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THE FIRST SLAMDUNK 感想

※盛大なネタバレ。大まかな映画の流れを記憶のある限り書いております。



「家族愛」

 私が今回の映画スラムダンクで感じたのは予想外のテーマだった。

 主人公は宮城リョータ。
 始まりはリョータの幼少期から。
 父親を亡くし悲しみで俯く母親を支えたのはリョータの兄、ソータ。オレがこの家のキャプテンになると決意したソータは、リョータにとっては兄貴でもあり父親のような存在であったのだろうと推察する。

 リョータはソータにバスケを教わった。ソータは背番号「7」を背負い、ミニバスでは期待をされる選手だったのだ。

 ソータは包み込むような優しさと強さでリョータを指導した。なかなかソータから点を奪えない1on1。転んでも必死に立ち向かい、レイアップを決めた際にはその胸に抱き締めてくれた。

 1on1が楽しくなったリョータはソータに次の1on1を申し込んだ。しかし、友達と約束をしていたソータは船に乗り込み遊びに行ってしまう。

 リョータは相手をしてくれないソータに酷い言葉を投げかけて見送った。
 そしてソータは海難事故により帰らない人となった。

 リョータの母親は、ソータを思い出したくない気持ちでソータの思い出のトロフィーやTシャツを仕舞おうとしていた。
 リョータはそんな母親に対抗してソータの思い出を守ろうとした。

 形見の赤いリストバンド。
 それを付けて望むのは、かつてソータが戦って勝つと志した山王戦。

 そこからは原作、そして映画オリジナルのストーリーを交えて試合が展開されてゆく。

 原作にはあった所々の名シーンが省略をされておりり少しばかり残念な気持ちはあったけれど、新規の方にはわかりやすい物語となっていた。

 実際、原作漫画・アニメを見ていない友人は「新規でも面白かった」と言っている。

 試合の所々では宮城リョータを中心に三井、そして流川、ゴリ、桜木の回想が挟まれる。
 幼少の頃から住んでいた沖縄から転居した宮城。中学生の宮城は神奈川の地でストリートバスケをしていると、三井と初めて出会うことになる。まだ互いに名前も知らない仲だ。こんな出会いがあったとは感動である。爽やかな三井兄ちゃんはかっこよかった。宮城はその快活な姿に兄を重ねるのだった。
 そんな三井はグレてしまい晴れて黒歴史へと突入する。ロン毛サラサラヘアー三っちゃん。
 宮城とは高校で再び出会う。互いに中学時代に出会っていたことを覚えていない様子に見えた。 高校校舎の外ですれ違いガン垂れながら、「アイツ潰そうぜ」と三井は言う。
 屋上に呼び出された宮城は「まるで不良漫画のように」三井軍団にボコボコにされた。宮城は親玉の三井しか狙わなかった。ここも原作通りである。
 雪の降りしきる屋上。ぼろぼろになった宮城は自分も、この雪も、まるでゴミのようだと自暴自棄になった。バイクで走り出して向かう先で事故にあう。目覚めた時には病院のベッドの上。妹と母親が心配そうに覗いていた。
 母親は何をしているのと悲しみで強く当たってしまい病室から去ってゆく。宮城はまた母親を悲しませてしまったと思うのだろう。

 その後には三井が三年、宮城が二年になり、二人で体育館に入ってゆくシーンも描かれている。三井が髪を切り、心機一転、大きく背中を曲げて謝罪、再び湘北高校バスケ部の仲間へと戻ってゆくのだ。

 対山王戦ということもあり、エースの沢北と流川のマッチアップは無くては語れない。流川は笑った。のシーンもナチュラルな流れで描かれていた。しかし、今回の主人公は宮城ということもあり、原作よりも薄めの印象だ。逆に私は、あれ、これ流川主人公とかもあるんじゃ…? どんどん主人公変えていくのか…? と思った。大好きな 北沢ー 北沢? 沢北じゃねえか…どあほうのシーンがなかったからだ。かの有名な仙道彰期待していたのに…!! 仙道彰は一秒ほど、桜木?の回想シーンで映る程度だ。記憶力がお陀仏のため、正解にどこのシーンだったかを書けない。
 それからゴリ。ゴリが今まで仲間に恵まれなかったシーンが描かれていた。こちらもあの胸熱涙シーンは無かったものの、私は泣きました。ああ、ゴリ、良かったなあ。…良かったなあと。
 正直、終始泣いていた。元々涙もろいこともあり、今回の映画はまさかの涙腺にくる系の家族物語だったので、開始10分で泣いていた。

