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PassCode-楽曲派は“意外性”の壁を超えるか?

ロック×アイドルというのは2010年代後半、”楽曲派”の時代において1つの決まり文句になっている。

楽曲派とは、アイドルが乱立した戦国時代の終わり、「他のグループとどう差別化を図るか」という課題の解決を迫られた中で、「楽曲のクオリティとライブパフォーマンスに特化し音楽ファン層の獲得を狙う」という戦略をとったアイドルグループたち(及びそのファン)の総称である。
最近では遂に一般層にまでその人気が届き始めたBiSHの成功がよく知られているだろう。

一口に楽曲派といってもそのジャンルはダンスミュージック、ファンク、ラップ、トランスと様々で、「アイドルさえ聴いていれば大半の音楽ジャンルは網羅できる」とまで言われるほど。特にロックは取り上げられやすいようであるが、そのロックを志向するアイドルも細分化すればオルタナティヴ・パンク・グランジ・シューゲイザー等々と多様なジャンルに展開されている。
「こんなに可愛いアイドルが、こんな曲を歌うなんて意外」。そんな反応を狙った方向性の設定だけでは差別化の限界が見え始めてきた昨今、単に「意外性」というだけでは片付けられない境地にたどり着いた一つのグループがある。アイドル不毛の地・大阪からたたき上げでのし上がってきた彼女たちの名はPassCode

楽曲ジャンルとしては「ラウド・ロック」「ピコリーモ」「エレクトロニック・ハードコア」といった領域に分類されるPassCodeは、ロック・アイドルが席巻する楽曲派シーンにおいても一際異彩を放つ。その魅力は一体どこにあるのか、個人的主観を交えつつまとめてみる。


楽曲の魅力

PassCodeのジャンルは「ラウド・ロック」「ピコリーモ」「エレクトロニック・ハードコア」、ピコリーモはスクリーモに電子音を導入した音楽で、エレクトロニコアはメタルコアの系譜……と書いても普通の人はそれらの言葉がどういう音楽を指すのか分からないだろう。
筆者自身ここら辺はWikipediaを見ながら書いている。そもそもオルタナティヴもグランジもシューゲイザーも普通に生活していたらまず触れない単語である。きっと聴いてもらった方が早い。

Ray

RayはPassCodeの入り口に最適な曲だと思う。王道J-Popロック的要素を取り込み、展開も普通にAメロ-Bメロ-サビの形で聴きやすさを確保していながら、電子音やシャウトなどのアイデンティティもきちんと示している。
イントロ、エレキギターに続いて聴こえてくるピコピコ音、Bメロのバックに聞こえるデスボイス、これらがPassCodeの「他と差別化される」要素の1つである。(邦ロックに明るい人向けに言及しておくと、Fear, and Loathing in Las VegasSiM魔法少女になり隊を好んで聴く人には親しみやすいサウンドのはず。)
 この曲のいいところはメロディが全編を通して普通の声(クリーンボイス)で歌われていること。デスボイスがアクセントに徹しているので、激しい曲に慣れていなくても比較的聴きやすいだろう。


MISS UNLIMITED 

冒頭のゲームを思わせる電子音から突然のシャウト、エフェクトのかかったボーカル、シンセの効いたイントロからギター中心ロックサウンドのAメロへ。怒涛の展開に置いていかれそうになったところで再びのシンセとドラムのフィルインを挟み、一気に視界の開ける英詞のサビ。間奏ではピアノとピコピコ音の応酬、激しいシャウトパートへと続いてイントロへの回帰。一度落ち着いて盛り上げたあとサビが戻ってきて終わり……かと思いきや急激にテンポが変わって電子音中心のダンス・ミュージックへ。
 1曲で4曲分くらいありそうな圧倒的な展開の多さもPassCodeの売りの一つである。テンポが変わったり転調したりは日常茶飯事である。それでいて崩壊することなく1つの曲としてのアイデンティティーを保っているのだから凄い。

You Made My Day 

たった1分17秒のこの曲、先ほどまでの激しい曲とはまるで別人かと思うほどの静かで美しいバラードナンバーである。この曲で見せる驚くほど繊細な歌い方、表情に一度魅せられたならすぐに、実は他の激しい曲でもそうした表現力が生かされていることに気づくことができるだろう。楽曲ごとに見せる多彩な表情の違いもまたPassCodeの一つの魅力である。




