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ケイティミスト


今日で旅をはじめて150日‼︎

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まえがき
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好きなものに影響されやすい人なので、アルケミストを読んで、「好きだ!!」と感じるよりも前にnoteを書き出して、友達に「KTの今回のノート、アルケミストっぽくなってるよ」って言われて、私は、「え、うそ!」友達が「本当だよ、ケイティミストだよ笑」っていうのでやっと気づいたような次第です。

旅のストーリーを書こうとしたら、気づけばミニ小説になっていました(笑)

書き終えた今、こんな事を思います。寂しさに、封をするのは、喜びにも封をすること。だから、寂しさと、恐れにつぶされてしまうのではなくて、「ありがとう、ミニKT」人間らしくいさせてくれてと、伝えながら前に進もう。 

第五回目の旅に続いて、第六回は沖縄旅、第七回は神奈川旅と、また最高の思い出になりました!しかし、せわしく移動する中、なかなかペンを取る気にもなれず、久しぶりの執筆となりました。

改めて、150日の旅を終えて、少しでも自分を認めることのできる自分になれた事に協力してくれたみんなに感謝を込めて。読んでくれて、本当にありがとうございます!

まだまだ、本は書き途中。今からでも変えられるし、結末も自分でも分かりません!

でも楽しいこと間違いなし!
次は、アメリカ。絶対最高にします!なる!ぞ!
オーーーー!

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親愛なる、ともだちへ
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ふかふかのつちからふわっと目が顔を出して、「オハヨー!」って挨拶を交わす。

青空に向かってぐんぐんと伸びていくうちに、偶然にも、同じスピードの近くなったツルの先が交わるようにして出逢ったあなたとの出逢いと別れの間に見た、あの輝きを忘れません!

巡り合ったあなたのおかげで、少しずつさらに上に上にのびて、「もっと大きく!」とそだってゆく、若芽のように

さらにそれぞれの方向に伸びていくどんな木になるか、胸をおどらせながら!

時には、水をあげながら、水をもらいながら、分け合いながら!

ときには寄り道しながら、焦りながら、“答え”を探しながら

150日間の間で、巡り合って受け取ったこの引き出しを、大切に閉まっておきます。

いつ開けるかは、お楽しみ。

いつもありがとう。

KT


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《目次》
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まえがき
I
II 
あとがき
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プロローグ
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150日の旅を振り返ると、まず一番に思い出すのは、走馬灯のようにプチプチと入れ替わる小さな旅先での思い出たちです。

そのひとつひとつに、出逢った友達の姿が思い起こされて、ありがとうの気持ちが溢れてきます。

そんな中で、いよいよ3週間後に迫ったアメリカに行く準備を終えていない為に、旅の途中で家に帰って用意をしないといけなくなった著者KTは、自分がどうしてこんなにアメリカの準備が手につかないのか、分かりませんでした。

出発まで2週間を切っているのに、飛行機は買っていないし、大学の寮には入る事ができずに、家もなく、着る物もなにも準備ができていない為、周りのともだちの方が「KT、アメリカの準備大丈夫?」と心配してくれて、ありがとうと思った。が、準備は手につきません。

やりたい事を探す旅、好きな事を見つける旅、私が誰かを知る旅、変わる旅。その中で、もがきながら、向き合っていたこころのミニKTと話すのがいつしか怖くなりました。

そんなこんなで旅を終えたわたしは、アメリカ留学を目の前にして、航空券の購入画面を見つめて24時間以上が経っているのに気がついて、真剣になんでか考え始めます。

ずっと憧れていた留学。人生初の海外。いざ目の当たりにした時に、どうしてこんなに準備ができないのか。「本当はいきたくないのかな?」「無理矢理行くのはいやだな」そんな風に考える中でアルケミストを読むとそのわけがはっきりとわかりました。

“「『運命』とは、お前がいつもやり遂げたいと思ってきたことだよ。誰でも若い時は自分の運命を知っているものなんだ。まだ若い時は、全てがはっきりしていて、全てが可能だ。夢を見ることも、自分の人生に起こって欲しいすべてのことに追われることも、恐れない。ところが、時が経つうちに、不思議な力が、自分の運命を実現することは不可能だと、彼らに思い込ませ始めるのだ。」

「その力は否定的なもののように見えるが、実際は、運命をどのように実現すべきかお前に示してくれる。そしてお前の魂と意思を準備させる。この地上には1つの偉大な真実があるからだ。つまり、お前が誰であろうと、他人をしていようと、お前が何かを本当にやりたいと思うときは、その望みは家の魂から生まれてからなんだ。それが地球におけるお前の使命なのだよ」
アルケミスト(パウロ・コエーリ著)

