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ワイン瓶詰め作業

僕が所属しているアマチュアワインメーカーのギルドFrankston Amateur Winemakers Guild(FAWG)が50周年を迎えました。みんなで醸造した記念ワインの瓶詰め作業をお手伝いしたのでその時の様子をお伝えします。

まずブドウは2018年の3月頃に収穫しています。こちらメルボルンは南半球にあるので季節が北半球とは逆になります。3月が収穫の秋になるわけです。面白いですね。主にシラーズというブドウを使用していますが4%ほどメルローをブレンドしています。この比率はギルドのメンバーで飲み比べをして決めたそうです。一次発酵(アルコール発酵)および二次発酵(マロラクティック発酵)が終わった後に18ヶ月ほど樽に漬け込んでいます。なお、ギルドは海に近いモーニントン半島で活動しています。寒冷気候で高級ピノ・ノワールなどが有名な産地です。

6人で3時間かけて合計302本を瓶詰めすることができました。作業内容について細かく書いていきます。動画も作成しました。最後に貼っておきましたので興味がある方は是非見ていただければ嬉しいです。

まず上記写真のように充填機にサランラップを貼った上で二酸化酸素を注入して空気がない状態を作ります。因みにこの充填機は長崎県のレイメイ製作所のもので、日本酒充填機でした。アマチュア向けワイン製造器具はだいたいアメリカやイタリア製のものが多いので日本人として嬉しく思いました。充填機を二酸化炭素でいっぱいに満たしたらデミジョンと呼ばれる大きなガラス瓶(50リットル)及びステンレスタンク(200リットル)から充填機にワインを移し替えます。

ワインを詰める瓶は前日にSodium Metabisulfite(メタ重亜硫酸ナトリウム、通称SMS)で殺菌・乾燥しておきます。これはワインの添加物として広く知られる亜硫酸の一種ですが、主に器具の殺菌を目的として使用されます。Potassium Metabisulfite(メタ重亜硫酸カリウム、通称PMS)という亜硫酸もありますが、こちらはfood grade(食品等級)であることから収穫後に除梗・破砕して作ったブドウジュース(マスト)に添加する時などに使用されます。ちなみに亜硫酸には殺菌作用と酸化防止作用があります。亜硫酸=悪いものではありません。

ワイン充填の準備ができたら、前日に殺菌した瓶にも一本ずつ二酸化炭素を注入します。

次に瓶にワインを充填します。満注になると自動で充填が止まる便利な充填機です。

FAWGのpresident(会長)です。瓶詰めされたワインのヘッドスペース(ボトル内のワイン液量とコルクの間にある空間)が20mmになるように注ぎ足したり、減らしたり調整しています。ワインは温度によって液体が膨張・縮小するのである程度のヘッドスペースを残しておく必要があります。ヘッドスペースが大きすぎるとワインが酸化してしまうので気を付けて20mmにする必要があります。また、コルクを打栓したワイン瓶であってもワイン液量は毎年蒸発しますので、ワインを長期保存している場合は注意が必要です。ちなみに豪州の高級ワインPenfoldsはヘッドスペースが大きくなった場合に無償でコルクを開けてワインを注ぎ足してくれるサービスを提供しています。こちらについては別の機会にnoteに残したいと思います。

ワイン瓶のヘッドスペース調整が終わったらコルクを打栓します。文章だと説明が難しいのですが、下の皿に瓶を置いて穴の部分にコルクを入れます。その上で手でレバーを下げればコルクがワイン瓶に入ります。ちなみにこの方はイタリア系の方です。イタリアの人たちは昔から家でワインを造る習慣があるようでギルドにも多数のイタリア系オージーがいます。おそらく日本人が家庭で味噌を造ったりするのと近い感覚なのだと思います。

コルクが打栓されたらカプセル(キャップシール)を巻いて高熱ドライヤーでシュリンクします。僕はこの作業を最初1時間ほど担当していたのですが、暑くて気持ちが悪くなってしまったのでコルク打栓係にかえてもらいました。しかし2時間(200本)コルクを打ち続ける作業もなかなか大変でした。また、ギルドは60-70歳の白人のお爺さんが多いです。若いアジア人の僕は結構目立つような気がします。

この方は笑顔がとても素敵ですよね。優しい人で癒されました。カプセルをつけ終わったら、最後に濡れた雑巾で一本一本丁寧に拭きます。コルクを濡らすために1週間ほど逆さまにして保管した後にラベルを手で貼れば完成です!

一連の作業が終わった後は器具を水で洗います。その後に改めて殺菌・乾燥します。ワイン造りにはとにかく殺菌が重要です。

外にはブドウ畑があります。この一連の作業はギルドのメンバーの方の家で行いました。多くのメンバーの家にはこのようにブドウ畑があります。かなり本格的ですね。日本では想像できないですよね。

一連の作業動画をYouTubeにアップしましたので、もし良ければご覧ください。やはり動画の方が分かりやすいですね。

最後まで読んでいただいてありがとうございました!コメントなど頂けれるととても嬉しく思います。

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