【音楽で学ぶ世界の歴史】 黒人音楽の凄さを解説~近代編~【ノマステ#3】


はじめに

みなさんこんにちは!
ノマステ~♪

僕は作曲家として音楽業界でお仕事をしながら2019年に株式会社FAVORITE STEPSという法人を設立して経営者もやっておりますno_my(ノーマイ)と申します。

つい先日、音楽の魅力を色々な角度からお話しして、もっとたくさんの人に音楽を好きになってもらいたい、そしてできれば音楽業界で働きたいという人が増えてくれたら嬉しいという野望を持ってYouTubeでの動画投稿を始めました。

ただ、何か情報を入れる際に動画を見るよりも活字の方が好き、という方もいるのではと思い、今回はnote用に文字でまとめてみました。よかったら動画と併せてお楽しみください♪

【音楽で学ぶ世界の歴史】 黒人音楽の凄さを解説~近代編~

今回は「音楽で学ぶ世界の歴史」というテーマで、日常会話に役立つ音楽の雑学をお話ししたいと思います。

最近人種差別の問題なんかが結構騒がれたりしてますよね。

政治とか人種とかの話ってみなさん関心はあると思うんですけど、ややこしいし結構デリケートで難しいじゃないですか。でも実は僕らにとってめちゃくちゃ身近で重要な問題だったりもするし、何より大人になったらある程度知っておかないと恥ずかしいみたいなところもあるし……。

ということで、これだけグローバル化が進んで違う文化の人と関わる事が多くなった現代において、「他の世界の文化をよく知る」ということは大事だと思うんです。

そして、政治や経済のような難しい話も、音楽とか文化っていう切り口から入ると結構理解しやすかったりしませんか?

そういう意味で「楽しみながら世界を知る」動画として是非最後までご覧ください!

実は黒人超少ないっていう話

いきなり皆さんに質問なんですが、アメリカに黒人ってどれくらいいると思います?何割くらいが黒人なんでしょうかね?

これ、大体の人は「半分くらいじゃないの?」って思ってません?
っていうか僕は思ってました笑

実はアメリカの人口構成をみると、黒人ってわずか13%程度なんですって。
スペイン語系のヒスパニックと言われる人が15%くらいなので、それより少ないんですよ。これって結構意外じゃないですか。ちなみに我々アジア系は最近増えてるなんて言われてますけど未だにたったの5%なんです。

じゃあ白人はどれくらいかというと、1億9910万人、全体の何と66%を占めているんですね。アメリカは文字通り“白人大国”なんです

じゃあなんでそんなに黒人が多いイメージがあるかっていうと、これはもう黒人で優秀な人がめっちゃ多いからじゃないでしょうか。スポーツ選手なんか優秀な人めっちゃ多いですし、オリンピックでもあらゆる競技で活躍してますよね。

音楽でもキング・オブ・ポップと言われたマイケルジャクソンを筆頭に凄い人が目白押しで、人口比率で考えたら黒人で凄い人多すぎません??

しかも音楽的な話で黒人の皆さんの何が凄いって、色んなジャンルを生み出しまくっている事なんですよ!

黒人が生み出した音楽ジャンルを色々上げるとホントにキリがないので重要なものだけざっと挙げるとですね

ゴスペル、ジャズ、ブルース、ロックンロール、R&B、ディスコ、ヒップホップ

とまあ人によってはあまり馴染みのないジャンルもあったかも知れませんが、どれも今なお世界中で愛されている本当に偉大なジャンルばかりです。

ではなぜ黒人はこんなに凄い音楽を多数生み出す事ができたのでしょうか?
それは黒人の皆さんのルーツまで遡って、その歴史の中で何があったのかという事を紐解いていくとよくわかります。

悲しみと絆が生んだ魂の音楽

まず黒人ってそもそもどこにいた人かはご存知ですか?
そうアフリカですよね。

実はアフリカって歴史的に文字を持たない文化が長かったというか、今でもそういう民族も多くいたりするみたいで、「音」というのが大事な情報伝達手段だったそうなんです。ということでもう彼らはそもそも音程やリズムで物事を表現する事に長けていて、それを受け取る感覚もとんでもなく発達している人たちなんですね。まさに音楽に愛されし民だと思います。

