酩酊


大あくびして転がった月を
橇みたいな薄い雲がキャッチ
寝惚けまなこもまたたいて
夢の世界を告げている
光に酔っ払って
今夜星たちが雪崩れだす
あるいは曲芸?
みんな同じ方へ滑りだす
馬が小川を飛び越えて
愛しのつがいが待っている
お山のむこうをらんらんと
まなざすひとみは夢もよう
お腹はどんどん膨れてく
理想のこんぺいとう、ああ
食べ尽くしてしまえばいつか
それは悪いこんぺいとうとに
すり替わっていてしまうのだけど
今夜羊たちは不安に飽いて
いっせいに見上げるけれど
白くあやふやでたよりない
羽根もつサルの旋回を
忘れかけてた約束の
ように見出し、従順に
もんもんとして眠るのです
がらがらがらと喉ならす
山がびっくりしてしまって
いるのも我は関しませんと
山羊の王さま、うがい薬を
はきだして、怒った顔で
山肌のさきの暗い丘の辺
悪魔のほむらを見つめています
あれが、あれが、あるがこそ
地は怒っているのです
天は怒っているのです
闇は怒っているのですぞと
言わなければならないわたしは
言いたくもないのにわたしは
言わなければならないのですぞと
がらがらがら、がらがらが、がら
と、虫の居所

ひびかせて

山のねむりを
不安にさせる

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?