観劇日記 #9 うさぎの喘ぎ 『はらただしさ』
2022年6月25日 うさぎの喘ぎ 『はらただしさ』@ウイングフィールド
※ネタバレあり
自分の言いたいことが既に文字になって世の中にあるという状況に慣れてしまい、自分で言葉を紡ごうとするよりも先に、自分の言いたいことを他人の言葉の中に探してしまう。
「そうそう、私が言いたかったことはこういうことだったんだ、そうそう。」というセリフがずっとリフレインされていた。
日々新しくなる価値観の範疇から自分が漏れてしまうことを防ぐのにも、他人の正しい意見を探してくることは有効で、
そういう上っ面の均質な正しさが世の中に溢れてしまって、全ての言葉がそういう正しさによって検査されるようになってしまう。
最後は、演劇がそのような、「正しい意見」を売る場所になっちゃったらつまらんぞっていう訴えだったように感じた。
観客は、舞台を観て、嘘で飾られた正しさを見つけるんじゃなくて、自分の中に嘘でもホントでもない体験を積む存在であって欲しいということか。
その観客を「正しい意見」のサンプル、テンプレートの一つ一つを写すのに使ってるのはなかなか皮肉が効いてるな。
あれだけ目を見て、話されるとウィンクとかして驚かしたくなっちゃうんだけど、堪えた。
1人、変なことを言ってる人がいた。
「そうそう、私が言いたかったことはこういうことじゃないんだ」
自分の言いたいことが、既に書かれている言葉に上手く見つけられる人、そう思い込める人、ばかりでは無い。
舞台中央にはマイクが天井から吊るされてあって、
借りてきたものでは無い、本当は自分がいいたいこと?を話すための装置としてたまに使われてた。
「自分の言葉が見つけられない人」だけは、マイクも上手く使えない。ラストではそのマイクがスピーカーとなって、録音された自分の言葉が暴露されてるかのように流れ続ける。自分の言葉が発せられることにすごく恐怖を感じてる。
ほとんど個人のメモになってしまった。
そして、この文章も「そうそう、そうそう。」
と言わせるための文章になってしまうのかもしれない。
大阪で27日まで!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?