この、“否定的なもののように見えるが、実際は、運命をどのように実現すべきかお前に示してくれる”もの。“そしてお前の魂と意思を準備させる”もの。

これが、私にとってこころに封じ込めたミニKTだと、気づくことができたのでした。

「ああ、自分は日本を出るのが寂しかったのか!」そして、震える自分を認めることができた時、それでも頑張ろうとの決意が固まりました。はじめて、友達のいない地に、ひとりで行くこと。

怖くないわけないじゃない!でもみんながいる!寂しさを感じるのが嫌で、思い出すだけでも心がふるえる旅の思い出は、思い出したくないほど大切な思い出でした。

でも勇気を出して、150日の旅を振り返った時に、あの感動と、あの喜びと、あの友情は、寂しさを感じるからだと気づきました。

旅で出逢った、だいすきなともだちはみんな自分の寂しがり屋な一面も認めていて、だから素敵だった。

突き進む、ポジティブな私を『少女』そして、震える自分『ミニKT』と一緒に、旅に出た様子を書きました。

気長に読んでもらえたら、嬉しいです!

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I
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“旅”とは、決められた期間に行く先で何が起こるか分からない中、目的を達成するために、動きつづけること。

むかしむかしあるところに、KTと呼ばれる、なんだかドジでいつもげらげら笑っている少女がいました。

少女KTは、街で1番の話し好きで、子供のためにせっせと動きつづける母親と、無口で仕事道具に向き合い、なんでも許してくれる大きな心をもつ父親の間に生まれました。

家にいることが心地よくて、朝から晩まで空想にふけっていた少女は、旅が何かなどさっぱり知るよしもありませんでした。

「旅行とはまた、違うみたいね」

今から150日前、そんな旅が何かも分からない少女は、初めて“旅”というものを知る事になった。


ー ー ー

150日の旅は、少女の人生をまるっきり変えた。家の中にいる事もほとんど無くなってしまったし、もっといろんな事をしていいんだと思うようになった。

少女は、答えを探すのが常だったので、初めての旅では、「旅って何ですか?」とよく聞いていた。

そして、いったんその旅の結論が自分の中でまとまると、少女は次の旅に出た。

一方で、旅をする中で、少女自身も変わっていった。例えば、はじめての旅では、“旅初心者のKTです!”と言っていたが、沖縄に辿り着く頃には“SESOKO BLUEのKTです!”と、どんどん変わっていった。

少女の好きな色も変わった。

はじめは、憧れの人好きな緑を真似して、みどり色が好きだと言っていた。流行りの動画サイトでは、みどり色のカエルをモチーフに、『ケロッピーチャンネル』を始めた。

しかし、今では、少女自身が大好きだと思った海の色と、海の中で見つけた、光かがやく魚の黄色が好きになっていた。

好きな事も、好きなものも変わっていった。

少女は、神奈川の海小屋でアルバイトの帰りから自転車を走らせて、木でできた焦げ茶色の小屋に帰った。

ほわほわやさしい雰囲気の家の主人が、はきはきと「おかえり」と言うのがおもしろくて、少女はついくすっと笑いながら「ただいま」と返した。

木の匂いがする家にあるものに興味をもった少女は、きょろきょろしていると、机の上の本が妙に気になった。

そして、少女は、操られたようにその本を手に取ると、吸い込まれるように読み始めた。

本の名前は、『アルケミスト』と言った。錬金術師という意味のそのタイトルは、少年が旅をする、人生、運命、そして愛についての物語だった。

読み上げた直後、少女は150日間の旅を思い起こして、noteを書き始めた。

「旅ってなんだろう?」

今や旅の話をべらべらとしゃべるようになってしまった少女は、「旅ってなんだろう旅!」をタイトルにしていた初々しさから始まった旅を考えながら、改めて旅とはなにか、考えてみる事にした。

「150日前に旅に出てから、なにが変わったかな?」

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I
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少女のこころに潜む、ミニKTは、よく人生に対して焦りを感じる性格で、それによくもがいていた。文章を書いても、焦った自分をさらに焦らせるような文章になるのが常だった。

