そういうときはどう見分ければよいか?

②シャルダン
「食前の祈り」

・食事の前に、祈りを捧げているところの絵。当時、フランスは不作で厳しい時代だったが、それでも清潔で美しい絵。ルイ16世が即お買い上げした絵なのだとか。
・女の子供たちが二人描かれているように見えるが、これも実は手前側の方は男の子。画面奥側の姉が、食前の祈りがうまくできない弟を軽ーく嘲笑してる一面だろうか。
・この絵シャルパンティエのような名家の絵、、ではない。では手前の子は、なぜ男の子、とわかるのか?
・男の子の椅子の近くに落ちているもの、椅子に引っかかっているものにご注目。太鼓が椅子に引っかかっており、傍には、バチが落ちている。
・太鼓は当時の男の子のおもちゃ。男の子はの憧れは兵隊、という時代で、特に太鼓は兵隊の中でもトップの指揮官が使うもの。男の子は太鼓をたたいて遊んでいた。
・こういった、絵画の「目を引くところ」以外の、まわりから情報を集めて読み解いていく。必ずそういったヒントを画家たちは残している。

③ルーベンス「マリー・ド・メディシスのマルセイユ到着」

・メディチ家のマリーがマルセイユに来た時、を絵画としてあらわしたもの
・妖精たち(ニンフ)が擬人化され数体、描かれている。画面下部に描かれた人型は全て妖精。
・そして、マリーたちを迎えている画面右上の2体も実は妖精。なぜ妖精、とわかるかというと…マリーたちの目線に注目。この2体とマリーたちは目が合っていない。つまり妖精とわかる。
・とにかく裸が描きたい時代。特にルーベンスはちょっと太った感じの女性が好きらしくそういう絵が多い(奥さんもちょっと太っていたとかいないとか)
・ルーベンスはマリーから絵画作成の依頼は受けたものの、なかなかマリーはよい名声・功績があったとは言えないため受けづらい依頼だったと推測される。でも断らないのが名作家。神話に昇華するという方向で描いた。

④ドラクロワ「王女メディア」
https://www.aflo.com/ja/contents/954230

・メディアの振り向きざま、ピアスが揺れている表現が伺える。細かいところから臨場感が伝わる。
・神話の一説。女性が子供を守りながら敵から逃げているように見えるが、実は逆で、子供を殺そうと逃げいている一場面。

⑤マルティノー「懐かしい我が家での最後の日」
・英国の絵画。英国というだけあって物語いっぱいの絵。
・お金持ちと思われるお家。画面左側には悲しそうな顔をして、何か机で交渉事をしている女性。家政婦か、妻か。
・一方で、全く逆の楽しく陽気な雰囲気の夫とその息子。この対比はなんなのか。
・答えは画面内にあり。左下に…馬の絵が。この当時ダービーが大流行していた。つまり、ダービーで大負けしたため家を売り払い悲しんでいる人がいる一方、また勝てばいいという思いで陽気な主人が描かれているわけ。


⑥ガウアー「エリザベス一世」
・画中画。地球儀、画中の絵画からスペイン⇒英国への移り変わりの時代であることがわかる。

⑦ホッベマ「ミッデルハルニスの並木道」

・真中に、大きなポプラの木。画面の右下に描かれた小さな植物も、ポプラ。育成中の小さい木々たち。そして真中には非常にぬかるんだ道が。
・オランダは海抜 0 mのためすぐ浸水してしまう。ポプラは非常に根が張るため、水を吸わせるべく植え付けられている、そして小さい木々もたくさん育成中。そんな風景。


⑧ボルフ「父の訓戒」

・娘が立っていて、母がいて、父が訓戒を垂れている…というように思われるタイトルだがこれは、後に画商か評論家が誤ってつけたであろうタイトル。
・実は、真中の女性は娼館の女将、後ろの赤い箱はベッド、娘は娼婦、そしてこの男は女を買いに来た男(おそらくこの男性の右手にはお金が描かれていたが消されていたと思われる)。
・この時代、オランダではこんな絵が流行ったのだとか。だが、他の国の人がこの絵をみても、そういう状況だということが分からない。そのためこのタイトルになったと推測される。

⑨レーピン「ヴォルガの船曳」


⑩ブラウン「イギリスの見納め」

・トンド、というやつで丸い画面の絵。実は聖家族像で、この女性のマントの中には赤ちゃんがいる。このころ、イギリスは産業革命が本格したものの、割のいい仕事がなく大変だった時代で、こういった聖家族像がウケたのだとか。


講演に出席してみて

中野さん、テレビなどにもご出演があってやっぱりとってもお話聞きやすかったです。美術の知識がなくても全然楽しめる内容でした…!あと、お美しくて服がおしゃれでした…✨
こういう、大学でしか聞けなさそうな内容が聞けてとってもよかったです。全然お金払っても聞きに行ってたと思います。

大学とかどこかの機関に所属していなくても、一般の人が聴ける講演がもっとあったらいいな~(知れたらいいな)と思った次第でした。


いい天気の中、帰りは近くの焼菓子屋さんで、かき氷キメて帰りました☆彡

多分看板のプリン味のかき氷。中にもプリンありです🍮


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?