そんな彼らがアメリカ大陸にやってきたのが1619年。今からちょうど400年くらい前に、現在のヴァージニア州にあったジェームズタウン植民地という場所に、奴隷20人が何と積み荷として連れてこられました。積荷ってことは人じゃなくて物扱いですよ。今こんなことやったら大問題ですよね笑

とまあそんなわけでアメリカにおける黒人の歴史は最初からこういう悲しみと共に幕を開けたんですね。

その後黒人はどんどんアメリカに連れてこられるんですが、この奴隷として連れてこられた人たちの扱いっていうのがもうとんでもなく酷くて、例えばそもそも英語の読み書きも教えないし、基本的人権なんかなくて当然黒人が産んだ子供は自動的にそのまま奴隷になるとか、今では考えられないような非人道的な環境の中、畑を耕す労働力として酷使されてました。そんな彼らが農場での苦しい労働の合間や仕事の後に唯一の楽しみとして歌っていたのがプランテーションソングと言われる歌で、これがアメリカにおける黒人音楽の始まりと言われていたりしますね。

その後時代が進んだある日、キリスト教の人たちが「もっと信者増やしてーなー、そうだ黒人奴隷にも聖書読ませるかー」ってなことを考えて黒人に聖書の教えを説くようになるんですね。

ちょっと余談なんですが、大部分の日本人からすると宗教ってあんまりよくわからないじゃないですか。死んだ後に天国行くってそれ意味あんの?みたいな。

でも最近こういう歴史とか勉強していて気づいたんですけど、今よりも化学も経済も発展していなかった時代って飢饉とか疫病とかで生活がすごく苦しくて、生きる事が本当にしんどい(物理的に)みたいな時代がずっと続いていたんですよ。まさに生き地獄です。で、そういう時に「生きることはこんなに辛いけど、神を信じれば最後には天国に行ける」っていうのがもう本当に唯一の心の支えだったんですって。だからお葬式で流れる音楽が、天国へ行ってらっしゃーい的な感じで異様に明るい国とか今でも結構あるんですよね。こういう話を聞くとやっぱり日本って恵まれてるんだなーとか思いますね。

で、話を元に戻すと当時の黒人奴隷もまさにそんな状況で、「キリスト様信じたら天国が待ってるとか超ありがてーわーその教え信じるわー」みたいな感じでキリスト教がバズりまくるわけですね。

じゃあ教え広まってよくね?って話かと思うんですが、ところがそうじゃあない。そうやって聖書を読める奴隷が増えると=英語が読める=賢い奴隷が増えるんですね。そうなると何が起こるかっていうと反乱なんですよ。みんなで知恵つけて「我ら奴隷にも人権をー神の元に平等をー」的な感じで主人に反抗するんです。

そうなると奴隷の主人の皆さんはもう大慌てでこりゃいかんとなりまして、キリスト教教えるのやーめたってなるわけですよ。

でも一度教えちゃったもんだから黒人奴隷の皆さんは忘れない。しかももともと文字の文化のない人たちだから記憶力もめっちゃいいときている。
でも奴隷主人は「キリスト教の話はもう禁止!」と言ってる。じゃあどうなるかというと、みんなでこっそり仕事終わりに集まって、聖書の話をするんですよ。

天国いいよねー天使様会って見たいよねーみたいな感じですかね?でそうこうしてるうちに盛り上がってきちゃって、音楽に愛されし黒人の皆さんのことなんで誰かがそれにメロディーつけて歌い出しちゃったりして、そしたらそれいーじゃん的な感じで他の奴らも一緒に歌い出すと。

こうして生まれたのが「黒人霊歌」と言われていますね。これはさっきも話した通りこっそり集まって歌われていたものなので、当然録音物としては残っていなくて、どんな歌だったのかあまり分かっていないそうです。もったいないですよね。実は今でも「黒人霊歌」として伝わっている曲がいくつかあるにはあるんですが、それは白人の手によってかなりマイルドにされたものだと言われていて、オリジナルの黒人霊歌はもっと日々の辛い生活への不満を歌ったものとかが多かったと言われています。