夜にこころの扉を開けてみると、そこにはいつも小さなノートを見つめるミニKTがいた。

どうやら、思い詰まったように1日の反省をしているようだった。

「もっとできる。もっとやれる。」

「そんなんじゃ、だめだ!」

大きな大きな理想の夢を掲げるミニKTは、どうしたら夢を叶えられるか考えた。

何をそんなに焦っているのか、いつもせかせか何かをしていないと心配になっている様子だった。

ミニKTは、計画的だった。目的に進むために、手段も選ぶ事をこだわりがあった。

ミニKTは、自分を変えたいとよく話していた。

心を決めて変わろうとしていた向上心が、気づけば、こころを置いてけぼりにして、暴走している事に、気づいた時には、自信をなくしていた。

ー ー ー

青くて遠くに島まで見える空には、気づけば、うす暗い雲が太陽の光を遮りはじめました。

ぽつり、ぽつりと空から灰色のものが降ってきます。

軽石のようにふわふわとした軽くて硬いその物体は、気づけば、

あの沖縄の砂浜のように、ある日、美しい白い砂浜を覆い隠したのでした。

軽石ビーチは、ザクザクと言いました。「こんなあなたじゃ、家族を変えるどころか、世界を変える事だって、できないかもね」

スッと紙で手を切ってしまうよりも深く、切り刻む痛さに耐えきれないかのように。逃げる間もなく、スッと地面が消え、真っ暗の洞窟に吸い込まれていくその背後では、溢れる涙がさらにビーチの海を増やして、村は沈んでしまいました。

方向も分からない、時間もわからない、ここがどこかも、何をすればいいかも分からなくなったその時、少女のこころの庭園に、ミニKTがやってきたのでした。

ー ー ー 

ミニKTは、旅に出るまで、気づきもしなかった。

本のことばが何でこんなにこころに響くのか。

言葉をみると、自分でもなんでか気づいて、涙が出てくることとか。

なんで、言葉が、響くのか。

大切にしてること、大切にしたいこと、大切なこと。

少女のこころの庭園で、沢山の本を読んでいたミニKTは、王国を創り上げたお話や、天下を統一したといった壮大なストーリーに感動した。

しかし同時に、その言葉に埋まってしまいそうになり、自分の人生を、いったいどうやって面白くする方法が分からなくなってしまったのでした。

一日中、本を読んだり、色々なひとの話すのを見て楽しんでいたつもりだったけど、何かが足りないのが分かった。

「何か、面白いことをしたいな」とミニKTはぽつりとつぶやきましたが、流行りの服にも、食にも、カフェにも、アイドルにも、流行りにも、興味はないし、行ってみたいところはあるけど、おしりがピタッと椅子についてはなれません。

「知らないことは山ほどあるけど、知っても何も変わらない気がするし、なにが分からないのかも分からない」

ミニKTは、そんな相談をして皆んなを困らせてしまうので、それを見ていた少女は、はらを立てました。

「そんなことで、怒らないでよ」とミニKTは小さな声でつぶやきます。少女はいいました。「私はもっとみんなに幸せを与えられる自分になりたいの。あんまり邪魔をすると、許さないからね!」

ミニKTの瞳からうわっと涙があふれ出るのをみて、少女は少し言いすぎたなと思いました。

少女はこっそりと真夜中にこころの窓を開けて中を見渡すと、そこで震えるミニKTがいるのを見て安心することを知っていたのです。

次の日の朝、少女は謝ろうと思い、こころの窓を開けて言いました「昨日は少し言いすぎちゃった」ミニKTは寂しそうに言いました「いいよ、よくあることだから」

仲直りのできた少女は、最近ずっと考えていた話しを、いつも相談相手をしてくれるミニKTにしてみる事にしました。「最近どんな自分でいたいんだろうって考えるんだよね」「うん」「でもやっぱり、私の元気で、みんなのことを励ませる人になりたい」

ミニKTは言いました「人間はいろいろな面があるから、沢山ステキなところがありすぎて一言では到底表すこともできないよ。自分が覚えていないことも含めたりしたらなおさらね。だけど、」

ミニKTは、「自分が臆病だ」ということを話した。

「いろいろな人に出逢うことは楽しそうだけど、でもちょっと怖いよ。」

少女は、ミニKTとそんな会話をした事を思い出していた。あのとき、少女は、はじめて勇気を出して、出てきた旅先で、ミニKTがわざわざそんな風に言ってくるのが気に食わなかったので、こころの扉をばたんと閉じてしまった。

それ以来、少女は天真爛漫に駆け巡った。新しい地で、新しく多くの人々と出会う日々に、満足しているようだった。

怖いものなんて、何もなかった。ただただそこには楽しくて、華やかな日々が待っていた。

少女は時も忘れてしまったかのように、朝日とともに起きては、あたり一面を駆けめぐり、夜になるとばたんと倒れるようにベッドに入ってはぐうぐうと深い眠りにつくのだった。