メンバーについて

PassCodeのメンバーは4人。

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向かって左から順に高嶋 楓(たかしま かえで)、南 菜生(みなみ なお)、今田 夢菜(いまだ ゆな)、大上 陽奈子(おおがみ ひなこ)である。
全員が大阪府出身。「アイドル不毛の地」と呼ばれる関西で誕生し、現在も大阪を拠点としながら世界へ進出したというあたりもPassCodeの実力を示すポイントである。

南 菜生

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PassCodeのリーダー的存在。ライブ映像などを見て一番目立っているメンバーがいたらおそらく彼女である。愛称は「やちい」(菜生→野菜生活→やさい→やちい)。
 目が大きくはっきりとした顔立ちが特徴。喋りが得意でライブMCでは主に回し役を担当、ミスiD2016実行委員長特別賞を受賞、最近ではメンバーで唯一東京に転居しメディア露出への積極性を見せるなど、PassCodeの広告塔とも言える役割を担っている。

被写体としての活動にも精力的で、公式instagramには綺麗なポートレートがたくさんアップされている。分割投稿もたくさんあるのでぜひモバイル版で閲覧を。


 歌唱面でもストレートでよく通る歌声で全体の要となる存在。特にオートチューン(ボーカルエフェクター)との相性は抜群で、エモーショナルなサウンドと電子音で形作られるPassCodeの音楽性を体現する存在だ。Aメロの入りやサビ頭の歌割りを担当することが多い。さらには機械的なラップや挑発的な歌い回し、切なさを見せる落ちサビの歌唱など幅広い表現力も持ち合わせる。
 さらにライブでは「煽り担当」と呼ばれる盛り上げ役である。彼女のイントロでの語り・煽りはフロアに一気に火をつける。「歌え!」「跳べ!」などの攻撃的な煽りにもボーカルエフェクトがかけられていて、これがまたPassCodeらしさともいうべきかっこよさを確保している。

Until The Dawnは南の様々な表情が見られる楽曲。特に落ちサビ「誰にも負けないことが 必ずあるから それをまた才能と呼ぶのです」を感情たっぷりに歌い上げる姿が印象的。

今田 夢菜

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PassCodeが誇る最強のスクリーマー
 曲を聴けば真っ先に印象に残る破壊力抜群のデスボイスは彼女のものである。149cmの小さな体から発される凶悪なスクリームは見る者を圧倒する。

Taking you out(メジャー4th両A面シングル)はハイテンポで随所にシャウトが効いた攻撃的な楽曲。なんと冒頭から44秒間は今田のシャウトパートのみで、圧巻のデスボイスを十分に堪能することができる。


 PassCodeのスクリーマーに抜擢された理由はそのまま「一番身長が低いメンバーがシャウトしていたら意外性があるから」。未経験からライブでの経験の積み重ねのみで現在のレベルまで達したというから驚きである。「シャウトの練習はしたことがない。ライブ中に出るようになった。」という天才肌な逸話を持ちながら、目標として「シャウトでは誰にも負けたくない」と掲げるなど強気でストイックな一面も。
 「今田夢菜とシャウト」はPassCodeを語る上で欠かすことのできない重要なテーマであるが、実は彼女は非常に魅力的なクリーンボイス(デスボイスではない通常の歌声)を持っていることにも注目してほしい。「ONE STEP BEYOND」や「Same to you」で聞こえてくる可憐な歌声に耳を傾ければ、彼女が実はグループ随一の繊細であたたかい歌声をもっていることがわかる。

「Same To You」(メジャー1stアルバム「ZENITH」収録)
落ちサビ前半「過ぎてゆく時の中で儚くスローモーション」が今田のパート。(再生ボタンで該当箇所を再生)
デスボイスとは全く違ったベクトルの魅力が垣間見える。

ちなみにTVCMでそのシャウトを披露したこともあるのでもしかしたら覚えている方もいるかもしれない。昨年2018年末から今年初めにかけて放映された「DMM20周年半額キャンペーン」のCMである。