↑黒人霊歌と言われている1曲

で、勘の良い人はもしかしたらピンときてるかも知れないんですけど、この黒人霊歌のスタイルが更に発展していって生まれたのが現在に続く「ゴスペスル」っていうジャンルですね。ゴスペルって何?っていう人も映画「天使にラブソング」って聞いたらああ~ってなるんじゃないでしょうか。まだ見たことのない人は、こういう音楽的な話抜きにしても映画として素晴らしいので是非一度は見ることをオススメします🙌

↑映画「天使にラブソングを…」から

ゴスペルっていうのは教会で歌われる黒人の合唱のことで、ジャンル的な特徴としてはリードボーカルがいてそれに呼応するコーラス隊がいる「コールアンドレスポンス」、白人や黄色人の音楽には無い「ダイナミックなリズム」、そしてただでさえ体ががっしりしてて声量もヤバい黒人が何十人も集まって歌うという「ど迫力」、そしてそれらに日々の辛い毎日への苦悩や神に対する感謝を歌った「切実な魂の叫び」が合わさるという、本当にソウルフルでダイナミックで感動的な素晴らしい音楽です。今風にいうとエモいってやつですね。エモエモだと思います。

で、このゴスペルって映画の影響もあってか日本でも結構好きな人が多くて、クリスマスの時期なんかは日本人のゴスペル隊がイベントスペースとかで歌ったりしますよね。もちろんそういうゴスペルを聞いて楽しむこともとても素敵だと思うんですけど、僕としてはやはり一度本場の黒人のゴスペルを聞いてみてほしいです。「天使にラブソングを」も黒人シスターが白人シスターに歌を教えるという内容なので、あれはあれで素晴らしいんですけど、やっぱり黒人だけのゴスペルクワイヤの迫力と熱量は是非見てほしい

ということで僕が大好きな「Chicago Mass Choir」っていうグループの動画を貼っておいたので、よかったら是非チェックしてみてください!

悲しい歴史の中で支え合って頑張って生きてきた黒人の皆さんの絆が産んだ、魂の音楽がそこにあると僕は思います。

このパワフルさ、踊りたくなるグルーヴ、まさに黒人音楽!って感じで最高です!

まさに黒人の魂を感じる名バラード
黒人奴隷の歴史を考えると涙無くしては聴けませんね。

"Black"と言うべきか否か

ということで、ここまで黒人音楽の歴史についてお話ししてきましたがいかがでしたでしょうか?

本当はジャズとかブルースとかの話も一通りして一本の動画にするつもりだったんですけど、改めて色々勉強し直していたら話したい事があまりに増えてしまって、ゴスペルの話までしかできませんでしたね😅

黒人音楽が本当に凄くなっていくのは奴隷解放宣言が行われて黒人が自由を手にした後の時代からなので、それはまた改めて動画を作りたいと思います。是非楽しみにしていてください。

ちなみに余談ですがこの「黒人音楽」や「ブラックミュージック」っていう呼び方がどうなんだいっていう意見も結構あって、最近は「アフリカンアメリカン」なんて言い方が一般的になってきているみたいですね。
ただ、これにもいろんな意見があって、黒人の肌が黒いのは自然な事で何もやましい事ではないんだから、堂々と自分たちのことを「ブラック」と言うべきだ、なんていう人も結構いるみたいです。

この辺の話は本当にデリケートなので、じゃあどうするべきかっていう答えが簡単に出ることではないのですが、そう言った問題を考える上でも、歴史的背景とか文化を理解するのは意味があるんじゃないでしょうか。

とまあ今回はちょっと硬い話になってしまいましたが、このチャンネルではこういった音楽に関する教養、音楽から学ぶ世界の歴史といった話のほかに、プロの作曲家がどういう風に仕事をしているのか、レコーディングってどう言う感じなの?と言った音楽制作の裏側の話、音楽業界のいろんなおな話などを今度もしていく予定です。

今日の話が面白かった方は、是非チャンネル登録やnoteのフォローをしてして「ノーマイ作曲ステーション」の一員になってください♪

また僕の会社FAVORITE STEPSでは音楽業界で働きたい方、クエイターを目指している人を歓迎しています。

興味のあるかたは僕のTwitterをフォローして、DMからお気軽にお問い合わせください。

https://twitter.com/no_my_

ということで今回もここまでご覧頂きありがとうございました!ノーマイ作曲ステーションお疲れ様です。

ノマステ~♪

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