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すべてはディレクション
関東でも東のほうで育ってきた僕にとって、横浜という街は、永遠に「遠出してゆく街」な気がする。幕末明治以来の港町の歴史もそうさせているのだろう。遠出。旅をする。異なる世界へと向かう。―――そういう意味では、2022年11月4日はまさに「旅」だった。向かう先は、ぴあアリーナmm。まさか当選すると思わなかったチケットに当選して、ぼくは横浜へ向かった。
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わわわわわわわわわわ! pic.twitter.com/JtMTTT2uu3
— nobuhide abe 阿部修英 (@noanswerbutq) October 26, 2022
絶対満席のプラチナチケット。だけどその日、ぼくは急いでいなかった。入場に際して細かな連絡が届いていたからだ。開演は18時、だけどぼくの取った席は17時30分に入場してください、と連絡が来ていた。前に行ったアイスショーでは入場にも大行列だったので、あの時と同じだとしたら大丈夫かな、と1秒だけ思ったけれど、1秒後にはこう思っていた。「大丈夫。たぶんこれも演出だろうから」
ものすごくおこがましい、何を言っているんだお前は、と言われることを、1度だけ言うことを許して欲しい。僕は、このショーの主人公となる方と、自分とは「同じカテゴリーの人間」だと思っている。
ハイ。何を言っているんだお前は、と思いますよね。僕もそう思う。何から何まで違いすぎる。だけど1点において、「同じ」である。それは、「Director」であるという点において。
Directorはカタカナにしてしまうとディレクター、で、急にテレビだけの職種のように見えてしまう。けれど、映画監督もDirectorだし、プロチームの監督もDirector、レストランの支配人もDirectorだ。それは、Coachとは違う。 Coachは「指導者」。指導者には、指導に関する責任はあるが、結果に対しての責任は無い。良い結果が出るように指し、導くことはしても、結果の責任は取らなくて良いのがCoach(と僕は捉えている)。でもDirectorは違う。結果に関する責任は全て負う。レストランのDirectorは、たとえ全幅の信頼おくChefに任せた皿の上の出来事であろうと、現場でもし何かあればすべて責任を取る担当だ。Coachが指導者としてDirectorを訳すなら「現場責任者」。現場で起きている全てのことを責任取る人。
それだけ言うとDirectorがなんだか貧乏くじを引かされている職種のように見えてしまうかもしれない。でも違う。何てったって世界一面白い職業だとぼくは思っている。なぜなら、Directorは、「決める」人だからだ。directionは「方向」と訳されるけど、ある時からいくつもの矢印が伸びているなかで、「これ」と選び取って、決めて、進む。無数の可能性があるなかで、これにしようと決める。これをぼくは「演出」と思っている。だからDirectorを、「現場責任者」よりも夢溢れるように訳そうと思えば、やはり「演出家」だと思う。
そしてその点で、かの人ほど「演出家」はいないと思うのだ。
だって他に誰がいる?
あの会見で、「引退ではない」と言える人が。
Youtubeをやると言ったら、「あれ」が届けられる人が。
そして、アマチュアからプロへ、と表明してわずか3ヶ月で、自分の全てを伝え、さらに広げるショウを開催できる人が。
ぼくは、自分のはるかはるか先を歩く演出家の1人として、尊敬しているのだ。
―――羽生結弦さんを。
18時開演のショーも17時30分に来てくれれば大丈夫、というのも「演出」。
行列必至のグッズ販売に関しても、事前に申し込んでおけばあまり並ばずに買えるシステムが導入されていた。これも至れり尽くせりの「演出」だ。
ショウの直前、Twitterで質問を募集したのも「演出」。(ぼくも投稿した。その問いが何だったかは、このnoteの最後に書こうと思う)
もはや全国ロードショーばりに映画館で見られるようにしたのも「演出」。
すべてが、演出。
―――17時32分、僕は会場に到着。そして1秒も並ばずに、入場した。
「プロローグ」初日の会場に。
この先はネタバレを避けることは全くできないので、有料記事にさせて頂く。(何度か書いていますがnoteは若者のために使いたいと思っているので、有料記事にすることを許してください)
ひとことだけ先食いして言えば、このショウこそ、
すべてがディレクション。
「1人の演出家」からこんなにすごいものが生まれることに、ぼくは(このあと詳しく書くけど)未来、人間の可能性はまだまだあることを強く感じた。人は、人を感動させるものを、新しく、大きく、強く、深く、生み出せる。
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