前情報なしでこれ聞いて歌とナレーション同じ人がやってるって気づける人いるんだろうか。
海外のファンが編集した紹介動画。彼女の見た目と歌唱のギャップがテンポよくまとめられていて思わず笑ってしまう。オススメ。


高嶋楓

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ゆるふわ系のいわゆるアイドル顔、かわいらしい印象を与える彼女は意外にもPassCode最年長
 顔の印象に似合ってかわいらしく、しかし通りの良い歌声が魅力。癖のないストレートな歌声は聴きやすく、ユニゾンパートでは他のメンバーの攻撃力の高い歌声を中和してまとめあげるような役割を持つ。
 SNSでの謎の長文投稿や普段の言動から「面白担当」と言われるユーモラス(?)な一面も。ライブ中は特に表情に気をつけているそうで、最近では他のメンバーからも「ライブ中に見せる表情が多彩になった」と評価される。自身もインタビューで「振る舞い担当」と名乗っている。激しい曲が連続する中でも崩れない澄ました表情からは見た目以上にタフな一面も窺える。MVやライブで見せる破壊力抜群の笑顔にもぜひ注目してほしい。

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最新曲「ATLAS」ミュージックビデオより。
メンバー曰く「今までにないくらい笑顔を見せているMV」。
急にアイドルの紹介らしくなった。

「Clubkids never die」や「Taking you  out」などスクリーマーが2人必要な曲では今田と並んでシャウトの掛け合いを行うこともある。その見た目からは想像もつかないパワフルなデスボイスは衝撃的で、ある意味PassCode一振り幅の広いメンバーと言えるかもしれない。

Taking you outでのシャウトの掛け合い。交互に叫ぶうちの後の方が高嶋。シャウトパートの直前・直後が高嶋のクリーンボイスのパートである点にも注目。切り替えがすごい。

大上陽奈子

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 PassCode最年少のメンバー。ロングヘアーがトレードマーク、鼻筋の通った美人顔である。
 特筆すべきは何と言ってもその歌唱力。ツヤのある伸びやかな歌声はPassCodeの伝家の宝刀とも言うべき魅力を持つ。ロングトーンやハイトーンのパートを任されることが多いが、そうした技術的課題にも果敢に挑戦し、PassCodeの表現の幅を広げている。

ONE STEP BEYOND」の2番サビ終わり「Right Now!!」はPassCode史上最高音(2017年当時)。
大上が「たぶんイケます」と言ったために採用されたこの音域のハイトーンは、2年後のアルバム「CLARITY」では連発されるようになっている。
動画は2サビ冒頭からの再生になっているので、後半の今田のクリーンボイスパートにも注目してほしい。

 周囲からも「美声担当」「歌唱担当」と評価されるその歌声は、強い印象を残す攻撃性を備えながらも同時に柔らかく聴きやすい。南と並んでAメロやサビの歌割りが多いが、表現の振り幅が広い南に対してよりストレートで王道な歌いっぷり。他の3人とのユニゾンパートでも大上の声が前面に出ることが多く、PassCodeの歌唱面での顔といっていいかもしれない。南と並べばさながら雷神と風神、今田がトランプのジョーカーなら大上はエース、高嶋が作る芯・核に彩りを与えるのが大上。そんなイメージである。

MISS UNLIMITED」の間奏明け「Let's Go!!」のロングトーン。全曲中随一の彼女の見せ場である。


 スラリとしたスタイルの良い身体を存分に使ったダイナミックなダンスも持ち味。今田以外の3人は全員160cm台前半なので彼女だけが特別長身というわけではないのだが、ダンス経験者である彼女は特にキレのある手足の使い方・見せ方が得意なように思う。
 堂々としたステージングは到底21歳とは思えないが、TwitterやInstagramでは自撮り・他撮り投稿が多めの年相応なアイドルらしい一面も見せる。(食べ物投稿も多め。)




ライブの魅力

PassCodeといえばライブである。
南は各所のインタビューで「大阪の小さな事務所でスタートした私たちは、ライブをすること以外に自分達を知ってもらえる手段がなかった。ライブをすることで大きくなってきた」と繰り返し語っている。

