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パキスタンの民族舞踊ハタック

「アッタン」または「カタック」としても知られるハタックダンスは、カイバル・パクトゥンクワ州に住むパシュトゥーン人の民族舞踊です。パシュトゥーン人は、パキスタンとアフガニスタンにまたがって居住する民族で、強固な部族の紐帯を維持しており、パシュトゥーンワーリと呼ばれる部族掟を持っています。

ちなみに、日本ではたまに、ハタックはカタックとも呼ばれますが、綴りが異なるように、こちらのハタックダンス(Khattak)は、主に女性が踊るカタックダンス(Kathak)とは関係ありません。

ハタックダンスの起源は古代に遡り、パシュトゥーン人の生活における重要な出来事を祝うためにさまざまな機会に踊られていました。ハタックダンスは、戦士の精神と勇気で知られるパシュトゥーン人の武術の伝統と密接に結びついています。

ハタックダンスは、テンポが速く複雑なフットワークや同期した動きが特徴的です。ダンサーたちは輪になって踊り、ルバーブ(弓奏楽器)やタブラ(太鼓)などの伝統的なパシュトゥーン楽器のリズムに合わせて踊ります。

ルバーブ(弓奏楽器)
ルバーブ(左)タブラ(右)

最も象徴的なものは、剣と盾の使用です。ハタックダンスの剣術は、パシュトゥーン人の戦士の伝統を象徴し、勇気と名誉を強調します。数本の重たい剣を持ちながら、スピンをきかせてくるくる回ります。

赤色のベストと、白色の「シャルワール・カミーズ」と呼ばれる民族衣装を着て踊り、パシュトゥーン人の活気に満ちた精神を反映しています。また、伝統的なターバンやスカーフも着用し、視覚的に楽しませています。

ハタックダンスの剣術

ハタックダンスのルーツは古代ギリシャの踊りにたどり着きます。ギリシャ人は、数世紀前にこの地域を植民地としていたとき、パシュトゥーン人が支配する地域に、ギリシャの伝統的な踊りを残していきました。この古代ギリシャの踊りは、アフガニスタンとパキスタンのパシュトゥーン地域で生き残りました。

ハタックダンスは、パキスタン、特にパシュトゥーン地方の豊かで多様な文化遺産の生きた証です。その複雑な動き、鮮やかな衣装、小道具の象徴的な使用により、ユニークで魅力的な芸術形式となっています。

ハタックダンスは、パシュトゥーン人の戦士の精神を反映するだけでなく、ダンスと芸術という世界共通の言語を通じて国境を越えて人々を繋ぐ架け橋としても機能します。