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【返歌】手羽を食べたの三羽 / ムリッシュ

ここは、ほんわか商店街にある『六兵衛』という名の小料理屋。六助はこの店がすっかり気に入ってしまい、今では週六で通う程になっている。

今日は毎年恒例の『六兵衛』の忘年会だ。


「邪魔するでぃ!」

御手洗六助は、入り口から数えて6番目のいつものカウンター席に腰掛ける。着席よりも少しだけ早いタイミングで突出しと瓶ビールとグラスがテーブルに置かれる。

隣には美月経子、その奥には肉汁屋のケンちゃんが何やら話し込んでいた。

「この前、娘ちゃん達の通う学校でクリスマス・フェアが催されたのだけど、保護者たちは強制的に何か奉仕しなきゃいけないのよ。いつもはサーモンの押し寿司だったのだけど、今回は問答無用でいきなりおいなりさんの材料を手渡されたの。せっかく押し寿司のパケにピッタリのをマカロンの箱を見つけたっていうのに!しかも、お稲荷さんは数が決まっているからついでに私のお弁当のおかずにもならないの。サーモンは余ったはし切れでラディッシュと合わせてサラダとか出来たのに!」

美月は、グラスに注がれたワインをグイッと一気に飲み干した。

それを聞いたケンちゃんが「へぇ~、押し寿司をマカロンの箱で作るのがパリっぽいね。高校生までラディッシュって楽器だと思ってました…」と、得意のダジャレを呟いた。

「ケンちゃん、楽器でラディッシュ?チェリッシュっていうデュオは居たけれど。てんとう虫がサンバで踊ります。あ、そうだ、この前替歌を作ったの。六助さんも来たし、せっかくなのでご披露するわ」

美月に手を引かれた六助は、注がれたビールを横目にステージに引っ張り出された。

https://stand.fm/episodes/637d508c79688ccff335cd04

手羽は美味くても、ヨダレと油でギトギトのお肉を三羽分も食べるのは無理っしゅ!


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