 YouTube公式チャンネルにはMVと同じかそれ以上に多くのライブ映像がアップロードされている。「口から音源」とは歌のうまいアーティストを表現して言う常套句であるが、PassCodeのライブは「口から音源以上」。CD音源やMVでは感じられない熱気、高揚、圧、そうしたものが渦巻いているのである。

代表曲の1つ「Club Kids Never Die」は元々、作曲家である平地孝次がかつて組んでいたロックバンド「DayLight Season」の楽曲。
 南のアグレッシブな煽りに導かれてフロアが揺れる圧巻のシンガロングに幕を開け、攻撃的なシンセ、一転して晴れやかなAメロ、オートチューンの効いたサビへ。続いてメンバー紹介で触れた高嶋と今田のデスボイスの応酬や、大上のロングトーンも披露される。ステージ上の熱いパフォーマンスに、乱立するリフト、サーフ、激しいモッシュとコールで応えるフロア、そして高揚するライブハウスを包み込むような鮮烈なレーザー照明。ライブ仕様でしか味わえないPassCodeの魅力がよく現れたライブ映像である。

 シンガロングやコール&レスポンスなど、フロアとの熱いやりとりもPassCodeのライブの重要なピースの一つである。
 アイドルのライブでは決まったコールや合いの手が要求され、新規のファンにはとっつきづらいこともしばしばである。しかしPassCodeのライブでは基本的にメンバー名のコールや合いの手は無く、手を上げたり声を出したりする場面も直感的に周りに合わせていればよいので、入っていきやすい。


It's you」は最新アルバム「CLARITY」に収録。Cメロのバックとアウトロに現れるフロアの魂震わす大合唱が印象的。ライブでしか味わえない一体感に感動すら覚える、PassCodeの新たなライブアンセムである。
展開が通常のAメロ・Bメロ・サビの形に抑えられており、シャウトも少ないこの曲は、「Ray」と並んで比較的聴きやすい楽曲かもしれない。


バンドセットライブ
 映像を見てお気づきの通り、PassCodeのライブは一部の例外を除いてバンドセットで行われる(アイドルがカラオケ音源ではなく生バンドをバックに行うライブを「バンドセット」という。対義語は「オケセット」。アイドルは普通カラオケ音源で歌う、という前提に基づいた概念である)。
 バックバンドのメンバーはギターにYoichi、KENT(元LOTH)、ベースにToshihiro(元my-Butterfly)、ドラムにMY FIRST STORYのKid'zという強力な布陣。4人はもはや単なるバックバンドではなく、PassCodeのステージを作る仲間として南に「チームPassCode」と表現されるほどに、PassCodeとその音楽にとって欠かせない存在となっている。
 ライブMCではツアー中の面白エピソードを披露したり、メンバーにイジられたり、特技を披露したりとメンバーに準じる活躍をすることも。「楓~!」「陽奈子ー!」といったコールに混じって「Yoichiー!」「Kid'zー!」とバンドメンバーへの声援が飛ぶ人気っぷりである。何とメンバー4人と共にツーショットチェキ会を行なったことさえある。
ちなみにギターのKENTは現在会社員で、PassCodeのツアーを回るために週末と年次有給休暇の大半を消費しているというめちゃくちゃ良い人。


豊富なライブ映像
 公式チャンネルにはライブ映像が大量にアップされているので、適当に再生しているだけでも十分にPassCodeの魅力が伝わるはず。ここでは既に紹介した「Club Kids Never Die」「It's you」の他に、ライブでよく取り上げられる定番曲をいくつか挙げておく。

AXIS

疾走感のあるストレートなロックナンバー。この曲もPassCodeらしい要素を詰め込んだわかりやすい代表曲である。 ツアー2018の赤黒の衣装デザインが個人的に好き。要所でバンドメンバーが映るシーンがかっこいいので注目してほしい。


ONE STEP BEYOND

やらないライブはないというほどの定番曲の一つ。サビの歌割りが1人ずつのソロ回しになっておりそれぞれの持ち味をじっくり聴きわけることができる。落ちサビ前にはシンガロングもありライブ序盤で一気に一体感を高める楽曲である。Bメロの手のひらを正面に向けて上下に振るフリが可愛い。


