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遺言

 思えば、この世界はもう1980年代から終わっていたのかもしれない。生が生として認められず、ただ活かされる肉にされる。真っ当に過ごし、真っ当な人間のみが生きることを認められ、非道徳な人間は活きることを強いられる。体制も反体制も「医者」としか形容できない権威に媚びへつらい、近代が力づくで獲得してきた「自由」そのものすら放棄した。日本で言うならば、自由民主党は私的自治の「自由」を廃棄し民主的な政党となり、社会党は個人の「自由」を放棄して民主党となってしまっている。

 私たち自由主義者に遺された自由はもうない。人間は政治的に正しく、経済的にも正しく、社会的にも正しく活かされることを強制され、「要請」される。大衆は1970年代のように反抗することもなく、ただただ唯々諾々と従い、今や世界そのものが病室となりつつある。無菌室の子どもたちは無菌状態こそが正常と認識し、ここ100年以内に如何なる不道徳も消滅するだろう。予め言っておく、ここ100年以内に真に喫煙は消滅し、禁酒法は徹底され、カフェインされ弾圧されるようになる。芸術では、アイザック氏の例を上げるまでもなく、既にYouTubeでこのような弾圧は開始されている。

 もう私はこれ以上言うまい。私は黙することにした。この世界はあと10年で完全に無菌となり、沈黙し、成功者の声のみが取り上げられるようになるだろう。その先にあるのは家畜化した大衆(患者)と超人(医者)による病院のような社会である。人類は群体的知性を獲得し、個性もすべて否定する方向を選んでしまったのだ。

 ただ最後に一言だけ述べさせていただく。

 医者を殺せ

 アスリートを殺せ

 菅を吉村を橋下を小池を殺せ

 圧制者を殺せ

 私たちはただ活かされる肉ではない!!

 私たちは一人としての生を享受すべき個人である

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