推しと出会った話

推しとの出会いについて話します。

推しとは、2021年現在で7年の付き合いになる。私は上書き保存ではなく名前をつけて保存タイプのオタクなので、おそらくこれからも未来永劫推しには違いないだろう。それでも、休止感なく7年続いている点で私の中では異例のロングランヒットである。

初めて会った頃、彼はまだ新作ゲームキャラの1人でしかなかった。もちろんCVはついていない。今では新規タイトルでCV無しのスタートなど考えられないが、当時はそうでもなかった。なんせ7年も前である。

切っ掛けはぬるいものだった。ソシャゲ無課金勢として目につくゲームはとりあえずインストールしていたソシャゲ廃人の私は、なんの気なしにゲームをスタートした。なんせ基本プレイは無料なのだから、気に入らなければ辞めてしまえばいいだけの話だ。ソシャゲの地位は今ではアプリゲームにとって変わったが、この根本的なスタンスは今も変わらない。

7年前とはいえ、時代は既にアプリゲームの波が来ることが目に見えていた時期だった。その中でのブラウザゲームリリースである。正直、あまり期待できるプラットフォームだとは思えなかった。システムも当時でも既にクラシックなもので、長く見積もっても3年ぐらいだろう、と私は無慈悲な予測をしていた。

とはいえ、後ろ向きな感情ばかりでもなかった。私は、いわゆる「乙女ゲーム」が苦手だ。ヒューマンドラマは好きなのだが、キャラクターと恋愛を楽しみたいという気持ちはさほどない。そんな私のニーズを満たしてくれそうなブランディングだった。勿論ターゲット層として想定はされていただろうが、ゲームを進めてみても、乙女ゲーム特有の「お前に気があるんだぜ」ムーヴは皆無に近く、非常に居心地が良かった。

更に言うならば、そのゲームが生き残ったのは、結論コンプライアンスに強かったからだと考えている。時代はこの数年で大きく変わった。差別・誹謗中傷に対する価値観が日毎にアップデートされる複雑な過渡期に、少々の修正を加えつつも見事に対応したのだ。世の差別や偏見・誹謗中傷にズタボロになっていた社会人の私は、そのハイレベルなシナリオライティングにすっかり毒気を抜かれてしまう。差別や偏見・誹謗中傷をおもしろおかしいネタとして織り込まなくても、ヒューマンドラマは作れるのだ。衝撃だった。

何もかも完璧だったとは言わない。また、差別や攻撃のないユートピアを描いているわけでもない。むしろ誇張が少ない分描写はリアルで、真綿で首を締められるような見えない重圧を感じ取る面もある。だが、それに対して「良しとしない」世界観を構築して見せたのである。我々は誰もが苦しんでいる。それを笑うな。たとえ苦しもうとも、明日へ繋げるのは怒りではなく希望であるべきだ。彼らの紡いだメッセージはとにかく真摯だった。作中にはわかりやすい悪役や明確な敵はいない。それでも彼らは壁にぶつかり、もがき、突破していく。明日のために。

……という作品であるわけなのだが、推しとの出会いは実はその経緯とはあまり関係ない。今のは作品の推しポイントである。

ガチャというシステムがある。ソシャゲでは一般的に広く採用されている集金システムだ。大体これはゲームプレイ時に無料で引けることがあり、チュートリアルとして数人のキャラクターをお試しすることができる事が多い。

このゲームも例外ではなく、私も慣れたものでさっさと引いた。初回10連など挨拶のようなものである。面白い奴はいないかな、ぐらいの気持ちでビジュアルを眺めて、進めてみないとわからないなとゲームを進める。この時の10連に、彼はいた。この時はまだ全くのノーマークだった。

ゲームが始まると、先程引いたキャラクターがコメントを言うパートがある。これは会話というほどではなく、各自がひとことコメントを言う程度の簡単なものだ。立ち絵だって、特に工夫も凝らされていない公式ページで見るようなキャラクター紹介と同じ絵だ。

やがて、彼のコメントが表示された。

「バァーカ!」

は?
なんだこいつ。面白っ。

ひどい感想である。そう、私はあんなにコンプラだのを気にする癖に、性格に難がある面白い男が好きな趣味のオタクだったのだ。ちなみにこれは二次元限定で、現実では一瞬たりとも会いたくない。暴言など吐かれようものなら1ミリの慈悲もなく即座に殺意MAXである。(もしかしたら、二次元キャラに自由な身勝手さを求めるのはその感情の反動なのかもしれない)

もう、気になって仕方がない。なんなんだこいつ。本当にさっきの真摯なキャラクターと同じ世界の住人か?しかしよく見るとちょっと可愛い顔をしてるな。話を聞いても聞いても3ミリぐらいしか理解できん。何言ってるんだこいつ……なんなんだ……お前は何がしたいんだ……プレイヤーは一体彼をどうするつもりなんだ?なんだこのツッコミどころしかないプロフィールは……。

出会って3分でもう虜である。

あとからじわじわと判明してくるのだが、彼はかなり浮世離れした独特な世界観で生きている人間であり、暴言は悪気があったわけでもなんでもなかった。立場の弱い相手を見下しているわけではなく、己こそが世界最上位の存在であるべきだという義務感を背負っているだけだったのだ。わかるかそんなもん。初見殺しもいいところである。
だが、そのピュアでひたむきな面もすっかり気に入ってしまい、気づけばもはや7年である。7年て。

これが私と推し……もとい担当アイドルとの出会いである。お気づきの方も少なくないだろうが、推しとは

アイドルマスターSideM
315プロダクション所属アイドル
牙崎 漣(きざき れん)くんのことです。

どうですか。マブいでしょう。最近では新アプリのリリースが発表され、早速動く姿を見せてくれた。この世のものとは思えないほどめちゃくちゃに可愛いのでぜひ5万回は見てほしいし、彼だけでなく他の所属アイドル達もみな心優しく前向きな良い子達ばかりなのでおすすめです。

そんなアイドルマスターSideMの新アプリ「アイドルマスター SideM GROWING STARS」通称「サイスタ」は2021年度内リリース予定!よろしくね!!


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