MJ+

 人名に使われる漢字が極端に多いのは個人のアイデンティティと強固に結び付いているせい。最初はただ市役所職員の書き間違えに過ぎなかった大量の異体字が、その一族の自意識と癒着したため消滅を拒み社会の中に保持され続けた。
 しかしファミリーネームは(夫婦別姓を敢えて選ばなければ)結婚で半分になり子供を残さず寿命を迎えればゼロになる。今現在、人名漢字がこんなに沢山あるとは言っても次第に減っていくはずだ。
 いつか遠い未来MJ+にマップされたまま風葬される未使用漢字にこの世から消えた一族の形骸を見て、そこに確かに実在したアイデンティティに思いを馳せたい。

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