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ビッグワードで1位を目指すのは悪じゃない

 【ビジネスサイドから語るSEOシリーズ】

こんにちは。平塚です。

タイトルからして弊社コンサル事業部のメンバーや、ともに研鑽してきたSEO界隈の方々からひんしゅくを買いそうですが、今回は「ビッグワードで1位を目指すのは悪じゃない」ということについて、ビジネスサイドから話したいと思います。

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【ビジネスサイドから語るSEOシリーズとは】
同じ会社で支援サイドから事業サイドのマーケターに転籍した元SEOコンサルが、SEO界隈では今さらなトピックを「これって事業サイドから見たらこうだよね?」というビジネスサイドでふわっと語るささやかな小話です。
※しっくり来るまでシリーズ名は変化します

※平塚がコンサル時代に書いたSEO関連記事はこちら

ビッグワードに関する一般的な見解

まず、ビッグワードとは何かについて、一般的な見解を紹介します。「ビッグワードとは」で一番上に出ていたものです。

ビッグワード(英:Big Word)とは、検索エンジンで多く検索されるキーワードを言う。ビッグワードの特徴として、抽象度が高く、汎用的な言葉である点が挙げられる(車、病院、ペット等)。
引用元)ビッグワード(ビッグワード)とは | BtoB 受発注の用語集

つまり検索ボリュームが大きいキーワードで、ニーズが大きいからこそ抽象度の高い単体ワードのことが多い。ということですね。

大体のSEOコンサルタントやSEO担当は、トップ層の方から「ビッグワードで上位表示したい」と言われると、嫌な顔をします

そしてビッグワード(だけ)を狙わない理由、特定キーワードを追い続ける無益さについて様々な角度から説明します。

なお、多分に漏れず私もそうでして、そういった要望を言われるたびに(この人はSEOを魔法か何かかと勘違いしているのかな)と思っているフシもありました。

ただ最近、事業としてちょっとだけマーケティングの実務に関わる上で「ビッグワードを狙うってそんなに悪いことなのか?」と感じるようになりました。

ビッグワードとは「狙うべき市場カテゴリ」である

ここからは、極めて個人的な私の考えになります。

「ビッグワード」とは必ずしも

・検索ボリュームが大きい
・抽象度が高い
・興味層が多い(ターゲットが広すぎる)
・競合性が高いレッドオーシャン
投資するに値しない(非効率すぎる)

ではないのでは。と考えています。

ただの捉え方・解釈の違いなのかもしれないですが、本来自社が狙うべきビッグワードとは、顧客になりうるユーザーがいちばん最初に調べる抽象度の高いキーワード、つまり「市場カテゴリ」なのではないでしょうか。

言い換えると、「XXといえば◯◯」のキーワード”XX”、つまり第一想起を取りに行くべきキーワードであり、ビジネスでやっているのであれば時間がかかってでもテッペンを狙いに行くべきキーワード。

それこそが「上位表示に固執すべきビッグワード」なのだと思います。

たとえばカルモは個人向けカーリース事業を展開していますが、立上げ3年目にして「カーリース」というビッグワードでオウンドメディアが1位〜2位、サービスサイトが3位という位置につけています。
※7月20日現在、2位に下落していて非常に胃が痛いです

これは決してラッキーショットではなく私含め多くの運営メンバーが『どうやったら「カーリース」で検索1位になれるか』を考え続け、実行に移してきた結果です。

(参考)カルモマガジン「カーリース」順位

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(参考)サービスサイト「カーリース」順位

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そのおかげもあってか、事業立ち上げから約3年でカーリースの先駆者の競合企業に引けを取らない認知度と、契約者数の成長率を誇っており、事業としても絶対に譲れないキーワードとなっています。
(もちろん、デジタル広告やテレビCMの貢献も非常に大きいです)

手前味噌になってしまいましたが、結論自社にとってのビッグワードとは戦うべき戦場のことを指すのだと思います。

つまり、検索ボリュームの大きさではなく、どの戦場で一番を取るかという長期的な目標こそビッグワードであり、一位を目指さないなんてありえないのです。二位じゃダメなんです。

