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小説家の妻を持つ夫の息抜きのような言葉のnote 自身も小説を書きます。 1人でも多く…

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小説家の妻を持つ夫の息抜きのような言葉のnote 自身も小説を書きます。 1人でも多くの人に何かを伝えられたならそれはとても幸福なこと。 #小説 巡回中

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世界に静かな音がこぼれた

ついに妻が書き上げた小説が電子書籍となってこの世に生み落とされました。 正直、電子書籍に触れた事がなかったのでどんな風に出来上がるのか分からなかったのですが、想像を超えてとても素敵な仕上がりになっていました。 紙媒体の本には表紙があると思うんですが、まさか電子書籍にも表紙が付けられるなんて知らなくて。 とても素敵なイラストレーターの方が妻の頭の中にある世界を、文字の説明だけで美しく描いて下さり想像以上の仕上がりに妻と手を取り喜びました。 それともう一つ、僕が知らなかった事はA

    • 文字は色褪せない

      17年勤めた会社にさよならを告げたのは今年の3月。 三年間は頑張りなさいと言う進路指導の先生の言葉をひたすらに守り 高卒から今年の1月まで文句を言いながらも何だかんだ続けてきた。 その間に、パワハラがあったり人格否定されるような数々の暴言を浴びながらも辞めなかったのは、自分に対して保守的で挑戦する勇気が無かった事に他ならない。 安定した収入を得て、結婚、マイホーム購入とライフステージが変わるたびにどんどん辞めづらくなって、結局勇気を出して踏み出すのに17年かかったのだ。

      • 大きな独り言

        僕は子供の頃から目立つことが好きだった 人の目を引けるなら、大声で話すことも いきなり廊下で踊りだすことも 恥ずかしい事とは思わなかった ステージに立つなら主役が良いし 褒められなかったらヤル気が起きないそんなやつ 誰かに必要とされてないと 不安で 満たされない そんなやつ けどね? 言葉を紡いでいる時だけは 別に主役じゃなくても良いんだって 思えるんだ 僕の言葉が誰かを通して発信されても その言葉がたくさんの人に届くなら それでいいんだって メインは僕じゃなくてもいい

        • 先輩に飲みに誘われて...?

          入社して一年が経って、二度目の繁忙期。 12月は特に会社の空気が張り詰めていてピリピリしている。 納期に間に合わせなければならない案件が山のようになっており、デスクはまるで戦争のようだった。 部長の怒声も毎日響いて、同期の皆は顔がやつれている。 先輩達も自分の仕事で手いっぱいで後輩の僕らは足を引っ張らないようにするのが精一杯だった。 そんな日々が続いていたある日、事件は起こってしまった。 「おい!T社の案件、担当は誰だ!」 部長の問いかけに背筋が凍る。 この聞き方は間違い

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        世界に静かな音がこぼれた

          楽しくないと学ばない

          ──自分の頭の中にあるもの以外は描けない。 これは、とある動画で誰かが言った言葉だ。 その時は確か、絵を描いてみたくて動画投稿サイトで【絵の上達法】と検索して最上部に出てきた動画だっただろうか。 絵の描き方は千差万別だけれど、書きたい物や人の描き方を知らなければ上手く描けないんです。部活でもそうですよね?練習しなければ試合では勝てません。 ならば、描くしかないのです。ただ描くのでは無く、色んな人の描き方を真似して自分に吸収する所から始めましょう。 そうして、その動画は淡

          楽しくないと学ばない

          セーフワードと僕の夜

          二十二時、LINEの通知が静かな部屋でチリンと鳴る。僕の夜は長くなりそうだ。 テレビを消して、部屋着からシャツとジーンズに着替える。 お気に入りの香水を手首に吹き掛け、擦り合わせて耳の後ろに刷り込ませた。 髪をワックスで整えたら、車の鍵と財布だけを持って一人暮らしのワンルームを飛び出した。 「おかえり。早かったね」 「ただいま。何となく呼ばれる気がしてたからさ」 車で三十分の距離にある高層マンションの一室。彼女は今日も柔らかく笑って僕を出迎えた。 「シャワー..浴び

          セーフワードと僕の夜

          甘美な不幸を召し上がれ

          ----他人の口は塞げない。 1度耳に入った情報は自然と忘れるまで誰かの頭に残り続ける。 だからこそ人は、秘密を誰にも口外してはならない。 秘密の共有は、己を破滅に向かわせる呪いの方法だ。---- 女の口から糸が出ている。1本、2本、3本。 数えればキリが無いほどの無数の糸は対面に座る女の耳に吸い込まれていく。 粘着質なその糸は、さながら蜘蛛の糸。 平然な顔をして、2人の女は糸を互いに交換しあっているように見えた。 やがて、その糸は女達の間で大きな繭を作り複雑に固くそこに鎮

          甘美な不幸を召し上がれ

          選択の連続〜言葉の威力〜

          人生とは選択の連続である。 この言葉はどこかで聞いたことがあると思う。 僕もここまで来るのに数多くの選択を迫られてきた。 さて、貴方はどれだけ後悔の無い選択をできただろうか? 先日、14年勤めている会社を辞めるべきか否かという選択肢に僕はぶち当たった。 これまでも何度か辞めたいな、とはぼんやり思っていたけれど実際に行動する勇気は無かったし、なんだかんだ給料面や人間関係に大きな不満はなかったので【継続する】という選択をしていた。 だがしかし、不意に言い渡された不当人事に人生最

          選択の連続〜言葉の威力〜

          官能とは何か。

          突然だがこれを読んでいる皆様にお聞きしたい。 「官能小説と聞いて何を連想しますか?」 単純に卑猥な小説?小難しい表現を用いた人々の営みが描かれた作品? この答えは人によって様々だし正解なんてないだろう。 僕は官能小説と聞いて連想された事は、誰にも知られずひっそりと隠れて読む本である。 どこか背徳的で、読んでいる事を知られるのが恥ずかしいと思っていた。 妻が官能小説を書くまでは。 そもそも官能とは何ぞや?と僕は疑問に思った。 当たり前のように使っている言葉も深く意味を知

          官能とは何か。

          僕は夢のない人間である

          いや、正しくは昔、輝かしい夢を抱いていた。最初は保育士、その次が警察官、バンドマン、バーテンダー。 憧れて目指そうと思った職業だが、上記の職業になろうとして努力した事は無い。 「努力は裏切らない」 その言葉を口に出来る人間は何人居るだろうか。僕は裏切られた経験もないし、努力という物から逃げ続けた男だ。 努力とは、常に面倒くさいものであり、並大抵の精神力では持続出来ないと思っている。 最近妻に、「お腹出過ぎ。少し痩せてよ」なんて言われて、その時はよし、腹筋するぞ

          僕は夢のない人間である