『その女アレックス』 - ピエール・ルメートル

 とにかく長過ぎた。例えば仮にこの本のあらすじを全部網羅した3分くらいのネタバレ動画があったとして、その内容を想像してみるとめちゃくちゃ面白そうだと思える。つまり話の筋は悪くないのに、ただそれが霞むくらいに長い(と感じた)。

 気になった点など。
 逆境体験やトラウマを甘く見過ぎだと感じた。こんな子供時代を過ごした人にこのような複雑な策動ができるとは思えない。
 (その話題でいくと、あの寄る辺なき苦難に満ちた人生の果てに見事復讐を成し遂げた山上達也の能力と精神力を考えずにいられない。しかしこれは別の話だ。)

 読了感は悪くなかった。むしろ爽やかなくらいだ。この話のこの結末は嫌いじゃない。けど最近こういう話多いなと思う。(何に似てるとかは書かないことにする。)本当はその話がしたい。不便だ。

 Audibleで消化。コイン制が終わるとき最後に余ったコインを使うために迷って選んだものの中の一冊だった。実を言うとかなり聞き飛ばした。全部で14時間もあるのが分かったので、精読する労力を惜しんで最初から8割頭に入ればいいというつもりだった。しかし雑過ぎたかも知れない。大体話は分かったけど。
 どんなジャンルの話かも良く知らず予備知識なしで始めたのだが序盤の描写にうんざりしてちょっと気持ちが離れた。長さや叙述の解像度を調整しても物語の本質は変わらないのに勿体ないと思った。或いは人によってはそうでもないんだろうか。作品の欠かせないエッセンスとして摂取してる人もいるのかも知れない。

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