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The Wonderland? #10 [Backroomsリスペクト]

Room 9 "Ambivalent feeling"


「うおっ!眩しい!」

一瞬で目を潰されそうなほど、攻撃的な光が2人を襲ってくる。それだけでなく、絶え間なく鳴り続ける耳をつんざくシンセサイザーの音や、脳を揺すってくる重低音も、心身を徐々に痛めつけてくるのがわかる。
長居していられない、2人は早くこのRoomを脱出したいと思っていたが…

「ねぇ!もっと遊ぼうよ!」
「こんな楽しいのに、他にどこ行こうって言うのよ?」

あまりに聞き馴染んだ声に、2人は戸惑いを隠せない。

「お主、あやねとたまきか!?」
「え〜?誰よそれ〜?」
「あらぁ?既に女がいるのね、ステキよ〜♪」
「何すっとぼけてるんじゃ!お主らも早くここから出るんじゃ!!」

あやねとたまきと思わしきその声は、本物なら出さないような、強烈に官能的な響きを纏いながら、2人の耳を、頭を、体の奥底を刺激していく。
それでも、鬼の素質なのだろうか?カンナだけはその影響が僅かなように見える。


「本当に行っちゃうの?」

あやねとたまきがすぐ近くにいる。
その可能性を感じてしまい、一刻も早く脱出したい、という思いと、助けなければ、という思いが交錯し始める。だが、ここはWonderlandだ、俺たちが知ってるあやねでもたまきでもないだろう。
そうやって、足を止めていたのがまずかったかもしれない…
明らかに意識が混濁し始めている、ここから脱出しなければ、という思いも薄れつつある。

危険だ!早く離れよう!
しかし、そう簡単にいかない

「本当に行っちゃうの?」
「そのカーテンくぐったら、あなたたち…」

死ぬわよ?

本当なのか?信じていいのか?
心を彷徨わせていると、カンナは意外な一言を放った

「こんなとこより地獄に行く方がましじゃ!オニなら地獄ぐらいなんてことないわい!」
そして、決心がついた。カーテンの向こうを潜ることにしたのだ。
「あら、残念。精々酷い目に合わないようにすることね」

あやねらしき何かがそう呟く、つまり、直ちに絶望に落ちることは無いと言うことだろう。
そうと分かれば、ただ突き進むのみだ!


Room9:Divine
SURVIVAL DIFFICULTY :
Class Random
空間全体がネオンの光に支配されたかのようなRoomです。常にサイケデリックなシンセサイザーの大きな音が鳴り続け、比較的短時間の滞在でTrance状態に陥ってしまうため、このRoomから直ちに脱出することが勧められています。訪問者にとって非常に交友が深い人物に似た声で絶えず誘惑されるため、早い段階で思考に悪影響を及ぼすことも知られています。ここではNoclipすることはできず、出口も1つしかありません。移動先は、2つのRoomからランダムで選ばれます。
Entrance
Room8で、宝箱からインディアンジュエリーを取り出すとRoom9に移動します
Exit
カーテンレールをくぐるとRoom丁に移動します
カーテンレールをくぐるとRoom半に移動します
Trance状態で1時間滞在するとRoom Eveに移動します