ビッグワードをマーケティングに絡めて考えてみる

マーケター2年生ではありますが、せっかくのアウトプットの機会なのでマーケティングに絡めてビッグワードについて考えてみたいと思います。

ビッグワードで上位表示すると顧客のEvoked Setに入る確率が上がるのでは

「ビールが飲みたい」「洗剤を買おう」と思った時に、頭の中でイメージされるブランドの集合体。例えば缶ビールと聞いて「スーパードライ」「一番搾り」「プレミアムモルツ」「サッポロ黒ラベル」が思い浮かぶ、洗濯洗剤と聞いて「アタック」「アリエール」「トップ」が想起されるというのがそれに当たります。
つまり、何かを「買おう」と思った時、生活者は自分の頭の中にすでにあるエボークトセットの中から選ぶことがほとんどで、エボークトセットに入らないブランドは購入されにくいとも言われています。
引用元)エボークトセットとは? 選ばれるブランドとなるための必須戦略  

下記参考:池田紀行さんの記事

Evoked Setとは、何かをしよう(買おう)としたときに、頭に浮かぶ好意的な選択肢の集合体のこと。

ふと思ったのは、ビッグワードで調べるユーザーの目的や意図です。

たとえば「カーリース」と調べる人、「SEO」と調べる人はどのような人でしょうか?
恐らくですが、そのカテゴリにおけるEvoked Setが存在しない”新規客”の確率が高いのではと思います。

欲しい情報がだいたい固まっている人は「カーリース メリット」であったり「SEO BtoB」など、欲しい情報を取りに行くための詳細な検索を行うことでしょう。

一方、持っている情報が乏しかったり、ニーズが具体化していない人ほど、まずビッグワードと呼ばれるシンプルな検索をまず行うことが予想されます。

見込客の興味領域において最初の接点を持つことのインパクトは、計り知れないかと思います。実際、カルモのお客様にインタビューをした際に「カーリースで調べたらカルモを見つけたから申込んだ」という方が非常に多いです。

つまり、そのカテゴリにおいてはじめての情報収集(検索行動)において、はじめての接点を自社サイトが持つことで、自社サービスが最初の選択肢の一つに入ること=「Evoked Setに入る」可能性が圧倒的に高くなるのではないかと思っています。

ロングテールは市場規模が小さすぎる

ロングテールワードとは、検索ボリュームが少なく、複数語の組み合わせからなる無数のキーワードのことを指します。複数語で検索されたキーワードはワードが増えるほどニーズが深いため、コンバージョンには至りやすい傾向にあります。

ただ、そのロングテールひとつ上位表示して得られる市場領域はどの程度のものでしょうか?

一般的にロングテールワードは月間平均検索回数が100も満たないキーワードであることが多く、刈取り力が高くても投資回収が2年〜3年とかかってしまうケースも多いかと思います。

ロングテール”だけ”、”小さすぎる”ミドルワードを狙ったSEO戦略は「狭すぎるセグメンテーション」になってしまい、市場規模が小さすぎて非効率である気がします。

セグメンテーションによって市場カテゴリを狭めることの非効率性はブランディングの科学(著:バイロン・シャープ氏)確率思考の戦略論(著:森岡毅氏)でも語られています。

下記参考:松本健太郎さんの記事

ブランドが成長し続けるために、カテゴリー全体の消費者は1百人よりも1千人、1千人よりも1万人と大いに越したことはありません。
これこそ「なぜ市場を定義するのか」「なぜセグメンテーションで区切るのか」に対する解です。ターゲットを誰にするのかは重要な課題ですが、よりカテゴリー(市場)全体の消費者が多くなるように、かつM=プレファレンスが高そうな消費者が集まるようにセグメンテーションするためです。カテゴリーを狭めるのは、自らの首を絞めるだけです。

もちろん、『ウチは男性向け化粧品メーカーだから、市場規模が一番デカい「化粧品」を狙え!』みたいな無理難題を肯定しているわけではありません。

例えば男性化粧品、特に化粧水を強みにしていて、その領域で一番を取りたい(一番を取るに値する市場規模と、それに見合う便益がある)なら「メンズ化粧水」を狙うべきでは。ということを言いたいのです。