 桜木はというと、やはり真の主人公ともあり、存在感は際立っていた。ジャイ●ンがまるでスタンドのごとく桜木の後ろに見えたことは正直否めない。少し可愛い? 感じの桜木になった気がする。無邪気で、生意気で、ずる賢くて、可愛い。そんな桜木だった。

 ただ、今回は恋愛要素は薄い気がしたため、晴子さんとの絡みシーンなどは無く、宮城とアヤコさんのシーンも爽やかにさりげなく描かれていた。アヤコさんが宮城の手の平に書いた「No.1ガード」のメッセージ。それは間違いなく宮城を突き動かした。

 第4Q、残り数秒。そこからは原作漫画と同様、無音の世界となる。緊張の局面で、私達は息を飲んだ。それはまるで本当のバスケの試合を観ているかのごとく呼吸すら止まるようなひと時だった。

「左手は添えるだけ」

 桜木の唇が動く。サイレント。
 流川の穴を通すようなパス。
 桜木が手からボールを放つ。
 タイムが0秒となる。
 2点のカウント。
 湘北の勝利が決まるとともに無音が解かれる。
 鳥肌だった。

 山王戦に勝利した宮城は海岸を歩く。
 そこにいたのは遠くを見つめる母親だ。
 母親よりもずいぶん大きく逞しくなったリョータ。リョータはソータのリストバンドを母親に見せる。ソータのことを連想させるそれを、リョータは母親には見せないように隠し持っていたけれど、ここで初めて目の前に出すのだ。
 母親は何を思うのか。ソータへの想い、成長したリョータの姿。夢、そして勝利。

 母親は言った。「おかえり」と。照れ臭そうに返すリョータはその時、子供に戻った気がした。

 ラストシーン、沢北が海外でバスケをしていた。おそらく日本のインタビューに応えている沢北はフィジカルが大きく成長していた。
 しかし、なぜかまだ坊主だった。

 沢北の前に立ちはだかった相手には、なんと宮城の姿があった。二人が海外に渡り対戦するという奇跡的なシーンを観ることができた。感無量である。おそらく他の、例えば流川や仙道も、もしかしたら海外へと渡っているのかもしれない。彼らの未来を期待させてくれる終わり方だ。胸がいっぱいになった。
 
 そして私はこの映画を経て、晴れて担当変えをすることになった。三井のかっこよさにやられたからだ。なぜ今までそのよさに気がつかなかったのだろう。不思議である。購入した三っちゃんタオルの使い所を探しながら眠りにつきたい。

 スラムダンクを大好きになり、こうしてリアルタイムで何かを楽しめるのは初めてだった。

 幸せで、嬉しくて、涙が出る。
 また彼らに会いたい。たくさん見たい。
 改めて好きな気持ちを再確認した。

 井上雄彦先生、ありがとうございます。



........以下、映画前に書いた感想ではない蛇足………


 12月3日
 朝5時半、起床。
 昨日までバリバリに五連勤していたものの、普段から早寝早起き族な自分にとっては楽勝だ。
 とはいえ四時には起きたかったのが本望。しかし、今日一日長くなるため体力温存するためにもギリギリの時間を選んだ。言い訳がましいにも程がある。

 映画館に選んだのは桜木町にあるブルク13。
 チケットは前売りを購入しており、座席指定販売当日0時、SEのバリバリPCを使いこなす友人に器用に良い席を確保してもらった。
 チケット販売前のYouTube LIVEはもちろん見ていた。いつもより早めに帰社し、上記友人に「LINEせん? 中継しながら見たい」と話した。
 阿鼻叫喚しながらライブ配信を身終え、その数時間後に販売された座席指定販売を購入した流れだ。
 そして冒頭に戻る。待ちに待った当日。自分は目覚ましと共に覚醒するように起床した。

