きれいさが ささっていて

きれいね 世界樹は

濃闇にそびえ 発光する幹の
繁れるのうみその葉の
したたる幾千のゆりかご

ゆりかごは いいな
みちみちた血のうろ
いいな 凶器を持っているから
きれいで 燐光 しびれ
        しびれ

古い裂け目から
動かなくなって、わたし
いのちある
いしになって うずいて、
うず うずき
ただ あの樹は
きれいね とても 遠く

わたしは雨
あなたたちの横に、下に、水に、やがて
    ――くだってゆく
だれも隣りあわない

魚はいいわね
明日も昨日もなくて
なにも見なくて
なにも言わないで
魚には きれいはないのね

きらい きらいよ


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