ずっと一緒に支え合ってきたはずの、震えるミニKTを思い出すこともなくなっていた。

そんなある日、少女は思い立ったように、大好きな海を見に行きたくなった。

かんかんと太陽に照らされて、熱くなった地面のねつがじゅうじゅうと彼女を蒸発させようとする中で飛び込む海は最高だった。

溢れんばかりの青と緑で埋め尽くされた大自然の景色を目の当たりにして、少女は何も焦ることはないし、何も心配に思うことはないと思った。

ぱっと海を見て、ふと少女は「よし、実験をしてみよう」と思った。

「私は、孤独で、何もない時、どんな事を考えるんだろう?」

「自然に考え始めることは、自分が無意識のうちに好きなことだろうな」

ミニKTといた時には、よく一緒に大自然を見ながら、詩をつくって楽しんでいた。

大きな木を見れば、自分達のようだねと話したり笑ったりした。

こころの窓は閉じたまま、ぽつりと1人になった少女は、何もない時にどう考えるのか、何を想うのか、興味があったし、楽しみになった。

目を閉じて、深呼吸をして、目を開けた。

目の前に広がる、一回で見渡すことができないほど大きくて真っ青な空と、きらきらと太陽の光を反射して透き通ったエメラルドグリーンの水と、軽石がふわっと乗った白い砂漠のような砂浜が輝いていた。

少女は、呼吸することも忘れて、ただその景色が眼の中に入ってくるのを感じていた。

自分とあたりが一体になったような錯覚に陥った。

そして、少女は何も思いつかない事に、気がついたのだった。

「綺麗」

とも思わなかった。

少女の心に、言葉は、何も思い浮かんでこなかった。

「 」

ただ、そこには美しいと思っていた“はず”の大自然が広がるだけだった。

少女は、自分が誰かなんて考えも、思い出しもせずに、ただぼうっと目の前に広がっているのかも分からない、そこにある海と空を眺めていた。

そして、つぎに気がづいた時には、感じるのは暑さと、海に入りたい、水を飲みたいという想いだけで、夢も、リズムも、歌も詩も、何も思いついてはこなかった。

少女には夢はあったはずだけど、大自然を目の前に、少女は何も考えない彼女自身に呆然とするのだった。

波の音が聞こえる。

時間だけがすぎる中、何かを「考えよう」とした時にだけ、少女はもっと小さな時に学んだことを思い出したり、出会った人との想い出を思い返すだけだった。

ただ目の前に広がる景色に茫然としながら、こころのKTと話してみようと思ったが、扉を開けるのを躊躇った。

きっとミニKTだったら、この景色を目の当たりにすれば、小鳥が歌うように話しはじめるのだろうと思った。

少しの間、ミニKTのことが恋しくなったが、少女はすっと立ち上がったと思うと、その日は家に帰った。

そして少女は無意識のうちにも、気づくのだった。

「わたしは、いつもこころの中のミニKTといろんな事を乗り越えてきたんだ」

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 II
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少女は1人で旅する中で、何かが違う事に気づき始めていた。

それは、言葉にすると、いつも思っているのと違った形で口から出てくる。それに、「言っても変わらないからね」そんな理由で、文章を書くのはやめてしまいました。

しかし、旅をする中で、それは間違っている事に気がついたのです。

少女は、沢山の出逢う人からアドバイスをもらいました。「やりたいことは、話してたら叶う」と耳が痛いほど聞いていたので、はじめは半信半疑で夢を話してみる事に決めました。

今考えてる事、なにがしたいのか、なにに興味があるのか、何でここにいるのか。

夢とは、自分とは、友達とは、人生とは、旅とは。

「自分と相手の違いをもっと、みんな喜ぶべきなんです」

アメリカには、なんで行くの?

