花に便り。

僕が初めて一人で完成させて世に出した曲だった(昔のバンド活動なんかで作詞や作曲はしていたこともあったけど、それぞれのパートは特に考えるわけでもなく各々に任せていた)。

学生の頃に組んでいたバンドは空中分解して、解散しましたという発表もせずに終わってしまった。
それからというもの、バンドを組むわけでもなく、それでも音楽はやりたいという気持ちからDTMという存在を知った。
デスクトップミュージック。PCで音楽を作るということで、楽器がなくたって一人で完結できるから、新しくバンドを組む手間もなくてちょうど良いじゃないかって思って、訳もわからずウキウキでDTMソフトを購入した。
大学に入学したときに一人一台ノートPCを貰えた(もちろん実際学費に含まれてるだけだろう)ので、そのノートPCで作業することにした。
開始30分も経たずに大きな問題に直面してしまった。「音が出ない」。
きっと誰もが通る道なんだろうけど、なんとなく、DTM=お手軽にできるみたいなイメージだった僕は、心がパキッと折れた。
説明書もよくわからん、その頃の僕には理解することも出来なくて、理解しようとする努力もしないまま、僕の最初の挑戦は幕を閉じた。

それからというもの、自分で作るということをしないまま数年が経った。
細々とはギターなり鼻歌なりで作曲してみようとは試みるも、それが形になることは全くなかった。
それでもエモーショナルなサイクルは時折やってきて、このままじゃダメだ、何か残すんだという気持ちに火をつけたり消えたりして、自分なりに駆り立てようとはしていた。
そこで僕は思い切って、責任というおもりを乗っけることにした。
こんなBGM作りました、こんなメロディ作りましたみたいなことを公表したり、曲を作るということを人に宣言するということで、後には引けない状況に自分を置いてみた。
意思が弱々な僕にはこれが一番良かったんだと思う。

そんなこんなで出来たのがこの曲だった。
一曲完成させた、今でもその自信は僕を助けてくれている。
聴いてくれた人たちありがとう、助けてくれた人たちありがとう、本当に感謝してます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?