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HSPの私が仕事を辞めるに至るまで⑩

新卒3年目の5月半ば。
施設のスタッフ体制や利用者様の周辺症状の悪化に加え、自分自身の体調も芳しくないなか、その日は突然訪れる。
「あぁ、私、もう無理だな。」と強く思った日だった。

その日、私は日勤で仕事に入っていた。
利用者Aさん(詳しくは④をお読みください)が朝から落ち着きがなく、立ち上がってフロアの外に出ようとする。
もう一人のスタッフがAさんを散歩に連れて行くも、帰ってきて10分もたたぬ間に外に出ようとする。私はフロアで昼食づくり、他スタッフは他利用者様の散歩に出かけていたので私が対応していたのだが。
Aさんを昼食づくりのほうに誘導したり、話題を変えようと試みるが、Aさんは「外に行くこと」で頭がいっぱい。「他スタッフが戻ってきたら外に一緒に行きましょう」と声をかけるが、Aさんは止まらない。
私もフロアから出ていくわけにはいかないので何とか引き留めていたところ他スタッフが散歩から帰還。状況を察知してそのままAさんともう一度散歩に行ってくれた。

この時点で、私が行うべき業務は押しに押していて、昼食づくりはほとんど進んでおらず、利用者様の臥床介助やトイレ誘導などやることは山積み。

Aさんは2度目の散歩から帰ってくるも落ち着かない。
何度も「外に行きたい!」と訴え、顔を真っ赤にして怒鳴り続ける。

休憩もまともに取ることができず、夕方までAさんの訴えは続き、この日だけで4回も散歩に出かけた。「私の対応がいけなかったのかな」とAさんに怒鳴られたことを真正面から受け取ってしまい、精神的に落ち込んでしまった。
この間も他利用者様の介助や対応は続き、正直いっぱいいっぱいになってしまった。

私のシフト時間が終わり、あまりに心身共に疲れすぎてフロアから動けずにいた。
記録を書かなければいけないのに、握りしめた手を机に向かって無心でたき続けるばかりで。

様子がおかしいと思ったスタッフが「大丈夫ですか?」と声をかけてくれたタイミングでもう急に涙があふれてきてしまって。
泣くつもりなんて全くなかったのに涙が全然止まらなくて。なんで泣いているのかも自分ではわからなくて。

スタッフさんは「今日は大変でしたもんね。対応を色々任せすぎちゃってごめんなさい。明日は仕事休んだ方がいいですよ。僕が代わりに出ますから。」

と言ってくれて余計に涙が止まらなくて。
そのスタッフさんは悪いところなんて一つもないのに謝らせてしまった、気を使わせてしまった自分が許せない。
それを伝えようと思っても泣きすぎて言葉にもできない。
夕食時間で忙しいのに私がフロアで泣いてるから気にしてそばを離れられないでいる。
「どれだけ迷惑かけてるんだろう」と自己嫌悪に陥る。

「すいません。大丈夫です。お疲れさまでした。」とだけ伝えて事務所に戻り、そこから1時間半ずっと泣いていた。
涙がとまったら帰ろうと思っていたのに全く止まる気配はない。ほかのスタッフさんまで気にして事務所に来てくれて、さらに申し訳なさが募る。

このままだと本当に帰れないと思い、とりあえず外に出たけど、帰り道も電車も家についてからも涙が止まることはなかった。
なんで泣いているのかもわからなかった。

これは5連勤の始まり。
あと4日間はこの気持ちのまま職場に向かうのかと思うと涙はより一層あふれ、その日はまともに眠ることもできなかった。



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