人が集まる「つなぎ場」のつくり方〜都市型茶室「6次元」の発想とは〜
東京の中央線荻窪駅に「6次元」という名前のカフェがあります。
こちらのカフェ、フツウのカフェとはちょっと趣が違っていて、例えばノーベル賞が近くなるとハルキストと呼ばれる村上春樹ファンたちが集ったり、文房具好きな人を集めた文房具ナイトを主催してあっという間に完売になったり、全盲のピアニストの写真展をしたりと面白いイベントを企画し様々なジャンルの人たちが集まる、街の交差点みたいなカフェ。
今回の推薦書は “人が集まる「つなぎ場」のつくり方-都市型茶室「6次元」の発想とは”です。
“家が「。」だとしたら、カフェは「、」。流れていく日常の中で1回立ち止まって、句読点を打つ。そうして仕切り直し、自分を見つめ直す場所が目指している空間。”だと著者でお店のオーナーのナカムラクニオさんは語っています。
今の時代の良いカフェとは?という問いに“体にやさしい飲食がある快適な場所。ゆるい時間に身をゆだねられる場所。なりたい自分になれる場所。”と答えています。
“たまり場の日本史”という章に、“大災害の後には必ずあたらしいコミュニティが生まれる。”とあり、
災害で既存のシステムが機能しなくなった時、人は創造性を発揮するそうです。
歴史を見ても、明治から大正にかけて約50軒だった東京の喫茶店は、昭和初期には2500軒まで増えたそうで、
その理由は1923年(大正12年)に発生した関東大震災だったようです。
現在のカフェブームは、2011年の東日本大震災が影響しているのでないかという本書の問いかけに僕も同意でした。
311のあの日、会社のあった渋谷から川崎の自宅まで徒歩で帰る途中にみつけたカフェで同僚と暖をとり、そこで飲んだ暖かいコーヒーは日常のすごさみたいなのを感じて、本書にも書かれていましたが、まさにカフェは街の避難所になっていました。
居心地の良いたまり場の法則は、
1. 人が集まる場所に、人は集まる。
2. 夢が見られる場所に、人は集まる。
3. 良いものがある場所に、人は集まる。
4. 安心で快適な場所に、人は集まる。
5. 自分のためになる場所に、人は集まる。
6. 自分を認めてくれる場所に、人は集まる。
とありました。
会社や家族という「必然的コミュニティ」ではなく、同じ趣味や目的を持つ人が集まる「偶然的コミュニティ」、
価値観や年齢の壁を超え何のしがらみもなく相談できる場所をみつけるということは、ひるがえって自分をみつける事につながるのかも。
“これからはメディア化するコミュニケーションカフェがたくさん生まれる。”とありました。
みんなが利用でき、みんなが集まれる、みんなのための容れ物のようなカフェ。みんなの想いを受け止めて、何かが新しく生まれる場所。「場をつくる」というのは「人と人の関係をつくる」だと。
Siriにおいしいお店の情報や天気予報を聞くのは便利ではあるけれど、身銭を切って足で稼いだ情報を持っている人の価値はこれからも変わらないし、そういう人のデータにならない価値は益々クローズアップされていくと思います。