MISS UNLIMITED

2016年新木場Studio Coastでのライブ映像。このライブは照明演出がとにかくかっこいい。特にMISS UNLIMITEDの1番サビのレーザーの使い方が最高。記事序盤のMVと聞き比べればライブならではの良さが分かるはず。1:23、一瞬のドラムのスティック音がめちゃくちゃかっこいい。ライブ音源限定の魅力。

rise in revolt

ドラマチックなシンセのメロディーに導かれて随所に現れるシャウトやラップパート、力強いサビが印象的なナンバー。ZENITH Tourファイナルでの南のエモーショナルなMCは必聴。




その他の魅力

 アイドルのCDジャケットといえば普通は顔がよく見える写真ベースのデザインが主流であるが、PassCodeのそれはそうした路線とはかなり異なる。そもそもジャケットにメンバーの姿は無い。毎シングル・毎アルバム、3DCGを使用したオブジェクトを中心とするグラフィックがジャケットを飾るのがセオリーとなっているのである。

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1stアルバム「ZENITH」

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3rdシングル「Ray」

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ライブ音源CD「LIVE UNLIMITED」

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両A面シングル「Tonight/Taking you out」

また、音源発売のたびに公開されるダイジェスト版ティザームービーがいちいち凝っていてかっこいい。短時間で凝縮された魅力を味わうことができるのでおすすめである。


PassCodeの振り付けを担当するのはELEVENPLAYKOHMEN。ELEVENPLAYといえばPerfumeの振り付けで知られるMIKIKO率いる女性ダンサー・振付・演出家集団である。KOHMEN個人の仕事では他に乃木坂46「マウスコンピューター」のCMのダンスが知られる。
 攻撃的な音楽性とは裏腹にしなやかで美しい、時に可愛らしい振付は見ていて楽しいものになっている。「悪いPerfume」と言われたこともあったりする。

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「Ray」のサビで「耳を澄ませて」という歌詞に合わせて耳を押さえる、印象的な振付。

 ちなみに曲によってはMVとライブで振りが異なるものも。ライブ用のダンスでマイクを持つために手の振りが制限されるのはよくあることだが、PassCodeではそれ以上にその場の盛り上がりやフロアとのやりとりが重要視されている印象を受ける。

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対バンライブツアーVersus Passcode 2018大阪公演より「Same to you
Aメロの「ある朝に猫が泣いて気づいたんだ」という歌詞に合わせた南の猫ポーズ。決まった振付というよりはアドリブ的なポージングだと思われる(MVでは見られない)。ライブでは振りよりもその場のノリを重視する自由度の高さがまた魅力。ちなみに南はこういうアドリブが得意。


まとめ

こうしてまとめてみると、PassCodeが異質なのは「アイドルでありながら明確な1ジャンルの音楽を追求している」点にあると言えそうだ。BiSHと比較すると狙っている音楽の層はよりコアなものであるし、BABYMETALが「アイドルとメタルの融合」を遂行しているのに対して、PassCodeは形態としては結構アイドルであり、音楽的にはほぼラウド・ロック一筋である。

とは言え彼女たち自身が語っている通り、PassCodeはそれらのジャンルを「都合よくいいとこ取り」していく存在。ロック・アーティストとしては既にFear, and Loathing in Las Vegas主催『MEGA VEGAS 2017』やSUMMER SONICなどの大舞台に出演しているし、一方でTIFやMAWALOOPなどのアイドル系のイベントにも顔を出す。無理にどちらかにグループ分けするような議論はナンセンスである。
 そんな定義づけできない”ジャンル=PassCode”な彼女たちの魅力、お分かりいただけただろうか。少しでもかっこよさを感じ取っていただけたのであれば長文投稿冥利に尽きる。しかし、本当の良さを理解するのに最適な方法はきっとライブに行くことだ。PassCodeは毎年全国ツアーを回っているので、お近くに来た際にはぜひ足を運んでみて欲しい。

 来年1月には自身最大規模で開催中のツアー「CLARITY Plus Tour」のファイナル・新木場Studio Coast公演2daysを控え、ますますの飛躍が期待されるPassCode。今後の動向に注目である。

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