威徳院 旧蔵とされる「魔像」について④
「魔像」の違和感の多くは、その説明の内容が妙に具体的であることに起因しているように思われる。「魔像」と同じく『古今妖怪纍纍』に掲載された「件(くだん)像」が「群馬県の旧家に伝えられていたという」と曖昧な説明しかされていない点と比較しても「魔像」の説明が具体的であることは際立っている。「魔像」以外の湯本豪一氏のコレクション群には、どのような説明が与えられているのだろうか。『古今妖怪纍纍』の前年、2016年に刊行された『日本の幻獣図譜』を調べたところ驚くべき事実が判明した。