60thおめでとうございます

1週間くらい思い出せなかったCMをついさっき見つけて、あまりに記憶からほっくり返してきといたのと違うので爆笑してしまった。あらゆる面から思い出し(たつもりになっ)てって知人らに心当たりがないか聞いて回ったのだけど……、その条件がすべて間違いまくっていたということで。しょうみ「ひとりの女性がメインで出演している」くらいしか合ってなかった。いや~~~面白い。

今日これくらいしか書くことないな。しいて面白いことがあったかといえば、いくえみ綾さんの最新作「ローズ ローズィ ローズフル バッド」がたいへん好きで、面白く読んでいて……ふとあるきっかけで「くらもちふさこの作風を思い出すな」と思い至ったところ、ネットで調べるぶんにも影響が多大だとまるわかりであり、そこからの流れで、別マの系譜を一日中調べたり考えるなりしていた。

現在の別マ、別冊マーガレットという雑誌は――わたしが直に触れていたのは2000年代後半から数年のあいだくらいだけれども、作家や作品には折につけ触れてきた。そしてその時代から現在にいたるまでのあいだ――かなり「お家芸」色が強く、それもジャンプっぽさとかサンデーっぽさでは済まない。作風というよりも作品の舞台が「現代の高校生男女」にかなりの作品が限定されている。これってかなりすごくない? 雑誌を開けばみんな似たような世界観、生活感を舞台に、高校生らの恋模様が描かれている。それでも女性向け漫画誌ではかなりの期間の発行部数トップランカーのはずだし、メディアミックスもされるヒット作や少女漫画史に残る作品をいくつも排出している、今年マーガレットと並び創刊60周年の超老舗兼最大大手なのである。

別マの作品は「現代の高校生」を扱っているだけでなく、ファンタジーの要素もなく、どちらかと言えば家庭や部活など一般的な日常風景をも圏域としている、というほうが正しいだろう。この範疇で、特に若者と親の年齢差や世代差、そして構造によるけして覆らない権力構図や埋められない懸隔、つまり一般的な家庭観を保持していることにも特徴がある。要は「ふつう」の感覚というか、最大公約数的な価値観があるのだけれども、「ふつう」だからつまらないということにはならない。というか、「ふつう」のことなら、だいたいにおいて作家はあえて描こうとしないのだ。そうではなくて、「ふつう」のなかに可笑しみやあたたかみがあることを描き、その一般多数的な構造が固定的なものとしてでなく、独自的な動的なものとして主人公の推進力になる、という、自明に見えた圏域のなかでの玉突き効果による意外性のある面白さ、というものを得ている。

まあこうしたうんぬんは個別の作品で見ればよい。あんまり思い付きでやることでもないし……、ということで看板作家の作品を読んでほしい。というか、読みたいね。

作家らのインタビューを読んで目につくのが、現在50歳前後(つまり2000年代初期~に同誌で活躍した作家)の作家らが影響を受けたと公言しているのは、かなり多数の支持を得て「いくえみ綾」らしい。そんないくえみ本人の声を含めて、次点で「くらもちふさこ」の名前が上がる。くらもちは雑誌特集や企画展も数多く組まれているレジェンド作家だと思っていたからすこし意外……。歴史は地続きで繋がっているものだ……。そして現在まで現役まっしぐらの「河原和音」だ。

くらもちやいくえみは造形する男子キャラクターに特徴があって、作家性のようなものをそこでひとつ見せていたように思うけれども、河原はいまいち思いつかない。そもそも河原は雑誌連載の雄(女性だが)というイメージで、長期連載に腕を振るう作家なのに、毎回コンセプトがガラッと変わる、というところで凄みを見せている。そのあたりの手数の多さや造形力の幅広さが、別マで長きにわたって重用されているのかもしれない。

言いたいことはまだまだあるけれどこのへんで!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?