「差別に興味があります」

少女はただ夢を語った。何をすれば、達成できるかも分からないし、日本という国での差別は見ようとしなければ見えないように感じた。

「達成できないことはないし、なんでもできる」と少女は思いました。

アメリカに行けば、また新しい世界がみえるはずだ
ー ー 

ミニKTのことをすっかりと忘れてしまった少女は、何かを見つけようとたくさんの経験を求めて歩き回った。

しかし、いつも何かこころにぽっかりと穴が空いたような気がしていた。

そして、旅をする中出逢った何人かの手紙が心に落ちているのを見つけました。

旅先で出逢った髪がもじゃもじゃの、にかっと笑う踊り人は

「私も自分に言い聞かせてる。人間誰しも完璧じゃない。」

と言いました。少女も「自分を受け入れる」事について考えてみたけど、よくわかりません。

またある時は、目からぎらぎらとした光があふれる小犬のような漁師が言いました。

「自分で自分を信じるんだ」

石の上にもうずっと住んでいながら海の向こうまで眺めている石職人も

「自分の選んだ道を正解にするんだよ」

と、石を磨きながら言いました。

少女は、3人の旅先で出逢ったともだちの言葉を思い出しながら、生い茂った木々の隙間から見える空を見つめて思い出していた。

ー ー ー

あの日、旅を始めた、あの時。

「人生とは、一冊の本みたいなもので、」

世界を股にかけるバックパッカーが、会場にマイクで大きくなった声を響せている。

少女とミニKTは手を繋いで、真剣に耳を傾ける。

「アナタの生き方で、あなたにしかない1ページをかいている事なんです」

スクリーンに映し出された、光を浴びる大きな山の写真が目に入る。

「そして、“旅をする”事っていうのは、

ほかのページを見る事なんです。別にみなくてもいいけど、『みた人にしか、分からない景色がある』」

“見たい!”

臆病だったはずのミニKTが、また目からぽろぽろとこぼれ落ちる涙の奥に光るその力強い眼差しにに少女は驚きました。

魂を込めてそう叫んでいるミニKTの姿に感動して、少女は決意します。大切に育ててくれた親の意見も聞こうとせず、長い置き手紙を置いて、2人手を繋いで家を飛び出したのでした。

「旅に行かせてください」

こうして始まった150日の旅は、何にも変えられない物語を生み出した。

あの時、ミニKTが寂しそうにしていたから。

あの時、ミニKTが震えていたから。

あの時、ミニKTと一緒だったから。

だから、この景色を見ることができたんだ。

寂しさも、悲しさも、感じることができていなかったら、この景色は見ることができなかったんだ。

この旅は始まらなかったし、この場所にきた事もなかったし、この経験もしなかったし、この仕事もしなかったし、今ここにいなかったんだ。

あの時、震えていたミニKTが、「一緒に行こう」と言ってくれたそのおかげで、旅に出ることができたんだった。

あの時、ミニKTの目は輝いていた。

「変わりたいんだ」

その瞬間、少女は思い出したかのようにがちゃっとこころの扉を開けると、そこには前と変わらないあたり一面の草っぱらの上にミニKTがいた。

「ごめん。わたしが勘違いしていたんだ。前に進むのには、臆病なのも、怖がりなのも、邪魔だと思ったんだ。でも、あなたと一緒だったから、ここまでこれたのを思い出したんだよ」

ミニKTは言いました。「大丈夫、戻ってきてくれるって分かってたよ。」「僕は臆病で、怖がりだ。でも、寂しい人の気持ちがわかるし、だから皆んなに笑顔になってほしいんだ」

「僕は臆病だから、弱いんじゃない。臆病だから、みんなと進んでいきたいんだ」

2人はもう一度手を繋いで、新しい旅に出発する事に決めました。

そして、少女のもつ喜びも、ミニKTのもつ寂しさも、お互いに大切にし合うことを約束して、次の地に向かって歩き始めた。

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あとがき
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“「こんなに遠くまできたのに、あきらめてはならぬぞ」彼はさらに続けた。
「砂漠を愛さなければならぬが、全面的に信頼してはいけない。なぜなら、砂漠はすべての男をためすからだ。それはあらゆる段階で挑戦してくる。そして取り乱した者を殺すのだ」” “愛さなければならぬが、全面的に信頼してはいけない。”

わたし達は、まだ、本を書いている途中なんです。完結してない、発刊されてない、誰も終わりを知らない。

だから、出逢いによって、また奇想天外な出来事が起こるかもしれないし、だから、予想と同じ結果かどうかなんて分からないし、だから、次のページはまだ真っ白だし…。

だから、変えていける。それぞれの人生の本を書き進める中で、"This moment remind us why"
(この瞬間が、私がここにいる理由を思い出させる)

やりたいと思った事を、できるようになりたい。そう思って始めた旅とnoteの執筆は、「何かをやり始めるのに、理由なんていらない。」「本当にやりたかったら、もうやってるから」本当にやりたい事を見つけた時、そこに注ぐエネルギーに、何の躊躇いもない事に気づいた。

だって、私は、もうそこに居た。“You here for the reason but you don't know why”
(理由があってここにいるけど、あなたはそれを知らない)

あれほど共感して歌っていた、大好きな歌詞が、ちっぽけに感じてしまうくらい

私は、『ここにいる理由』を知っている

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KT

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つづく



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