 横浜ブルク13があるコレットマーレに到着したのは6時44分。
 結論から申し上げると、かなり並んでいた。マジかよ。やはりあなどれん。あれだけ文句を言っていた人間もおそらくグッズは欲しいみたいな感じで並んでるんだろう。ちっ。まあ、ええわ。
 口が悪くなったが、皆同じスラムダンク好きだ。
 つまりは仲間ということで、今日という晴れの日ぐらいは多めに見ることにする。
 とにかく売り切れなどが無いか心配しながらひたすらに待った。映画も始まってしまうため、それまでには購入をしたい。
 予想金額購入は10万程度。
 本気を出したオタクは怖い。もはや全てが安く見えた。
 私はスラムダンクをリアルタイムで楽しむことが出来なかった勢だ。初めて見たのは小学生の時。物心つく頃には連載は終了していたし、アニメもキッズステーションの再放送で見た。
 グッズなんてほとんど持っていない。(イノウエバッジ店で購入したグッズは持っているため「ほとんど」と表現する)
 当時、どれだけ人気で、どんなグッズが販売され、いや、グッズなんて概念は今よりもなかった?のかもわからないが、とにかく何もわからない。
 ただ、この長蛇の列を見ると思う。
 ああ、みんな好きなんだなと。みんなガチじゃん…と。
 自称スラムダンクガチ勢の自分よりみんなガチじゃん。そりゃ色々な意見あるよな、と。色々思うところあるよな、と。愛と憎悪はニコイチなんだなあ。
 当時を知らなかった分、たくさん買いたいし、たくさん楽しみたい。正直、映画やってくれるだけでありがてえんだよ、こちとら。
 どんどん前へとなってきた。顔ぶれは老若男女。本当に幅広い世代だ。バスケ部なんだろうなという高校生くらいの子もいた。受け継がれてるんだなと実感した。
 アニメや漫画は永遠だ。
 だが、人間は永遠ではない。
 アニメや漫画を後世に繋いでいくためには、人間は変わらざるを得ない。某国民的アニメサザ●さんやちび◯子ちゃんのキャラクターも中の人は変わる。そしてそのキャラクターボイスが当たり前になるのだ。
 スラムダンクは、私から見れば「10年前にアニメ、漫画が終了をしてしまった作品」だ。
 終了したら、新しく始まる。
 なんら不思議ではない。
 勝手に期待をして、自分の思い通りにならなかったから誹謗中傷するのは違うと思う。
 前売り券は、買わなければいけなかったわけではない。購入は自由。あなたが、購入した。ただそれだけの話。
 プロモーションが下手?
 よくわかりません。買わなきゃいい、見なきゃいい、知らんがな。
 
 まあさ、わからないでもないよ、そりゃさあ。
 小さな頃に見た、あの青春は文句なしに輝かしかった。もう一度、ありのままを見たい気持ち、正直さ、わかるに決まってる。人間だもの。
 んで、そんな素晴らしい作品を創造してくれた「作者」が原作・脚本・監督をして我々に、今回この映画を提供してくれたんです。
 はい、どうぞドンっと。
 そしたら我々は、素直にそれを受け入れるのが当然だろう。
 だって神が作ったんならそれがもう正解なんだから。作者だぞ。作者が作ったんならそれはスラムダンク以外の何者でもない。
 完璧なスラムダンクだ。
 嫌なら見るなと叫びたい。
 一回は見るんだろどうせ。
 わかってんだよ!!!おもしれーな!!!!

 はあ。またしても興奮してしまった。
 落ち着け。冷静な菩薩、安西先生を思い出せ。

 とりあえずこれをここまで打っている今現在もまだ列にいる。暑い。

 グッズを買う番になった。
 ドン引きされるぐらいには爆買いをした。
 
 興奮のあまり買い忘れをしてしまい2回並ぶどんくさをやらかした。

 金額は9マン程だった。
 想定より安くてなんだか得をした気分という謎の極地に達した。
 たくさん購入したため、レジの方には申し訳なかた。最後まで丁寧なレジ対応、ブルク13の店員さんは接客抜群です。

 そんなこんなで映画開始にも間に合い、グッズも購入できたとさ。本気。

 
 
 


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