ロングテールも当然重要ですし、SEO戦略上ぜったいに外せないキーワード群です。

前回書いた記事でも述べたとおり、”ドメインを強化するSEO”として、専門性・テーマ性を高めるために、細かいロングテールワードでもしっかりと検索エンジンに評価されることが最終的にビッグワードでの上位表示に繋がる可能性も高いです。

しかし、それはあくまで市場を取りに行くための足がかりでしかない。というのが私の考えです。ロングテールで広がる市場は狭すぎます。

私は「ビッグワードはレッドオーシャンなので絶対に狙いません。ロングテールを取りに行きましょう。」と第一声で期待値調整してくる人のほうがよっぽど悪だと思っています。

「社長がビッグワードにこだわっていて困っている。」ということを聞いたり聞かなかったりしますが、その社長さんはビジネス目線で見たら決して間違ってないんじゃないでしょうか

ビッグワードと、どのように付き合うべきか

さて、現場の話に戻りまして、「ビッグワードと、どのように付き合っていくべきか」について整理します。

【狙うべきビッグワードの設定方法と、付き合い方】
・どの市場カテゴリで一番を目指すか決める
・市場カテゴリで最も想起される二語以内のキーワードを定める
※三語以上だと、検索ボリュームが大きく制限されるため
・1位になった時に、最強にインパクトのあるものかどうか判断する
・SEO施策は、設定したビッグワードに対してプラスの影響があるかどうかを判断軸に入れる
・SEOは魔法じゃない。長期的に1位を目指すものだよと期待値調整する!

先程の例のとおりですが、たとえば男性化粧水でテッペン取りたいなら、「メンズ化粧水」ですし、もう一つ上の市場カテゴリ、たとえば男性化粧品でテッペン取りたいなら「メンズ化粧品」が狙うべきビッグワードと言えるかもしれません。

もっと大きいカテゴリでもいいかもしれませんが、あくまで自社の便益に対して市場規模が担保されていて、将来的にトップをギリギリ目指せるレベルで設定するのが正しいです。

狙うべきビッグキーワードの一例(メンズ向け化粧水の場合)

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ロングテールとはどのように向き合う?

繰り返しになりますが、ロングテールとの向き合い方は下記になります。

【ロングテールとの向き合い方】
・市場を取りに行く(ビッグワードで上位表示する)ための足がかり
・ロングテール=悪ではない
➝ロングテールであるほど、ニーズが深くなるので、CVRも上がる
➝難易度も下がることが多い
➝テーマ性があがり、ドメイン強化につながる
・市場規模が小さすぎて、自己満足にしかならないケースも多い
➝投資対効果に対してシビアに見ていく必要性がある

取り組みは変わらない。目線を下げないという意識

自己解釈垂れるわりには、ビッグワードでどうやって上位表示させるかについて全然語らないね。という件ですが、前述の通りビッグワードで上位表示させるためにはロングテールなどの小さい領域で一番をコツコツ取りに行くしかありません。

なので正直私が色々喋ったところで、やることは変わりません。

この記事を通じて皆さんに考えてほしいのは目線を下げないということです。ビジネス視点で考えれば市場トップを目指さないなんてありえないことかと思います。

未来永劫カテゴリトップになるのが難しいのであれば、ターゲットと提供便益を見直しましょう。

市場でトップを目指すために、検索結果上でトップくらい目指して欲しい。いつだってビッグワードで一位を見据えて戦って欲しい。地道に…コツコツと…ということをお伝えしたかった次第です。

今回も概念論や自己解釈多めで失礼しました。次回もぜひ読んでください。

終了

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https://twitter.com/hhhirats

【ビジネスサイドからSEOを語るシリーズの候補】
済:
SEOを事業貢献に繋げるための"3つの視点" 
済:ビッグワードで1位を目指すのは悪じゃない
・SEOに認知貢献はあるのか
・最強のSEO施策は「啓蒙活動」です
・我田引水SEOこそ最強。他社のマーケに敏感になろう
・SEOに携わる人こそ広告指標を意識すべき
・テクは上がるが役には立たず
・SEOは戦略1、実行9くらいで良い
・成果シミュレーションから逃げずに立ち向かう方法
・大企業こそやるべき、"王道"SEOについて
・ニーズと検索ボリュームのデカいKWがタイプです!
※順不動
※読んでみたいものがあれば、それを書きます

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